マンションや自宅が知らない間に勝手に売られる!?

先日新聞に

「土地や建物を持主になりすまして無断で売り、その売却価格2億円をだまし取ったとして詐欺師の男らが逮捕された。」

という事件が掲載されていました。

持主になりすまして土地や建物を売ってしまうことなんて出来るの?

と思われるかもしれませんが、一定の条件を満たせば知らない間に家を売られてしまうことはあり得るのです。

その仕組みをこれから説明したいと思います。

 

1.詐欺師によるなりすまし事件

新聞に掲載されていた事件の内容を簡単に説明すると

亡くなった方の名義のまま放置されていた土地と建物があり、
詐欺師がその故人になりすまして不動産を売却し、
その売却利益2億4000万円をだまし取った

という内容です。

 

おそらく多くの方は、

詐欺師が本人になりすましたとしても、権利書と印鑑がないと不動産の名義は変えられないんじゃないの?

と思うかもしれませんが、実は権利書がなくてもその他の条件が揃えば売却することも可能なのです。

 

2.権利書なしでもなぜ知らない間に売られるのか

不動産の名義を誰かに変更しようとするときは、原則として

印鑑証明書と権利書が必要です。

つまり通常は本人にしか不動産を処分できないはずですが、詐欺師が目をつけたのは、権利書がない場合の「本人確認情報」制度の利用です。

 

この「本人確認情報」とは、権利書がない不動産を担保に入れたり売ったりする時に、司法書士が作成する書類のことで、

「この人は権利書を持っていないけど不動産の名義人に間違いありませんよ。運転免許証で本人であることを確認しましたよ。だから名義変更させてくださいね。」

という内容になっており、保証書のような役割を果たします。

法務局は、司法書士が本人確認をしたことを担保に、不動産の名義変更登記を受け付けます。

 

つまり、権利書がなくても、偽造した印鑑証明書と運転免許証で司法書士を騙して本人確認情報を作成してもらいさえすれば、不動産の売却が可能になってしまうのです。

もちろん、他に印鑑証明書や運転免許証などの本人確認書類が必要になりますが、詐欺師らの偽造書類や手口は年々巧妙になっているということもあり、かなり精巧に偽造されたのではないかと思います。(現に、被害がでているということは、業務の中で相当数の印鑑証明書や免許証を見ている司法書士と法務局の登記官が見抜けなかったことになります)

 

3.どうすれば防げるのか

今回のような被害がでてしまった背景には、

亡くなった方名義のまま不動産を放置していた

ことも、少なからず関係があると思います。

 

放置していると、相続人の預かり知らないところで勝手に売られたり、勝手に占拠されたりといった事が起こる可能性が高くなります。

分割方法が決まらないのであれば、いったん相続人全員の共有名義にしておくなどして、常に関心を持つようにすることが大切です。

もし分割方法が決まっているのであれば、早く相続登記をしてしまいましょう。

 

もちろん、司法書士にも責任があります。

本人確認情報が実務において権利書と同等の書面になりうることを深く意識しないといけませんし、巧妙になっている偽造書類への対応はより慎重にしなければいけないと感じています。

 

4.まとめ

権利書がなくても、
印鑑証明書と運転免許証(本人確認書類)を精巧に偽造して

司法書士をだまし、権利書に代わる本人確認情報を作成

されると、勝手に名義を変えられるおそれがある。

 

対策として、

不動産に対して関心を持つように心がける

故人の名義のままになっているなら、相続人への名義変更を進める