相続手続きにかかる主な費用

相続でかかる主な費用を事前に把握しておくことで,思わぬ出費に備えることができ,相続人の誰がいくら支払うかを協議することも可能になります。 ただし,相続が起きたあとの葬儀代やお墓代などは各ご家庭によって大きく異なると思いますので,ここでは不動産の名義変更(相続登記)と預貯金の解約,口座名義変更手続きについて主に説明します。


1.登録免許税

不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する場合、その手続に登録免許税という税金がかかります。
その計算方法は原則として、相続人の名義になる場合は不動産の価格×1000分の4となります。
それ以外で、例えば内縁の妻が遺言で不動産を取得した場合や、相続人ではない孫が遺言で不動産を取得する場合は、不動産の価格×1000分の20となり、相続人よりも金額が多くなります。

たまに勘違いされる方がいますが、不動産の価格とは固定資産評価証明書や納税通知書に記載された評価額のことであり、固定資産税の金額ではありませんので、ご注意ください。


2.司法書士報酬

上記の不動産名義変更手続や、それに伴う相続人たちの遺産分割協議書を司法書士が代理人として作成した場合、司法書士の報酬が発生します。

昔と違い現在は司法書士報酬規定がなくなったので、報酬については一概には言えませんが、相続の手続だと①戸籍の収集、②遺産分割協議書の作成、③相続関係説明図の作成、④不動産の名義変更(土地と建物)の手続で約10万~15万かと思います。

当事務所は一般的なご家庭の相続登記報酬は10万8000円ですので、大変リーズナブルであることがお分かりいただけるかと思います。


3.相続税

相続手続でかかる税金として、登録免許税の他に相続税があります。ただし、これは基礎控除が設けられており、相続財産の金額がその基礎控除内で収まる場合は、基本的に相続税はかからないことになります。

基礎控除額がいくらかというと、基礎控除額=3000万円+相続人の数×600万円となります。 例えば、Xさんが亡くなり、その相続人がABCさんの3名であるとき、基礎控除額は3000万円+3(相続人ABC)×600万円=4800万円となりますので、Xさんの相続財産が4800万円よりも低い場合は、相続税がかからないことになります。

そして、もしXさんの財産が4800万円を越えている場合、原則的にはその金額に対して相続税がかかってくることになります。
ただし、この計算は原則にしたがった場合であり、たとえば生前に贈与していたり、税制上の優遇措置を受けるような制度を利用していたりする場合は計算が非常にややこしくなりますので、少しでも疑問に思うときは、迷わず税理士に相談しましょう。


4.戸籍,印鑑証明書,評価証明書などの実費

相続の手続をする際には、
①亡くなった方の出生~死亡までの全ての戸籍(除籍、原戸籍とも言います)謄本
②亡くなった方の住民票除票もしくは戸籍附票(原附票)
③相続人の方々の現在の戸籍謄本
④相続人の方々の住民票もしくは附票
⑤相続人の方々の印鑑証明書
⑥不動産の評価証明書
⑦預貯金などの残高が分かる証明書などを各市役所から取り寄せます。

そのため、相続人が多い場合や、何度も本籍地を変えている場合は戸籍の数が多くなり、必然的に取り寄せる費用が高くなります。
相続人が3人だと、郵送料や戸籍取得手数料でだいたい1万円ぐらいが目安かと思います。