自分で後見人を選ぶことはできる?

成年後見人の申立ては、後見人を付けるべき本人に判断能力がなくなり、医師がその診断書を出して初めて可能になります。

その頃にもし本人が後見人を指定したとしても、残念ながら正常な判断に基づいてされたものなのかが分かりませんので、その意味では自分で選んだとは言いづらいかと思います。
また、誰が後見人になったのかをしっかりと認識できる状態なのかどうか不明なので、もしかしたらご本人にとって好ましくない人が後見人になっている可能性もあります。

残念ながら、判断能力が失われたあとで成年後見人を自ら指定することは出来ても、それが正常な判断かどうか分かりません。

しかし、成年後見が開始されるような状態(認知症などで判断能力が失われる)になる前の段階で、契約によって後見人を指定し、「もし自分が認知症などになったとき、後見人になってくださいね。」という契約を締結しておくことはできます。

これを「任意後見契約」といいます。

任意後見契約を利用することによって、万が一の場合に備え後見人を自らの意思であらかじめ指定しておくことが可能になります。
この任意後見は公正証書で契約し、法務局で登記(記録)されますので、契約書が見つからないなどの心配はありません。
そして、ご本人が認知症などで判断能力が失われたとき、任意後見契約に基づき任意後見人はご本人の財産などを管理し、裁判所が任意後見監督人を選任して任意後見人をチェックすることになります。

判断能力が完全に失われる前に任意後見契約を利用することで、ご本人の望む方が後見人になるように指定することが可能となりますので、結んでおいて損はないかと思います。


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