ご相談内容
相談者は60代の女性、ご自身の母親のもとに、突然役所から固定資産税の支払を求める納付書と、代表相続人の届出書が送られてきたため、慌てて当事務所にご相談に来られました。
役所からの書面を確認すると、故人としてご相談者の母親の疎遠になった姉が死亡し、固定資産税が滞納状態となり、法定相続人である母の住所氏名を役所が調査して書面を送付してきたことがわかりました。
相続放棄も選択肢にありましたが、ご相談者様は最終的に相続することを選択されました。
相談事例の問題点
本件の相談事例は、大きく分けて4つの問題点がありました。
①誰が相続人なのか
ご相談者の母は、ご自身の姉が亡くなったこと自体は認識していたものの、関係も疎遠になっており、他の兄弟姉妹との連絡もまったく取っていませんでした。
そのため、亡くなった方の法定相続人が何名いるのか、ご健在なのか、どこに住んでいるのかさえ、まったく分からない状態でした。
②相続放棄をした人はいるのか
法定相続人を確定できたとしても、ご相談者様がそうであったように、関係が疎遠であれば家庭裁判所で相続放棄をしている可能性があります。
相続放棄をすると、放棄をした人は「はじめから相続人でない」ことになるため、相続人の順位、数、法定相続分に影響を及ぼします。
そのため、相続人調査とともに、家庭裁判所で相続放棄をした人(あるいは今から手続予定の人)を正確に把握する必要がありました。
③他の債務はあるのか
今回のような相続のケースで最も懸念されるのが「被相続人はどれだけの債務(借金)があるのか」です。
固定資産税が滞納状態になっているということは、他の支払も同様に滞納している可能性があります。
また、生前に消費者金融で多額の借金をしていたり、銀行ローンが残っていたり、保証人として保証債務が残っていたり、クレジットカードの支払が残っていることも考えられます。
他の債務の有無、金額によっては相続手続ではなく「相続放棄」を検討することも十分考えられるケースです。
④判断能力に問題ないか
ご相談のケースは、相談者の母と被相続人の関係からわかるように、被相続人の兄弟姉妹と甥姪が相続人に該当します。
被相続人が高齢で亡くなっており、その兄弟姉妹が相続人になっているケースでは、法定相続人の判断能力が低下している可能性があります。
仮に相続人の判断能力が低下していると、相続手続きをするために家庭裁判所で成年後見人の選任手続きをしなければなりません。
当事務所の解決方法
当事務所は、上記の問題点を順番に解決していきました。
①素早い相続人調査
被相続人の高齢な兄弟姉妹が相続人になっているケースでは、一般的な相続と異なり、収集する戸籍の数が増える傾向にあり、時間を要します。
しかし、時間をかけていると、次の相続が発生するリスクが増加するだけでなく、入院や病気などで判断能力が低下してしまう可能性もあります。
そのため、迅速に戸籍収集を行い相続人を確定する必要がありました。
相続手続専門の当事務所が迅速かつ無駄のない戸籍調査により、素早く相続人を確定することができました。
②相続放棄と判断能力の確認
次の問題点として、家庭裁判所で相続放棄をした人がいるかどうかと、相続人の判断能力に問題がないかを確認する必要がありました。
そのため、戸籍から確定した法定相続人に対し、相談者から手紙を送付していただき、現状の説明、相続放棄の有無、判断能力の有無を確認いただきました。
その結果、相続放棄をした人については相続放棄に関する書類を家庭裁判所で取得し、それ以外の方については相続手続きに協力してもらえることになりました。
③債務調査
債務があるかどうかを調べる一般的な方法として、信用情報機関に対する債務調査があります。
JICC、CIC、JBAと呼ばれる信用情報機関に対して、被相続人の氏名、生年月日、住所地、電話番号などの情報を提供し、債務があるかどうかを調べることができます。
信用情報機関に対する債務調査によって、金融機関、消費者金融、クレジットカード割賦払いなどの債務情報を取得することができます。
本件のケースでは、固定資産税と携帯電話料金の未払いが若干あったものの、幸いにも大きな債務はありませんでした。
④書類作成と相続登記
債務と相続人を確定できた段階で、改めて相続人から他の相続人に協力を要請し、合意を得たので、当事務所が相続登記に必要な遺産分割協議書を作成し、最終的に無事法務局で相続登記を行うことができました。
ご相談のケースは固定資産税の納付書が届いたことをきっかけに相続登記に進んだケースですが、実務経験上は相続せずに相続放棄を選択する方が多いように思います。
相続登記をするにせよ、相続放棄をするにせよ、注意しなければならない点は多岐にわたり、かつ時間の猶予もありません。
不動産が含まれる相続手続きを相談する際は、必ず相続手続き専門の司法書士事務所に相談しましょう。
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