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認知症になった人が遺言書を作成できるの?注意点など

2023 9/26
認知症になった人が遺言書を作成できるの?注意点など

認知症になった方が遺言書を作成することができるのか、既に書いている遺言書の修正や撤回、再度作り直しができるのか、無効になるのかなどを解説します。

目次

遺言書の作成要件とは

人的要件

15歳以上の意思能力がある方が遺言書を作成することができます。

遺言書作成で要求される意思能力とは、遺言書を作成することで「誰にどんな財産が相続されるのか(されなくなるのか)」を理解できる能力のことです。

様式要件

自筆証書遺言書

自筆証書遺言書は、全文、日付、氏名を自署(手書き)し、押印することです。

ただし、財産目録についてはワープロで作成したものに署名押印することで自署せずに作成できます。

公正証書遺言書

公正証書遺言書は、公証役場の公証人の面前で遺言の内容を口頭で説明し、その内容を公証人が書面にしたうえで遺言者と証人2名が署名押印すれば作成できます。

ただし、被後見人の方が作成する場合は通常より厳格になります。

認知症になった人が遺言書を作成できるの?

まず大前提として、必ずしも「認知症=遺言書を作成できない」ではありませんが、実際に作成するには個々のケースにより対応が異なってきます。

認知症の方は、具体的に医師から診断されている方と、親族や周囲の方が認知症と思っているが医師の診断はされていない方がおられますので、ケース別に説明します。

認知症の疑いがあるが、医師の診断はされていない方

認知症の疑いがあっても、遺言能力があれば遺言書を作成することはできます。

ただし、認知症の方が遺言書を作成する際は、その有効性を巡って後々トラブルになるリスクが非常に大きいことに注意が必要です。

本来は紛争を避ける手段として利用される遺言書の存在が、かえって紛争を招いてしまうことがないように、次のような事前対策を採ることが考えられます。

判断能力に問題がないことを医学的に診断してもらう

遺言書を作成する方が認知症ではないことを、医学的な見解から証明してもらいます。

具体的には診断書を作成してもらう方法が現実的です。

できれば時期を複数回に分けて、かつ複数の医師からそれぞれ診断書をもらう方が良いでしょう。

客観的に明らかな記録に残す

ご本人が認知症かもしれない、または認知症であったとしても、遺言能力(遺言を作成するだけの意思能力)が備わっている方もおられます。

それを後から第三者が客観的にみても明らかにするために、ご本人が遺言書を作成するに至った経緯、遺言書の内容を決めた理由、残された相続人や財産の受遺者へのメッセージなどをビデオ記録に残す方法が有効です。

公正証書で遺言書を作成する

自筆証書で作成する遺言書は、作成段階で公証人の本人確認や意思能力の確認を行わないため、ご本人の死後に有効性が争われるリスクが非常に高くなります。

そのほか、自筆証書遺言書は紛失、改ざん、変造などのリスクも大きいため、認知症の疑いがある方に限らず、遺言書は確実に公正証書で作成することをお勧めします。

認知症と診断され、成年後見制度を利用している方

認知症と診断された人で後見制度を利用している方は、その判断能力の程度によって補助・保佐・後見と3つの類型に分けることができます。

医学的に認知症と診断され、かつ成年後見制度を利用している方の遺言書の作成可否や要件は、3つの類型によって異なります。

被補助人

被補助人は、事理を弁識し判断する能力が低下したものの、家事、移動、食事、入浴、排せつなど日常生活をある程度自分自身で行うことができる状態の方です。

被補助人の場合は、基本的に遺言書を作成することができます。

遺言書の作成に関して、補助人の同意権や代理権はありません。

ただし、複雑な遺言書(数次相続に対応した遺言、負担付遺贈、遺留分侵害を考慮した内容など)の場合は、判断能力が低下していない人であっても専門家の介入なしに作成することは難しいため、本当に本人の意思で作成されているのか疑いを持たれる可能性があります。

遺言書の作成過程や作成に至る意思などを数日に分けてビデオに残したり、遺言書を作成するだけの判断能力が本人にあることを医師に診断してもらい、診断書を残しておくなど、後日遺言書の有効性に関して相続人同士がトラブルにならないように工夫が必要です。

被保佐人

被保佐人は、事理を弁識し判断する能力が著しく低下しており、日常生活の中で一定の支援を受けないといけない状態の方です。

被保佐人の場合も、被補助人と同様に基本的に遺言書を作成することができますが、被補助人よりも判断能力が低下している状態のため、遺言書の作成はより慎重に行う必要があります。

遺言書の作成に関して、保佐人の同意権や代理権はありません。

被補助人と同様に、遺言書の作成過程や作成に至る意思などを数日に分けてビデオに残したり、遺言書を作成するだけの判断能力が本人にあることを医師に診断してもらい、診断書を残しておくなど、後日遺言書の有効性に関して相続人同士がトラブルにならないように工夫が必要です。

被後見人

被後見人は、事理を弁識し判断することができない状態の方です。

認知症などは個人差が大きく、また同じ方でも日によって発言が変わることもありえます。

仮に被後見人の方が「自分の財産を全部息子1人にあげる」と明確な意思を示し、自署出来る状態であったとしても、法律的には判断能力を欠いている状態のため、被後見人が自由に遺言書を作成することはできません。

被後見人が遺言書を作成するための要件

判断能力の回復

被後見人の判断能力が一時的に回復している状態であることが客観的に証明できることが要件です。

判断能力が回復しているかどうかは、長谷川式などの認知症テストを1つの参考にします。

医師2名以上が立ち合う

遺言書作成の現場に、医師2名以上が立ち会うことが要件です。

医師が1名だけだと、本人に同情的な医師が善意で協力したり、相続人とつながりのある医師が相続人に協力して有利な遺言書を本人に作成させるなどの危険性があるため、遺言書の有効性が後日争われやすくなります。

医師2名がそれぞれの立場から立ち会すことで、これらの懸念を払しょくします。

判断能力に問題ないことを付記する

遺言書の末尾に、遺言者は判断能力を回復し、医学的な診断からも問題ないことを付記します。

元気なときに遺言書を作成していた人が認知症になった場合、無効?

元気なうちに遺言書を作成した人が、後から認知症になってしまったり、遺言書の内容自体を完全に忘れてしまったとしても、一度作成された遺言書は撤回がされない限り有効です。

ただし、遺言書を作成した後に、遺言書の内容と抵触する処分行為などを行った場合(家を子どもに相続させる遺言書を作成したが、その後第三者に家を売却してしまった)は、抵触する部分、つまり例でいう「家を子どもに相続させる」部分は無効となります。

元気なときに作成した遺言書を、認知症になってから修正、変更できる?

先述のような段階を踏めば修正や変更ができないことはありませんが、元気なうちに作成した遺言書を認知症になってから変更することは、紛争のリスクが非常に高いため推奨しません。

また、元気なうちに作成した遺言書が元々のご本人の意思であると考えられ、例え気が変わったとしても、認知症と診断されている場合は、ご本人の本心によるものなのか、気分的なものなのか、認知症の症状によるものなのかを判断することは非常に困難です。

後見人が被後見人の代わりに遺言書を作成することができる?

できません。

遺言書を作成する行為はその方のみに認められた権利なので、例え後見人が選任されていたとしても、後見人がご本人の代わりに遺言書を作成することはできません。

遺言書を作成出来るのか、判断が難しい方へ

認知症やその疑いのある方の遺言書作成は非常にリスクが高く、特定の親族だけで行うと後に紛争になることは避けられません。

相続・遺言の専門家である当事務所に相談すれば、次のメリットがあります。

遺言書作成に関して専門的な見解を聞ける

ご本人が遺言書作成できるのか、遺言書作成でどんなリスクがあるのか等を詳しく聞くことができます。

後見制度の利用や後見人の相談もできる

後見制度利用は裁判所に書類を提出することで申立できます。

当事務所であれば遺言書だけでなく、後見の申立も同時に行うこともできます。

公正証書遺言の作成を手伝ってもらえる

遺言書案の作成、公証役場との折衝、証人の手配や立会など、専門的な問題から事務的な手続まで任せることができます。

ご相続人の手続的な負担を大幅に減少できる

専門家を遺言執行者に指定することで、相続開始後にご相続人が動く時間や手間を大幅に削ることができ、時間と身体に余裕が生まれます。

相続発生後、速やかに遺言書で相続手続をしてもらえる

遺言書の作成を手伝った専門家であれば、遺言書の内容や関係性も理解していますので、相続が起きたあとスピーディに手続ができます。

ご相談フォームはこちらこちらのフォームよりお気軽にご予約ください。

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