自筆証書遺言書の封とは?

こんにちは。神戸の相続司法書士上塩入です。

今日は自筆証書遺言書の”封”についてお話します。

自筆証書遺言書に封がされている場合の対処法

自筆証書遺言書を発見したものの、封がされている場合、そのまま勝手に開けてしまって良いのでしょうか。

また、そもそも封とはどういう状態のことを指すのか、今回は自筆証書遺言書の封についてお話します。

 

自筆証書遺言書とは

自筆証書遺言書とは、その名のとおり「自筆」つまり自分の手で書いた遺言書のことをいいます。

自筆証書遺言書は、誰でも簡単に作成できる手軽さがある反面、きちんと法的な要件を備えることが大前提となっているため、その作成方法が法律で厳しく定められています。

(自筆証書遺言)
民法第968条 自筆証書遺言によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

ワープロやPCで作成した遺言書は、誰が作成したかわからない(いくらでも改ざん・偽造できてしまう)ため、自筆が要求されています。

また、遺言書の本文のほかに、日付と氏名を自署し、押印がされていないと自筆証書遺言書としては有効になりません。

しかも、この日付は客観的に日を判別できるものでないといけません。

たとえば、「平成30年1月1日」のような具体的な表示のほか、「2020年東京オリンピック開催日」のような表示はOKですが、「2月吉日」「1月某日」のように特定ができない表示は日付が書かれていないことになり、遺言書全体が無効になってしまいます。

このように、自分で簡単に作成できる自筆証書遺言書は、その要件が厳しく定められており、1つでも不備があると全体として無効になるリスクがあります。

 

 

自筆証書に封がされている場合

 

自筆証書遺言書は、上の要件を備えていれば有効になりますが、そのままの状態では遺言書の内容が丸見えになってしまうので、封筒などに入れられている場合があります。

封がされている遺言書の場合、相続人であっても勝手に開けることは出来ません。

もし封がされている遺言書を発見した場合は、開けずに家庭裁判所で「検認」の手続をする必要があります。

検認とは、遺言書の内容を保全し確認するための手続で、公正証書遺言書と違い、原則は相続人全員が家庭裁判所に集まらないといけません。

これは、自筆証書遺言書が公正証書遺言書と比べて、簡単に改ざん・隠蔽・破棄される恐れがあるため、その内容を保全するために必要な手続になります。

もし封がされている状態の遺言書を発見した場合は、速やかに弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談しましょう。(行政書士は遺言書検認の申立て書類を作成したり、相談を受けることはできません)

 

遺言書の「封」とはどの状態を指すのか

遺言書に封がされている場合、たとえ相続人が1人で、遺言書を発見したのがその相続人だとしても、勝手に開けることは許されません。

しかし、そもそも「封」のされている状態について誤解している方もおられるので説明しておきます。

封とは「封印」、つまり、糊付けされて閉じられた封筒に、さらに印鑑が押されている状態のことです。

この状態のときは文字通り封印されているため、勝手に開けることは許されません。

しかし、例えば糊付けされているものの印鑑が押されていない場合は「封印」されている状態とは言えませんので、開けて中身を確認しても問題ないことになります。

 

遺言書に封がされていない場合

遺言書に封がされていない場合、見つけた段階で内容を確認できる状態がほとんどです。

また、糊付けされていても印鑑で割り印のない遺言書も封がされていない状態と同一ですので、中身を確認しても問題はありません。

しかし、相続人の1人が他の相続人に無断で糊付けされている遺言書を勝手に開けてしまうと、例えば「捨てたのではないか」という疑いや、「改ざんしたのではないか」という疑いを持たれることも無いとは言えませんので、なるべく相続人が複数いる場で確認するようにしましょう。

そして、封がされていない遺言書であっても、自筆証書遺言書の場合は家庭裁判所で検認の手続が必要となりますので、司法書士や弁護士に相談しましょう。

 

まとめ

封がされいる状態の遺言書は開けずに家庭裁判所で検認の手続がいりますので、裁判所で開封するまで誰も中身が分からない状態となります。

また、封がされていない状態や、糊付けされているが印鑑が押されていない遺言書は、家庭裁判所の検認前に中身を確認することができます。

ただしこの場合でも家庭裁判所での遺言書の検認は必要ですので、間違えないようにしましょう。