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遺言執行者とは?遺言執行者のメリットデメリット、選び方、注意点など

2023 10/28
遺言執行者とは?遺言執行者のメリットデメリット、選び方、注意点など
目次

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続をする人のことです。

相続人全員の代理人という立場で手続を行うとされています。

遺言執行者はどんな時にでてくる?

遺言執行者はその名のとおり「遺言を執行する者」ですので、遺言書を用いて相続手続をする場合に出てくる用語です。

遺言を使用しない相続手続には遺言執行者は登場しません。

遺言執行者は誰がなれる?

遺言執行者は、未成年者と破産者を除き、法的な資格や制限はありません。

遺言によって財産を相続する人を遺言執行者とすることや、司法書士などの相続の専門家を遺言執行者に指定することがあります。

遺言執行者の選び方

相続開始前

相続が起きる前(遺言者が亡くなる前)であれば、遺言書で遺言執行者を指定することができます。

直接指定する

遺言執行者を直接指定することができます。

直接具体的に遺言執行者になってほしい方が決まっている場合はこの方法によります。

遺言執行者の指定を第三者に委託する

遺言執行者を選ぶ権限を第三者に委託し、遺言を執行する時点での第三者の判断に委ねます。

相続開始後

遺言執行者が指定されていたものの、就任を辞退した

遺言執行者が指定されていたものの、遺言者より先に死亡した

遺言執行者が指定されていない

これらの場合には、相続人や受遺者等の利害関係人は、家庭裁判所で遺言執行者の選任申立てをすることができます。

公正証書遺言書の場合、相続開始後に遺言執行者選任申立てのみをすることになります。

自筆証書遺言書の場合、相続開始後に家庭裁判所に対して遺言書検認申立をする必要があるため、遺言執行者を選任したい場合は検認申立と続けて申立てします。

遺言執行者の就任または辞退

相続発生後、遺言執行者に指定された人は遺言執行者に就任するか、辞退するかを選択します。

遺言執行者は相続人の代理人として財産目録を作成し、相続手続を適切に行う責務があり、場合によっては財産を受け取る相続人と、遺留分侵害額請求をする相続人との板挟みにあうなど精神的身体的な負担が大きい役割です。

遺言書作成に関与しておらず、財産の把握ができていない

遺言執行者として職務を遂行することが難しい、負担が大きい

当初は承諾していたが、事情が変わり遺言執行者に就任できない

など、様々な理由で遺言執行者を辞退することもありますが、遺言執行者がいなくなっても再度選び直せるので、指定されたからといって就任しなければならない訳ではなく、辞退は悪いことではありません。

就任するか辞退するかに関わらず、自分が遺言執行者に指定されている場合は、相続が発生したあと速やかに相続人たちに通知する必要があります。

遺言執行者が就任するか辞退するか表明しない場合

遺言執行者に指定された人が就任するか辞退するかを明らかにしない場合、相続人等は遺言執行者に対して一定期間内に就任するか辞退するか応答するように求めることができます。

遺言執行者に指定された人が一定期間内に就任も辞退も表明しない場合は、就任を承諾したものをみなされます。

遺言執行者を解任することができる?

遺言執行者が就任後何もしない、任務を適切に行わないなどの理由があるときは、相続人等の利害関係人は裁判所に申立をしてやめさせる(解任)することができます。

その他、遺言執行者が任務を行えなくなった等の事情があれば、家庭裁判所の許可を得て自ら辞任することもできます。

遺言執行者がすること、できること

財産目録の作成

遺言執行者が就任後まずすることは、自らの就任承諾の通知と、財産目録の作成交付です。

遺言者が死亡時点でどのような財産があるのかを目録として作成し、遅滞なく法定相続人に対して交付しなければなりません。

相続人、相続財産の調査

遺言執行者は法定相続人が誰なのかを調査することができます。

また、同じように相続財産を具体的に銀行や証券会社に問い合わせして調査することができます。

遺言の執行

遺言執行者は、遺言に記載された内容を実現するために、次のような財産の相続手続(遺言の執行)をします。

銀行預金口座の解約と受け取り

証券会社の証券口座の解約と株式の移管

不動産の相続登記

遺贈による所有権移転登記

出資金の解約と受け取り

自動車の名義変更

遺言執行者がいるメリット

相続手続がスムーズになる

遺言執行者がいることの最大のメリットは、受取人の数や方法にかかわらず、遺言執行者が1人ですべての手続をすることができる点です。

遺言執行者がいなくても遺言書は有効ですし、遺言執行者がいなくても手続することは可能ですが、遺言執行者がいない遺言書での相続手続は、基本的に受け取る相続人がご自身で手続しなければなりません。

受取人が多い遺言書の場合は相続人全員が署名実印のうえ印鑑証明書を提出して銀行や証券会社の手続をしなければなりません。

また、受け取る相続人が身体的、精神的な事情で手続できない状態だと、手続が止まってしまいます。

遺言執行者がいれば、遺言執行者さえ署名押印すれば、これらの複雑な問題点を一挙に解決し、手続を進めることができます。

相続人間の紛争が起きた際の窓口になる

相続人同士が遺留分侵害額について揉めてしまったとき、遺言執行者がいる場合は、算定根拠となる財産の評価証明書の取得や財産目録の作成、遺留分権者との折衝などを侵害請求された相続人に代わって行うことになります。

相続人同士の争いの真ん中に遺言執行者が入ることで、感情的な対立、相続人の精神的な疲弊をある程度防ぐことができます。

安心確実に財産を受け取ってもらえる

財産を受け取る人自身が遺言執行者になることもできますが、司法書士や弁護士の専門職を遺言執行者に指定することで、例えば財産を承継する人が認知症や寝たきりになっている、高齢や身体の状態を理由に相続手続をする体力がない、といったケースでも関係なく確実に財産を受け取ってもらうことができます。

相続人の処分行為を無効化できる

遺言執行者が選任されている相続では、他の相続人は相続財産の処分や遺言執行を妨げる行為をすることができません。

遺言執行者がいない相続手続きは相続人の処分行為を無効にする規定はありません。
遺言執行者がいる相続手続きは、それだけで相続人の行為を抑制する効果があります。

相続手続きに必要な書類が少ない

遺言書を作成する目的の1つに「相続人全員の協力がなくても手続きができる」点があります。しかし、遺言執行者がいない通常の不動産の相続手続きでは、状況によって相続人全員の印鑑証明書や上申書という書類を提出し、結局相続人全員の協力が必要になってしまうことがあります。

遺言執行者は「相続人全員の代理人」という立場のため、仮に相続人全員の協力を要する書類の提出が必要になったとしても、遺言執行者1名のみがその書類に署名押印されすれば良いことになり、必要な書類が限りなく少なくなります。

遺言執行者がいるデメリット

遺言執行者の報酬が発生する

遺言執行者は、家庭裁判所に申し立てをして相続財産額に応じた報酬を受け取ることができます。

そのほか士業や銀行など遺言執行を業とする専門家の場合は、遺言執行報酬を定めていることがほとんどですので、報酬を支払う必要があります。

遺言執行者に関する注意点

遺言執行者として適任か?

遺言執行者は、相続人調査、預金などの財産調査、相続人への通知、財産目録の作成、法務局での不動産の相続登記、預貯金の解約と受け取りなど、およそ平日に動かなければならない業務が主です。

遺言の目的は、相続人がなるべく話し合いをせず、相続人が円滑に財産を受け取ることになります。

遺言執行者に指定した、された人が実際に動くことができなければ、遺言の本来の目的が達成できないばかりか、相続手続自体が止まってしまいます。

遺言執行者として適切に手続を行うことができるかどうか、指定前に検討しましょう。

遺言執行の妨害行為の禁止

遺言執行者がいる場合、相続人や受遺者は、相続財産を処分したり、遺言執行を妨害する行為をすることができません。

遺言執行者がいるにもかかわらず相続人が各々で処分できるとすると、遺言執行者が指定された意味がないばかりか、相続人と遺言執行者で重複する行為などが生じてしまう可能性があり、取引や遺産承継の安全性が害されることから、遺言執行者がいる場合の相続人は相続財産を処分したり、遺言執行を妨害する行為をすることができないことになっています。

遺言を反故にする遺産分割

遺言がある場合でも、相続人全員が同意すれば遺言書に記載された内容とは異なる内容で相続することができます。

但し、遺言執行者がいる場合は遺言執行者の許可を要するとされています。

法定相続人に対する通知

遺言執行者は、相続人に対して相続財産目録を交付する必要がありますが、これは遺言によって相続財産を受け取らない相続人に対しても同様です。

遺言書がなければ本来一定の相続分を有していた相続人であることは間違いありませんので、「遺言書によってあなたは財産を受け取ることがなくなりました」という連絡をするために通知は必須です。

また、この通知によって遺留分を侵害されている相続人に侵害額請求権を行使する機会を公正に与えることができるとともに、請求期限が分かるので、財産を受け取る相続人にとっても、期限が分からない請求に対して不安になることがなくなります。

遺言執行者を選んでおいた方が良いケース

相続人が多い、相続財産が多い

相続人が多い場合や相続する財産が多い場合、遺言執行者を指定することで、基本的に遺言執行者のみが書類に署名押印し印鑑証明書を提出すれば相続の手続ができるようになり、手続自体が非常にスムーズになります。

特定の相続人にだけ財産を相続させる、または相続人の仲が悪い

相続人のうち特定の人物にだけ多くの財産を残すような遺言にしている場合や相続人の関係性が良くない場合、相続人同士が揉めてしまうことがあり得ます。

遺言執行者を指定しておけば、相続人同士がトラブルになりそうな場合にも、中立な立場で対応することができます。

音信不通の相続人がいる

不仲と似ていますが、音信不通の相続人がいる場合、遺言執行者を指定しておけば、その相続人が存命なのか死亡しているのかを調査することができます。

また、相続人の所在が判明した場合は、相続人から連絡しにくいことでも、遺言執行者として連絡をすることが出来ます。

遺言執行者を専門家にするメリット

相続人が行う精神的、身体的負担が激減する

遺言執行する瞬間とは、遺言を作成された方が亡くなった直後が一般的です。

つまり、相続人にとっては大切な親族が亡くなった直後であり、精神的な疲労が極限に達している中で、葬儀や役所の手続、お墓のこと、親族関係者への連絡など、慌ただしい時間を過ごすことになります。

司法書士などの法律の専門家を遺言執行者にすることで、相続人の精神的、身体的負担を大きく減らすことができ、亡くなられた方と向き合う時間を設けることが可能になります。

素早く確実な相続人調査、財産調査ができる

相続開始から4か月以内に準確定申告をしたり、10か月以内に相続税の申告をしなければならないなど、期限がある相続の場合は、相続人調査と財産調査を素早く正確に行うことが要求されます。

相続に特化した専門家であれば、相続人の調査や財産の調査を素早く、正確に行うことができ、その後の相続手続や相続税申告に多くの時間を割けるようになります。

不動産の相続登記、預金解約などがスムーズにできる

相続が起きたあと、不動産の相続登記、預金の解約、証券の移管手続が完了しなければ、いつまでもその財産が宙に浮いた状態になり、不動産や株式を売却したり、解約預金から各種支払をすることもできません。

相続の専門家であれば、これらの相続手続をスムーズに行うため、相続した後の不動産の売却や支払などもより早く行えるようになります。

遺留分など複雑な事情の窓口になってもらえる

相続人が遺留分や特別受益でもめているなど複雑な事情がある場合、遺言執行者がそれぞれの実質的な窓口になることが多く、相続人が直接話し合うことによる感情的なわだかまりが生じることを避け、冷静で建設的な協議が期待できます。

公正な立場から、助言や手続をしてもらえる

遺言執行者は主に財産を取得する相続人の手続に従事することになりますが、遺言の内容を実現するための、相続人全員の代理人という立場です。

しかし、相続人が遺言執行者の立場を兼ねてしまうと、公正さに欠けるリスクがあります。

相続の専門家を遺言執行者にすることで、仮に遺留分を主張する相続人がいる場合でも、相続人の誰かに肩入れするのではなく、公正な立場から助言や手続を行うことが可能です。

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