株式会社と合同会社の違い

設立される会社でもっともポピュラーなのは「株式会社」です。しかし、近年では費用の安さから「合同会社」を選択する方が増えています。

たしかに初期費用だけで比較すると株式会社よりも合同会社の方が安く設立することが出来ます。しかし、本当に初期費用だけで判断して良いのでしょうか?
株式会社と合同会社には、費用面以外にも、実際に会社を経営していくうえでの違いが多く見られます。
そんな株式会社と合同会社の主な違いをご紹介したいと思います。

▼株式会社と合同会社の違い(手続など)     
株式会社 合同会社
設立に必要な最低人数 1名 1名
議決権 持株数に比例 原則1人1票
代表の呼び方 代表取締役 代表社員
役員の任期 最長10年 期限なし
社会的な認知度 高い 低い
重要な決議 株主総会の特別決議
(議決権2/3以上の多数)
社員全員の同意
(※定款で緩和できる)
最低資本金額 1円 0円もOK

以上が株式会社と合同会社の手続等の違いです。

ここで皆さんに大きく関わるであろう重要なことは、まず代表の呼び方です。
一般的な認識のとおり代表=社長ですが、合同会社の構成員は社員なので、代表は「代表社員」という呼び方になります。

代表社員という名称に慣れていない方は違和感を覚えるかもしれませんし、第三者に名乗ったときに第三者が代表社員=社長のイメージがわかないかもしれません。

次に、「社会的な認知度」の違いです。
株式会社は日本でもっともポピュラーな形態の組織ですので、株式会社に対して疑問に思う人は多くありません。
銀行や取引先に対しても何の違和感なく説明ができ、また相手も「会社」として認識してくれます。

対して合同会社の認知度は高くありません。
一般の方よりも合同会社と多く接しているであろう銀行や税理士でさえ、合同会社と株式会社の違いについて詳しく知りません。

つまり、合同会社であるということだけで、「何故わざわざ合同会社を選択したの?」と疑問に思われる可能性があるのです。
認知度が高くないということは、その都度合同会社を選択した理由を説明しなければいけませんし、何よりその時点で合同会社は株式会社と比べて信用が劣るともいえます。

続いて、株式会社と合同会社の費用面での違いを説明します。


▼株式会社と合同会社の違い(初期費用など)
株式会社 合同会社
定款印紙代 4万円 4万円
定款認証料 5万5000円 0円
登録免許税 15万円 6万円
合計 24万5000円 10万円

※このほか、登記簿謄本、印鑑証明書取得費用などがかかります。


株式会社と合同会社の設立時にかかる初期費用の差額は約15万円です。
この15万円を高いとみるか、安いとみるかは人それぞれです。

いったん合同会社で設立し、事業が軌道に乗った段階で株式会社に組織変更することも可能ですが、その手続をする際にはほぼ間違いなく司法書士の関与を必要とし、費用は設立時の差額15万円以上になります。

将来的に事業を拡大する気はないものの、個人では不都合が多いので会社という体裁を保ちたいというのであれば、株式会社よりも合同会社の方が良いと言えるかもしれません。


会社設立の流れなどについては別のページで詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。

会社の種類と設立


会社設立の流れ


会社設立のメリット


会社設立のデメリット


会社設立にかかる費用