会社設立(法人成り)のメリットとは?

個人事業主として活動し、ある程度事業が軌道に乗り始めたとき、顧問の税理士から「法人成り」を薦められることがあると思います。
あるいはこれから事業を始めるにあたり、個人事業主として活動するか、会社を立ち上げて活動するか検討されると思います。

会社として事業を行うことは難しそうに感じたり、売上がない内に会社を立ち上げるのは抵抗があるかもしれません。
しかし、しっかりと専門家のサポートのもと行えばそう難しくありませんし、むしろ早い段階で会社にしておくことで得られる恩恵も多く、それが結果的に事業を安定・成功させる大きな要因になることもあります。

ここでは、最もポピュラーな「株式会社」を例に、個人から会社になることで受けられるメリットを「対外的メリット」「税金(経理)上のメリット」「その他のメリット」の3つに分けてご紹介します。


1.対外的メリット

個人から株式会社になることで、対外的に見ると次のようなメリットがあります。

(1)「組織」としての活動になり、第三者が安心して任せやすくなる等社会的な信用が得られやすい

(2)登記簿が出来るので、自社のことをまったく知らない第三者に事業内容や目的を明示できる

(3)社会保険に加入するため、個人事業よりも福利厚生が充実し優秀な人材を確保しやすくなる

(4)会計や組織運営が個人事業主より厳格になる分、信頼度も増し銀行から融資が受けやすくなる

(5)株式を発行できるので、自分の事業に対する理解者に対し出資を募ることができる

(6)法人名義の銀行口座が開設できる

中でも最も分かりやすいメリットは法人名義の銀行口座が開設できることかと思います。
その他のメリットは、法人になってすぐ目に見える形で分かることはないかもしれませんが、事業を拡大していく中で自然と「会社であること」のメリットを感じる場面が多くなると思います。


2.税金(経理)上のメリット

次に税金上もしくは経理上で個人と比べて会社の方がメリットになる点を挙げます。

(1)全ての責任を負う個人事業主と違い、会社の財産(出資した財産)の範囲で責任を負えば済む

(2)設立時資本金を1000万円未満にすれば消費税が最大2期分免税される

(3)個人では最大3年間のところ赤字を最大7年間繰り越せる

(4)配偶者等への給与の支払を経費として計上できる

(5)退職金の積み立てが可能

(6)所得控除が利用できる

(7)事業主や取締役の生命保険や退職金を経費計上できる

税制上、経理上のメリットについては、提携税理士監修のもと、代表的なものを記載しています。
具体的な内容や税金がどれだけ抑えられるか等については、司法書士が答えることができませんので割愛しますが、上記の箇条書きだけみてもかなりのメリットがあることが分かると思います。


3.その他のメリット

1と2以外で法人成りすることで受けられるメリットは次のものです。

(1)社宅や出張手当などの規定を定めることができる

(2)決算期を自由に決められるようになる


個人だと決算期が必ず12月締めになりますが、会社になると自由に決算期を選択できるので、例えば繁忙期とかぶらないようにしたり、決算期を在庫が少なくなる時期にすることで棚卸しの負担を減らすことが可能になります。

ここまで会社を立ち上げることのメリットを説明しましたが、反対に会社を立ち上げることで生じるデメリットもあります。
どのようなデメリットが生じるのかは別ページ「会社設立のデメリット」で解説していますので、あわせてご覧ください。


会社設立の流れ等については別のページで詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。

会社の種類と設立


会社設立の流れ


会社設立のデメリット


会社設立の費用


株式会社と合同会社の違い