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司法書士事務所による遺産分割協議書の必要性と
簡単なひな形の活用方法

2023 8/07
司法書士事務所による遺産分割協議書の必要性と簡単なひな形の活用方法

遺産分割協議書とは、相続人が遺産の分割について合意し、その内容を明確にするための文書です。

遺産分割協議書を書面で作成することで、亡くなった方名義の財産を「誰が・何を・どれだけ」相続するのかを客観的に明らかにすることができるだけでなく、相続人のトラブルを防ぐことにも繋がり、相続手続きを円滑に進めることが可能となります。


本記事では、遺産分割協議書の必要性とその活用方法を解説します。また、簡単なひな形や記入方法もご紹介します。

【遺産分割協議書が必要なケース】

遺言書が無く相続人が複数いる場合

亡くなった方が遺言書を残しておらず、複数の相続人がいる場合、原則は法定相続人が法定相続分を取得することになります。

しかし、不動産は共有名義にすると、売却や管理の方法で相続人が逐一協力しなければならず、トラブルの可能性が高くなります。

そのようなときには、「相続人の協議の結果、不動産はAが相続する」ことになった旨を記載した遺産分割協議書を作成すれば、不動産をAのみの名義にすることが可能となります。


また、仮に口頭で遺産分割の協議ができていたからといって、書類を作成しないでいると、後日気が変わったり相続人が違う解釈をしていたなどの理由で、相続人同士でトラブルが起こる可能性が高まります。

遺産分割協議書を作成することで、第三者から見ても「誰が・何を・どれだけ」相続するのかを明らかにすることができ、紛争を回避することができます。

遺言書はあるが、それに従わずに相続する場合

遺言書がある場合、通常は故人の意志を尊重し、遺言に従って遺産を分配します。


ただし、相続人全員の同意がある場合は、遺言書の内容ではなく、遺産分割協議によって相続財産を分けることができます。


そのほか、遺言書が法律上無効な方法で作成されている場合、「全財産は家族で分けること」といった曖昧な内容で具体的な分割が記載されていない場合、遺言書に特定の財産についてしか記載がない(相続財産の書き漏らしがある)場合は、相続人全員で遺産分割協議が必要になります。

協議の過程で同意した相続人が後から「同意していない」や「改めて考えたら、故人の土地や建物が欲しい」と主張することを防ぐため、同意内容を記した遺産分割協議書を証拠として作成することが重要です。

遺産分割協議書は、後の相続税申告や不動産登記などの手続きにも必要となります。

相続登記・相続税申告等の手続きが必要な場合

不動産や自動車などの名義変更(相続登記)を行う際、遺産分割協議書が必要になることがあります。

相続後は、被相続人の名義から相続人の名義に変更することが必要で、相続人名義への変更を行わないと売却や廃車などの手続きができません。
ただし、法定相続分による共有取得の場合は、協議書がなくても登記が可能です。

相続人間のトラブル防止

遺産分割協議書を作成し、遺産の分割方法について明確にすることで、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。

例えば遺産分割協議書の内容と異なる行動を相続人が取った際、遺産分割協議書を根拠に反論できます。

特に、法定相続分と異なる割合での分配や、不動産など平等に分けにくい相続財産がある場合、分割内容をきちんと記録しておくことが重要です。

【遺産分割協議書の基本項目】

記載すべき内容は大きく5点です。

(1)被相続人の死亡時住所、氏名、死亡日
亡くなった方の情報を最初に記載し、人物を特定します。記載する内容は、住所や本籍、氏名、生年月日、死亡日です。

(2)相続人の情報
(1)で特定した被相続人の相続人が誰であるかを特定します。
遺産分割協議書の冒頭部分に相続人の氏名のみを記載し、末尾の署名押印欄に相続人の氏名、住所を記載します。
さらに、遺産分割協議書には相続人全員の実印での押印が必要です。
相続人が署名実印での押印をすることで、記載された内容で合意したことを客観的に明らかにします。

(3)遺産の詳細
遺産分割協議書には、分割する対象の相続財産を記載して特定します。
例えば、不動産、預貯金、株式、車両、家財道具などです。
但し、必ずしも1枚の協議書(1回の協議)で全ての財産の分割方法を決める必要はなく、一部の財産の分割のみ協議が成立している場合は、一部の財産のみを記載した遺産分割協議書を作成することも可能です。

(4)分割方法
遺産分割協議書がない場合は法定相続人が法定相続分の割合で相続します(共有になります)が、特定の財産を特定の相続人だが相続する場合は、誰が(3)の財産を相続するのかを記載します。

(5)分割協議が成立した日
相続人の遺産分割協議が成立した日を記載します。

【使いやすい遺産分割協議書のひな形】

ひな形はこちらよりダウンロード出来ます。

注意点1 相続人全員の合意

遺産分割協議書作成時の注意点として、相続人全員の合意が得られていることが大前提です。
相続人全員が合意していない段階で遺産分割協議書を作成してしまうと、感情的な対立を招くことがあります。
また、遺産の詳細や分割方法が曖昧であったり、相続人の情報が不正確であると、遺産分割協議書そのものが使用できなかったり、後日相続人同士でトラブルの原因となりますので、注意が必要です。

注意点2 後から見つかった遺産

遺産分割協議は、遺産分割協議書に記載された財産に関してのみ効力を発揮します。

しかし、遺産分割協議が完了した後でも、動産、宝石、財布や現金などが新たに発見されることがあります。

そのような場合、新たに見つかった遺産の取得者が協議書で指定されていない限り、再度遺産分割協議を実施する必要が生じます。
文例
【特定の相続人が取得する場合】
本協議書に記載されていない遺産や後に判明した遺産については、相続人〇〇〇〇がすべて取得することとする。
【別途協議とする場合】
「本協議書に記載されていない遺産や後に判明した遺産については、相続人同士でその分割について改めて協議を行う。」

注意点3 未成年者や認知症の方がいる場合

未成年者や認知症の方がいる場合、遺産分割協議の前提として未成年後見人、成年後見人、特別代理人を選任しなければいけないケースがあります。

これらの場合、まずは遺産分割協議自体が複雑になりますので、まず弁護士や司法書士に相談しましょう。

未成年者がいる場合の遺産分割協議についてはこちら

注意点4 複数の相続が発生している場合

被相続人が亡くなった後に、別の方が亡くなっている場合(数次相続)、遺産分割協議書の記載方法が少し複雑になります。

また、相続人や法定相続分の算定も高度な知識を要求されますので、相続の専門家に相談しましょう。

遺産分割協議書の法的拘束力や取り消し変更について

遺産分割協議書の法的拘束力

遺産分割協議書は、相続人間の合意に基づいて遺産の分割方法を明記した文書であり、法的拘束力があります。この協議書によって相続した相続人が、自分が相続した前提で第三者と取引を始めることもありますので、相続人同士だけでなく第三者からしても遺産分割協議書の存在は非常に強い意味を持ちます。

遺産分割協議書の取り消しや変更

遺産分割協議書は、原則として協議後に相続人の1人による一方的な取り消しや変更はできません。

ただし、相続人全員の同意がある場合や、協議書に重大な事実誤認がある場合などは、取り消しや変更が可能です。

遺産分割協議の際の心構え

遺産分割協議では、感情に流されず冷静な対話と協力が重要です。適切な解決策を見つけるために、お互いに意見を尊重し合い、共に協力しましょう。

  1. 情報共有と透明性の確保
    遺産分割協議の過程では、遺産に関する情報を全ての相続人が把握し、透明性を確保することが重要です。情報の非対称性が生じることで、不信感や対立が生じる可能性がありますので、適切な情報共有を心掛けましょう。
  2. 誠実な交渉
    遺産分割協議では、相続人間で誠実な交渉が大切です。相手の立場や要望を理解し、柔軟な対応を心掛けることで、円満な遺産分割が可能になります。また、必要であれば専門家に相談することも考慮しましょう。

遺産分割協議書は弁護士や司法書士へ相談

遺産分割協議書の作成にあたっては、相続を得意とする弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

司法書士は遺産分割協議書の作成に関する法律知識や経験が豊富であり、適切なアドバイスを提供してくれます。


弁護士は相続人同士がもめていたり協議がまとまらない場合に、代理人として仲裁してくれることがあります。

まとめ

遺産分割協議書は、遺言書がある場合、相続人が1名である場合、または相続人全員が法定相続分どおりの相続をする場合以外は、相続の手続で欠かせない重要書類です。


金融機関、証券会社や不動産の相続手続など、ありとあらゆる相続手続は遺産分割協議書に記載されたとおりの内容で行われます。


また、遺産分割協議書は、相続人の後日の紛争を防ぐためにも重要です。
適切な遺産分割協議書を作成することで、相続に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
遺産分割協議書はご自身で作成することもできますが、より良い相続の実現のために、専門家に依頼することも検討してみましょう。

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