MENU

電話・メールでご相談
メール24時間受付中

お電話はこちらから WEBからのご相談はこちら

遺言で自分の財産を寄付するには?生前、死亡時の寄付方法と注意点

2023 12/06
遺言で自分の財産を寄付するには?生前、死亡時の寄付方法と注意点

自分が亡くなったときに財産を寄付したいというご相談が増えています。

生前、死亡時に寄付をする方法や注意点を解説します。

目次

寄付が増えている理由

核家族化や少子高齢化により、身寄りがない方や親族と疎遠になっている方が増えています。それとともに、ご自身が築いてきた財産を有益に活用してほしいとの願いから、当事務所にも寄付について相談する方が多くなっています。

寄付の相手方

寄付の相手方は、役所、NPO法人、財産法人など、慈善活動や公益のために活動している団体にすることが一般的ですが特に制限はありません。

最近ではIPS細胞の研究開発や教育機関への寄付も増えています。
また、団体ではなく個人で活動している方や、宗教法人へ寄付することもできます。

相続人がいても寄付できる?

寄付は身寄りがない方や親族と疎遠になっている方だけがするイメージがあるかもしれませんが、相続人の有無は関係ありません。

ご自身が亡くなったときに配偶者、子供、親、兄弟姉妹など、法律上の相続人になる人がいたとしても自由に寄付をすることができます。

生前に寄付をする方法

ご自身がお元気な内に、寄付をする方法です。

自分の希望通り確実に寄付をすることができ、寄付後の財産の活用まで見届けることができます。

生前に寄付をするには、寄付を考えている相手に連絡を取り、寄付を希望している旨を伝えることで手続きができます。
ただし、寄付の受け入れ先が公益社団法人や公益財産法人などではなく一般社団法人や株式会社、個人の場合、寄付を受け入れる側に贈与税がかかることがあります。

死亡時の寄付の方法

寄付を希望する方で多いのが、ご自身が亡くなったときに寄付をしてほしいというご相談です。亡くなった時に寄付をする方法はいくつかあります。

遺言書による遺贈

もっとも多い寄付の方法が遺言による寄付です。
遺言書は、遺言を作成した本人が亡くなったときに、遺言者の財産を誰が受け取るのかを定める法的な書面です。

遺言書は自筆証書遺言書と公正証書遺言書があり、それぞれ有効になる要件が異なりますが、有効であればどの団体、誰に財産を受け取ってもらうのかは遺言者の自由ですので、相続人の有無、財産の大小に関係なく寄付をすることができます。

ただし、法律上は「寄付」という行為や契約があるわけではなく、あくまで「遺贈(遺言による贈与)」という扱いになります。

死因贈与契約

死因贈与契約は、「贈与者が死亡したときに財産を贈与します」という、財産をあげる人ともらう人の間の契約です。

遺言書による寄付(遺贈)と類似している制度ですが、死因贈与契約は生前に寄付を受ける個人や団体と契約をするため、贈与者が死亡したあと財産を受け取る契約をした相手は勝手に取り消すことができません。

遺言による寄付の注意点

寄付を拒否される可能性がある

遺言書による寄付は遺贈と呼ばれる贈与の一形態です。
遺言書によって遺言者が単独財産を渡す旨の意思表示ができるので、寄付を受ける相手に知られることがない一方で、遺贈は拒絶することができます。

包括的な寄付は債務も承継される

遺言書による寄付(遺贈)は、すべての財産を寄付するといった包括的な文言で作成することもできます。

ただし、包括的な遺贈は相続人と同一の地位になるため、マイナスの財産もまとめて承継させてしまうことになります。寄付を受ける側が知らないうちに債務を承継させることになるリスクがあり、仮に債務も承継されると知れば拒絶されるリスクがあります。

寄付を受ける団体に対して包括的な遺贈を行わず、できるだけ具体的な財産を寄付するようにしましょう。

金銭以外の寄付は断られる可能性が高い

遺言書による寄付は、遺言者が相手と相談せず自由に意思表示することができます。

寄付は現金、預貯金、自動車、株式、不動産、貴金属など基本的に何でも申し出ることができますが、一般的には金銭以外の寄付は断れることが多くなります。

特に、不動産や自動車は管理保有自体にコストがかかるばかりでなく、土砂災害や事故によって第三者に損害を与える危険性のある財産ですので、寄付を受ける役所やNPO法人は現金以外の寄付を受け付けていないことがほとんどです。

贈与税、相続税がかかる可能性がある

生前の寄付は受け取る団体によっては贈与税がかかります。贈与税は税率がかなり高い税金で、最大で約50%近くもの税金を取られることもあります。

また、遺言書による寄付も、金額によっては相続税の対象になり、不動産の寄付であれば不動産取得税がかかることがあります。
寄付によっていくら税金がかかるのかを税理士に相談し、計画的に寄付を行うことを検討しましょう。

寄付先が死亡、消滅、解散している可能性がある

寄付をする先の団体が活動をやめていたり、消滅解散していることがあります。
その他、当初の団体理念から外れた活動に変わり、遺言者にとって魅力的な寄付先でなくなっていることもあります。

寄付をする相手が解散していたり、遺言者の理念に沿った活動をしていない場合に備えて、二次的な寄付の相手を検討しましょう。

遺留分を請求される可能性がある

遺言者(寄付者)に配偶者、子供、親などの法定相続人がいる状態でNPO法人などに寄付をすると、本来の相続人から遺留分の主張がされることがあります。

遺留分とは、兄弟姉妹を除く法定相続人が最低限受け取ることのできる取り分のことです。
法定相続人から寄付を受けた相手に対して遺留分の請求がされると、遺留分の金額分の寄付を相続人に戻さなければならないため、法定相続人がいる方が寄付をするときは遺留分を考慮して対策することになります。

寄付は必ず事前に相手に相談するべき

以上のように、寄付の内容や金額によっては相手に負担がかかってしまうことがあります。

寄付を拒絶されてしまうと、寄付を希望した人にとって望ましくない相続人に財産が承継されたり、相続人がいない場合は国のものになってしまいます。

寄付を検討している場合は、必ず相手の団体に寄付のことを相談し、受け取ってもらえる内諾を得ておく方が良いでしょう。

遺言による寄付を実現するには

遺言執行者を指定する

遺言書に従って確実に寄付をするには、遺言に書かれた内容を実現する人の存在が欠かせません。遺言書の内容を実現するために手続きを行う人を「遺言執行者」と呼びます。

遺言執行者は特別な資格がなくてもなれますが、遺言によって寄付を考えているのであれば司法書士や弁護士などの相続に強い法律の専門家を指定すると、確実かつスムーズに手続きを行うことが可能です。
また、遺言書の作成段階から相続や寄付に関する相談をすることができます。

不動産や株式は換価処分して寄付

不動産や株式は、保有管理すること自体にコストやリスクが発生するため、寄付を受ける団体が拒否する可能性があります。
確実に寄付を受け取ってもらうために、不動産や株式は「清算型遺贈」という方法で寄付をすると良いでしょう。

清算型遺贈とは、不動産や株式、家財道具、貴金属などの現金以外の資産をすべて換価、つまりお金に換えてから寄付する形式の遺言です。

前述した遺言執行者を指定しておけば、遺言執行者が遺言者の死亡後に換価処分手続きを行い、金銭をNPOなどの団体に寄付するため、確実に受け取ってもらうことができます。

遺言書での寄付を司法書士に相談するメリット

法的に有効な遺言書ができる

相続に特化した司法書士であれば、法的に有効な遺言書を作成することができます。
また、公正証書で遺言書を作成しますので、改ざん紛失などのリスクがありません。

二次相続や財産変化に対応した遺言書ができる

遺言書を作成する際は、寄付の相手方に不慮の事故や想定外の事由が起きた場合や、財産を受け取る団体が先に消滅している場合、寄付を断られた場合を想定して作成することが重要です。

また、遺言書を作成したあとに、不動産を購入する、不動産を処分する、預貯金を解約する、親の不動産を取得するといった財産状況の変化が起こることがありますので、財産状況の変化まで想定して作成すれば、作成し直すことがなくなります。

相続専門の司法書士に相談いただくことで、二次相続や財産状況の変化を考慮した遺言書が作成できます。

遺留分に配慮した遺言書を作成できる

兄弟姉妹を除く法定相続人には遺留分があるため、遺言書の寄付の内容によっては遺留分の請求をされることを前提とした相続対策が求められます。

相続に強い司法書士であれば、遺留分を考慮した遺言書の作成や、相続対策を相談することができます。

死亡後の寄付を確実に素早く行える

遺言書は作成して終わりではなく、実際に遺言者が死亡して初めて効力が発生し、手続きを進めていくことになります。遺言書に基づいて相続手続きを行う人を遺言執行者と呼びます。

寄付や寄付の前提としての換価処分(相続)手続きは戸籍の取得、金融機関、証券会社、法務局での相続手続きなど、平日に様々な手続きが求められます。

相続に特化した司法書士にご相談いただくことで、遺言書作成段階から遺言執行者も任せることができ、相続が起きた後のスムーズな相続手続きが可能です。

また、不動産の相続登記手続や不動産の売却による登記は司法書士が専門家ですので、司法書士を遺言執行者にすることで、弁護士や行政書士を遺言執行者にする場合に比べ、登記手続きを別途依頼する必要がなくなり、その分費用が安くなります。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

目次
閉じる