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【相続登記 相談解決事例】亡き祖父名義の家屋を公費解体したケース

2024 11/01
【相続登記 相談解決事例】亡き祖父名義の家屋を公費解体したケース

ご相談内容

ご相談者は50代の神戸市にお住いの男性です。

ご相談者のお父様はご実家が石川県能登半島にあり、

令和6年1月1日能登半島地震によって多くの家屋が倒壊し、ご相談者様のご実家の家屋も全壊の認定を受け、住むことができなくなっていました。

能登半島地震によって全壊した家屋で、一定の条件を満たす場合、行政が公費によって解体してくれる「公費解体」という制度があります。

(石川県ホームページhttps://www.pref.ishikawa.lg.jp/haitai/kouhikaitai.htm

ご相談者様の実家も公費解体をすべく書類収集を始めていたところ、申請期限が近付くにつれご自身で行うことに限界を感じ、当事務所にご相談に来られました。

問題点・課題

ご相談者様が幼少期にご家族で住まわれていたご実家は、当然お父様の名義だと考えていたところ、実は土地がお父様名義であり、肝心の家屋はお父様のお父様(ご相談者の祖父)名義であることが判明しました。

公費解体を行うには家屋の所有者が申請するところ、家屋の所有者であるご相談者の祖父様は平成初期に亡くなられていたため、今のままでは公費解体を行うことができません。

祖父様のご相続人は子供が約10名おり、そのうち何名かは既に亡くなられていることまでは把握していましたが、最終的な相続人が何人いるのか、まったくわかっていない状況でした。

しかも、公費解体は11月29日までの申請期限があり、ご相談時が9月末だったため、申請期限まで約2か月しかありません。

何とか家屋の問題を片付けられたとしても、土地が亡くなられたお父様名義ですので、令和6年4月からの相続登記義務化により、3年以内に登記をしなければならず、そのままの状態で放置することもできません。

時間的な余裕がなく、1つ1つの手続や調査をスムーズかつ無駄なく行うことが求められる案件です。

当事務所の解決方法

公費解体を行うには家屋所有者からの申請が必要であり、家屋所有者が死亡しているときは、(1)相続登記を行う、(2)相続人全員による遺産分割協議を行う、(3)相続人全員からの解体に関する同意書をもらう、の3つのいずれかの方法を経なければ申請ができませんでした。

さらに、祖父様のご相続人が最終的に何名になるかの検討もつかない状態で、当然関係性もありませんでしたので、まずは一刻も早く相続人を確定させる必要がありました。

相続人調査

(1)相続登記を行う、(2)相続人全員による遺産分割協議を行う、(3)相続人全員からの解体に関する同意書をもらう、のいずれの方法によるとしても、相続人調査が必須であることには変わりありませんので、祖父母の出生~死亡までの戸籍、その子供10名の出生~死亡までの戸籍、ご相談者様の世代の子供たちの戸籍を、時間のロスがないようにすべて迅速に調査しました。

その結果、9月末から相続人調査を始めて1か月後の10月下旬には、法定相続人を確定させることができました。

不動産調査

公費解体のためには家屋の登記事項証明書を法務局で取得しますが、新たな問題が起きました。倒壊した家屋は2階建ての戸建て1棟だったのですが、登記事項証明書は平屋建ての建物が3棟でてきたのです。

つまり、現況の建物と法務局で登記されている建物に差異があり、今回倒壊した家屋がどの登記の建物なのかを突き止める必要がありました。

当事務所が役所への問い合わせ、名寄せ台帳の調査を行い、不動産を無事確定することができました。

見知らぬ相続人への書面郵送

公費解体の条件として相続登記まで行う必要はありませんが、相続人全員の同意書を添付することになっていましたので、相続人調査で判明した相続人の全員に、書類への署名と実印での押印をもらう必要がありました。

そこで、当事務所から不動産調査の結果や相続人様の関係図、署名押印いただく書類の作成と郵送を行いました。

通常であれば司法書士から突然書面が届くことで戸惑われる方も多い中、被災の状況や公費解体の必要性を慮っていただき、皆様から無事に書類を受け取ることができました。

公費解体の申請

公費解体の申請には、役所のホームページに掲載されている申請書などの必要書類のほか、登記事項証明書や相続人を証する戸籍、相続関係説明図など、こちらで作成、手配しなければならない資料が数多くありました。

ご依頼時点では11月末が期限だった公費解体ですが、3月末まで延長されたことで時間に余裕が生まれ、無事に公費解体の期限までに申請を行うことができました。

まとめ

最終的に家屋の公費解体申請と、土地の相続登記を完了することができ、依頼者の方は悩みの種が亡くなったととても喜んでおられました。

令和6年4月から相続登記が義務化されましたが、その理由の1つに、所有者不明土地や所有者不明建物が日本国内に数多く存在することが挙げられます。

所有者が亡くなったものの相続登記がなされずにいると、相続人の数はどんどん増えていきます。

また、亡くなった方名義の不動産は流通性を失い、有効な活用がされないだけではなく、今回のように公費解体をしたくても出来ず災害からの復興の妨げになったり、インフラ整備への足かせになってしまうなど、損失は計り知れません。

相続登記義務化によって、3年以内に登記をしないと最大で10万円以下の過料が科されるようになっていますので、亡くなられた方名義の不動産を放置することはもはやデメリットしかありません。

故人名義の不動産が残ったままになっている方は、まずは司法書士にご相談ください。

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