遺言を書くと相続税の節税、税金対策になる?!~遺言控除の可能性~

おはようございます。司法書士の上塩入です。

相続・遺言の分野を専門に扱っている当事務所は、常々

「遺言を書いたら節税になる」なんて法律があれば良いのにと考えていました。

遺言を書き残すことは、相続手続の立場から考えても非常に有効で、近年増え続けている遺産分割調停など相続に関する裁判事件によって深刻な人手不足になっている裁判所としても大きなメリットがあります。

もしかしたら恥ずかしながら自分が知らないだけで、上手に節税できる方法があるのでは?と思い、知り合いの税理士さんにいろいろ聞いていたのですが、

そこで大変興味深い話を伺うことができました。その税理士さんによると、

平成29年度中に「遺言控除」なる制度が新設されるかもしれない

というのです。

 

「遺言控除」とは?

遺言控除とは、有効な遺言による相続であることを条件として、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せして控除できるとするもので、2年前の平成27年に政府から「遺言控除」新設の方針が示されたようです。

この遺言控除について政府が新設の方針を示した平成27年には、従来は5000万円+(相続人×1000万円)だった相続税の基礎控除額が減り、現在は3000万円+(相続人×600万円)となったことは、ご存知の方も多いかと思います。

相続税の基礎控除額が減ったことで、今まで相続税がかからなかった家庭にも税金がかかるようになる可能性が高くなりました。

そこで、相続税の基礎控除額の縮減に代わる新たな税金対策として、遺言控除が考えられたということです。

この遺言控除が正式に制度として運用されれば、数十万~数百万円の節税になるだろうと予想されています。

 

遺言控除の目的

政府が新たに遺言控除を新設する目的は次のように言われています。

①遺言の普及による相続の紛争の抑止
②次世代への円滑な財産の承継
③在宅看護の促進
④不動産の円滑な承継による空き家問題への抑止

 

①について、現在相続税がかかる相続案件のうち、遺言を書き残している案件は全体の2割程度であり、紛争予防・抑止としての遺言の制度が利用されていないことは、非常に深刻な問題となっています。

日頃から他人の相続手続きに携わっている立場からみても、遺言がない場合の紛争になる割合は近年特に高く感じます。

なんせ一日600件以上の相続に関する事件が申し立てられている時代なので、そう感じるのはある意味当然だとも言えますが・・・。

ですので、遺言控除が新設され遺言の利用促進に繋がれば、間違いなく相続に関する紛争の抑止になりますし、とても良い制度だと思います。

 

遺言控除はどうなった?現在の審議は?

上で説明したように、相紛争抑止策として、相続税対策として期待が高まっている「遺言控除」ですが、政府が最初に新設すると示した平成29年になっても何の音沙汰もありません。(平成29年5月24日現在)

遺言控除はどうなった?議論はされているの?と疑問に思われる方もいるかと思います。

政府が2年前の平成27年に示した方針では、早ければ平成29年度中の税制改正で遺言控除の実施を目指すということでした

しかし、実は昨年平成28年税制改正審議の中で遺言控除について審議がなされ、遺言控除の創設は見送り、長期検討項目になってしまっていたのです。

しかしまだ遺言控除の案が消滅したわけではないので、今後審議され来年・再来年の税制改正で創設されることがあるかもしれません。

過度に期待せず、気を落とさず、今までどおり「出来たら良いな」程度の感覚で気長に待つ必要がありそうです。

 

以上「遺言控除」に関するお話でした。