過払い・債務整理

司法書士が過払い、債務整理業務を行えることは多くの方がご存知と思います。
しかし、過払い請求は司法書士と弁護士どちらに頼むべきか、専門家によって手続や費用などが違うのか、そもそも過払いって何?といった疑問に答えるために、解説していきます。


1.過払金とは?

過払金とは、過去に消費者金融でキャッシングを利用していた方が主な対象になります。
かつて各消費者金融は旧貸金業法43条が曖昧な規定であることを良いことに、最大29.2%の超高利率な利息を取っていました。
しかし、平成18年1月13日最高裁判決で、貸金業者が超高利率を搾取する根拠としていた旧貸金業法43条適用の要件のうち「みなし弁済」規定が無効であるとの判断を下し、 その規定を元に過去に受け取った利息に関しても超過部分は返還しなければならないという判断が下されました。

みなし弁済の要件については省略しますが、債務者(借入をした人)が自分の意思に基づいて返済したことが明確でなければ、みなし弁済規定は適用されません。
そして、平成18年当時のほぼ全ての消費者金融が契約書中に規定していた「期限の利益喪失約款」は、この自分の意思に基づく返済に相反して強制的に返済させる規定そのものです。

期限の利益喪失約款を規定していたほぼ全ての貸金業者は旧貸金業法の適用外となり、29.2%の利率ではなく、利息制限法に基づいた利率が適用されることになります。

過払金とは、このように過去に法律上無効な金利で借入をしていた取引を、法律上有効な金利に計算し直して算出される払いすぎた利息のことを言います。
過払金がある方は、貸金業者に対して、その払いすぎた利息を返還するように請求することになります。


2.債務整理とは?

債務整理とは、貸金業者や銀行のカードローンを利用し、その月々の返済が困難になった方の借金(債務)を、専門家が介入して減額、あるいは返済不要にする手続のことを指します。

その手続は、大きく分けて「任意整理」・「個人再生」・「自己破産」の3つがあり、総称して債務整理と呼びます。

(1)任意整理
月々の返済が困難であるものの、収入等の条件で破産や個人再生の利用まではいかない、または任意で返済していきたい場合に、裁判手続によらず貸金業者と直接交渉して返済計画を見直す方法です。

司法書士が任意整理に介入する最大のメリットとして、将来利息のカットがあげられます。
通常であれば返済には経過利息を取られますが、専門家が介入することで将来利息をカットし、返済金額が全額残債務額に充当されることになります。


(2)個人再生
個人再生とは、残債務額を圧縮(減額)し、圧縮後の残債務を3年間で弁済する方法です。
自己破産と異なり、住宅を手放さずに手続が可能である場合があります。


(3)自己破産
自己破産とは、債務の返済不能に陥った方が、現金99万円を除き換価して20万円以上の財産を全て処分する代わりに、残債務の支払義務が免除される裁判手続です(性質上免除されない債務もあります)。
ただし、自己破産は無条件に誰しもが利用できる訳ではなく、免責不許可事由に該当する場合は利用できません。


それぞれの手続については、その選択により過払金額・残債務額が大きく変わる場合がありますので、安易に自分で解決しようとするのではなく、必ず専門家にご相談ください。