相続人の中に未成年者がいるときの遺産分割の方法と流れ

相続人に未成年者がいるときの遺産分割

 

相続人の中に未成年者が含まれている場合、通常の遺産分割協議(相続人全員が成年者であるとき)とは手続が異なりますので解説したいと思います。

 

民法上の未成年者の扱い

原則、未成年者(20歳未満の者)は、民法上「制限行為能力者」に分類されます。

制限行為能力者とは、「行為能力=自己の意思に基づき単独で法律行為を行える能力」が不十分である人のことを指します。

未成年者以外には、認知症や精神病により判断能力を失っている人(成年被後見人)などが該当します。

どれだけしっかりしている未成年者であっても、19歳11ヶ月であっても、遺産分割協議の段階で20歳に満たない者は未成年者であり、制限行為能力者です。
※例外的に、婚姻した場合は20歳未満であっても成年擬制が働きますので、その後離婚しても行為能力者の扱いになります。

遺産分割協議も法律行為であるため、未成年者は自己のために単独で遺産分割協議を行うことが出来ません。

 

未成年者を含む相続人間の遺産分割協議

未成年者は制限行為能力者であるため、民法上遺産分割協議を単独で行うことができません。

成人と比べると判断能力が劣る(と考えられる)ため、他の相続人に言いくるめられたり、知らないうちに不利益な内容で合意をさせられている恐れがあります。

そこで、しっかりと判断できる人間が未成年者の代理人として遺産分割に参加し、協議していくことになります。

この代理人を特別代理人と呼びます。

 

特別代理人の選任の流れ

特別代理人は未成年者に代わり、法律行為を行います。

未成年者の親しい者や、親族が「代理人です。」と名乗ったとしても、それは法律上の特別代理人ではありません。

特別代理人を選任するには、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。

特別代理人にふさわしい候補者がいる場合は、申立ての際に特別代理人候補者を記載します。

ここで注意しなければならないのは、次のようなケースです。

例えば、父親Xが死亡し、その妻Yと子供(未成年者)Zの2人が相続人である場合に、未成年者Zと母親YがXの遺産を分割することになります。

その協議を客観的・形式的に判断すると、YとZはお互いに利益が相反する関係にあります。

Yの取り分が増えるとZの取り分は減ります。その逆もしかりです。

このような関係の場合、例え遺産分割の内容がZに全て相続させるようなものだとしても、YはZの代理人にはなれません。

つまり、Zの特別代理人としてYを選任してしまうと、理屈としては相続人としてのYと、Zの特別代理人としてのYが遺産分割の協議をすることになり、Y1人のさじ加減でどんな協議も出来てしまうことになるため、YはZの特別代理人にはなれません。

実務上、上のようなケースはZの特別代理人はZから見て叔父や叔母がなることが多いかと思います。

 

まとめ

相続人に未成年者がいるときは、そのままでは遺産分割をすることができないため、裁判所で特別代理人を選任してもらう必要があります。

しかし、遺言がある場合や法定相続の場合など、相続が起きたからといって必ずしも遺産分割をしないといけない事はありませんので、不安な場合は専門家への相談をおすすめします。