銀行手続や登記手続が楽になる?!~法定相続情報証明制度~

皆さんこんにちは。司法書士の上塩入です。

さて、5月29日から、相続に関わる司法書士にとっては
なかなか大きな制度が始まります。

その制度というのは、「法定相続情報証明制度」です。
漢字が長いし良く分からないかと思いますが、これまでと何がどう変わるのか。それを簡単にご紹介します。

法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度の説明をする前に、まず名前が長ったらしいですね(苦笑)
何度も打つのも面倒なので、勝手に相続証明と呼ぶことにします。
この相続証明とは、法務局が“亡くなった方の相続人が誰なのか”を公的に証明する書類のことです。
亡くなった方の戸籍や相続人の戸籍など一式を法務局に提出すれば、法務局が窓口で相続証明書を発行してくれるようになります。

この制度の狙いは

  1. 手続を簡略化することにより相続人、銀行や証券会社の負担軽減
  2. 相続登記の必要性を喚起し、空き家問題などの解消

の2つだと言われています。

それでは、この制度が始まることで、これまでと何が変わり、
どこが便利になるのか。それを順番に説明します。

これまでの相続手続は面倒だった

まず相続が発生した場合、銀行口座や証券、不動産の名義変更などの手続をしますよね。
その手続をするために、“亡くなった方の相続人が誰なのか”を公的に証明する必要があるので、亡くなった方が生まれてから死亡するまでの戸籍や除籍、住民票の除票などをまとめたものを銀行や証券会社、法務局や税務署に提出していましたが、実はこれが結構面倒なのです。

というのも、これまでは、例えば戸籍一式を銀行に提出すれば、銀行からそれが返ってくるまで2週間ほどかかるので、その間は他の証券会社や法務局の手続が出来なかったのです。
そして返ってきたらまた別の銀行に提出して・・・と、口座や取引証券会社が多いとこれだけで何ヶ月もかかることもザラです。
それなら戸籍一式を2部ずつ用意すれば良いのでは?と思うかもしれませんが、戸籍一式を集める費用は意外と高いので、2部ずつ集めたりすると高額になってしまいます。
さらに困るのは、やっと戸籍が返ってきたと思ったら一部紛失していたり、、、なんて事も過去にありました。いくら銀行や法務局といえども人間なので、たまにはそんなこともあるのは仕方ありませんが、こうなるとまた戸籍の取り直しになり、更に日数がかかってしまいます。

反対に銀行や証券会社の立場からしても、決して戸籍をチェックするプロではない方が一から戸籍を確認し、法定相続人を確定するという、非常に責任の重いことをしなければならず、負担が大きいものでした。

これではいかん、どうにかならないものかと考えられ(むしろ遅いぐらい)、始まるのがこの制度なのです。

何が変わるのか①負担の軽減

この制度によって、これまで何枚もの戸籍の束を銀行などに提出しては回収していたものを、公的なお墨付きのたった1枚の紙にしてしまうことで、一目みれば誰が相続人なのか分かるようになり、相続人にとっては提出する負担(重い、ややこしい、郵便料や時間がかかる)が減りますし、銀行などの担当者にとっては難しい相続関係をチェックする時間と労力がなくなり、手続がかなりスムーズになります。
しかも、必要に応じて法務局で何枚でも発行してくれますので、複数の銀行や証券会社に対して同時に手続をすることも可能になります。

常日頃から多くの相続案件に関わる我々司法書士の立場としても、銀行や証券会社での手続がスムーズになればよりスピーディに動くことができるようになるので、とてもありがたい制度です。

何が変わるのか②相続登記の必要性の喚起

正直この②に関しては、国や法務局の狙いどおりにいくのか分かりませんが、確かに空き家問題や所有者不明の土地問題はかなり深刻になってきているのはたしかです。

これからますます少子高齢化社会は進んでいきますので、何とか対策をしていきたいという中で考えられたのではないでしょうか。

冒頭で説明したように、法務局相続証明は法務局が発行してくれます。
このとき、相続登記の必要性や、放置することのデメリットなどを説明してくれる(予定らしい)ので、今までより相続手続が進み、空き家問題なども解消していくのではないか、という狙いのようです。

しかし、そもそも相続証明を知っていて利用しようとしているような相続人は、法務局に「不動産の相続登記もしてくださいね」なんて言われなくても元からそのつもりのはずですから、どこまで効果があるのかは何とも言えません。。。

とはいえ、相続登記件数が増加することは司法書士にとっては仕事が増えるのでありがたい話ですし、国にとっても空き家問題や土地所有者不明問題が解消されれば有効活用できることになります。
相続登記が促進されることで、今まで「良い土地なのに使えなかった」土地などが市場に多く流通するようになり、好立地物件が増えたり、不動産の価格競争により低価格で良い不動産を手に入れられたりと、市民にとってもメリットは多いと思います。

 

5月29日から始まる「法定相続情報証明制度」によって皆が得するように、これからに期待です!

 

(以下は「法定相続情報証明制度」についての法務省のHPですので、ご興味のある方はチェックしてみてください。)
法定相続情報証明制度が始まります!