会社・法人の目的の明確性について

こんにちは、上塩入です。

今回は法人設立で悩んだ目的の記載方法について、今後のために備忘録として書き残しておきます。

先日、とある法人の設立登記を依頼いただき、定款を作成していました。

株式会社や持分会社、一般社団法人(財団法人)などを設立する際には、司法書士が定款を作成します。

定款は組織の骨組みとなるので、依頼者と相談しながら一緒に会社を形作っていくことになります。

その課程で一番気をつけないといけないのが、会社の事業目的の定め方です。

 

会社が何をするのかを決めるのが目的欄で、設立された会社は目的欄に記載している事業しかすることができません。

なので今現在事業として行う予定のもののほか、近い将来行う予定の事業、附帯関連する事業など、ある程度先を見据えながら考える必要があります。

また、事業の内容によっては目的の記載文言が決まっているものもあるので注意を要します。

何をするかが決まれば、あとは類似関連する会社の登記簿などを参考にしながら目的での表現を考えていくのですが、今回ご依頼いただいた法人設立の目的は、普段と違うものだったので法務局に照会をかけました。

 

というのも、設立する法人がやろうとしている事業がとある商品の開発、販売なのですが、

その商品というのが、この世に未だ呼び方が存在しないものなのです。

(ちなみに、設立法人の代表理事曰く、音楽をかけることが出来る持ち運び可能な機械をウォークマンと呼び始めたときのように、この商品の先駆けなので呼び方が存在していない、とのことでした。)

 

その商品を開発し販売することが法人の目的なので

「××商品の研究、開発、製造・・・」

といった具合に箇条書きしたのですが、そもそもその商品名がこの世に存在していないので、

存在しない呼び方の商品を業務として目的に記載していいのか?

という疑問が生じます。

 

会社・法人の目的には「明確性」が要求されています。

その明確性がどの程度の基準なのかは各法務局での判断に委ねられますが、

一般的には広辞苑などに記載されているとか、インターネットで検索してすぐに該当するものが見つかるとかでないと明確性があるとは言えず、

最悪の場合、法務局で却下されてしまいます。

 

今回の事業目的には

「××商品の研究、開発、製造・・・」

と記載していますが、××が何なのかが誰にも分からず、

当然広辞苑やインターネットにも載っていないので、

明確性がないと判断されれば却下されてしまい、目的を変更せざるを得なくなります。

しかし依頼者は、この業界でその呼び方を浸透させるためにも、

目的に××という商品名をどうしても使用したいとのことでした。

 

そこで、法務局に照会票を送り確認したところ、目的の前段に

「××とは、△△に○○した~というもののことである。」

という定義付けが出来ているのであれば、××という商品がどういうもので、

その法人がどんな事業をしているのかが分かるので、明確性に欠けることはない。

という回答を得ました。

 

設立法人は今後、「××」という呼び方や商品に関して特許を出願していくと思いますが、

いろんなものが溢れかえっている社会で、未だ呼び方が存在しないものを販売していく法人の設立に携わることができ、

自分の司法書士人生でとても貴重な経験をさせていただきました。

後にも先にもこんな経験はできないと思います。感謝です。