遺言書作成にかかる費用は?

遺言は主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがあります。自筆証書はご自身で作成するため、ご自宅で費用もかからず作成することができます。
公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人立会いのもと作成しますので、公証人の手数料などがかかります。

公正証書遺言を残すときにかかる主な費用は次の3つです。
1.公証人の手数料
2.司法書士への報酬
3.交通費などの実費
順番に詳しく説明していきます。


1.公証人の手数料

はじめに、公証人の手数料です。公証人の手数料とは、公証人に遺言書を作成してもらう際に発生する費用です。
公証人の手数料は法律によって定められており、日本公証人連合会のホームページでも確認することができます。「公証人の手数料について」
公正証書遺言を作成するときの公証人の手数料は、相続財産の価格を基準として計算されます。その手数料は下表のとおりです。

▼公証人の手数料     
目的の価格 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算

注意しないといけないのは、遺言は受け取る人(相続人・遺贈の受遺者)ごとに別個の法律行為ですので、財産の受取人が複数のときは、その人ごとに相続財産に対応する手数料がかかります。

たとえば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は4万3000円ですが、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。
ただし、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、1万1000円を加算すると規定されているので、7万2000円に1万1000円を加算した8万3000円が手数料となります。(日本公証人連合会HPより)

遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成することができますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料が加えられます。
この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。


2.司法書士への報酬

次に司法書士の報酬です。司法書士は、遺言を作成しようとしている方からその内容を聞き取り、法的に問題のない文言で書面にします。
また、公証人に当該遺言書の案を送付し、内容や公正証書遺言作成の日時につき公証人と打ち合わせをします。
司法書士報酬は、当事務所の場合次のとおりです。


ご依頼内容 司法書士報酬(税抜) 備考
公正証書遺言作成サポート 8万円
相続財産額3000万未満の場合
3000~5000万:4万円を加算
5000万~:8万円を加算
1億を越える場合要相談
証人1人毎1万円加算
出張1回毎1万円加算

公証人と直接やりとりをして公正証書遺言を作成する方もいますが、専門家を介入させることによって次のような恩恵がありますので、司法書士などの法律の専門家と相談しながら作成されることをおすすめします。
①確実な法的効力のある文書を作成できる
②遺言内容が実現した場合の相続の効果や注意点を確認できる
③遺言執行者として専門家を指定することによって相続時の手続がスムーズになること
④専門家が遺言書を保管することで相続発生時まで安全な場所で保管できること


3.交通費などの実費

公正証書遺言は、遺言者の住所地から近い公証役場で作成することになります。(「全国公証役場一覧」)
公証役場から近い方は問題ありませんが、離れた場所にお住まいの場合は行く度に交通費がかかります。
また、公正証書遺言を作成するときは本人や相続人の戸籍などを提出するため、それらを取得するために役所への手数料や郵便代などがかかることになります。