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遺産分割で決まった代償金を受け取ってくれないときの対応

2024 1/31
遺産分割で決まった代償金を受け取ってくれないときの対応

遺産分割協議では、亡くなられた方(被相続人)の財産について、相続人全員が「誰が、どの財産を、いくら」受け取るか話し合います。

その中で、特定の相続人が被相続人の財産(家など)を取得する代わりに、他の相続人に対してお金(=代償金)を支払って解決することがあります。

遺産分割で定まった代償金は、協議が成立した後に清算することがほとんどですが、遺産分割協議書までは協力的でもその後の金銭の精算の段階で非協力的になる相続人がいます。

目次

代償金が定められるケース

遺産分割協議の中で定められる代償金支払の条項は、主に相続人同士で取得する財産に大きな隔たりがあるときに、相続人同士の不平等を金銭で精算するためによく用いられます。

典型的なケースは、以下のようなものです。
・金銭的に価値の大きな相続財産が不動産だけで、その不動産を特定の相続人だけが取得するケース
・投資信託、株式など分割取得することが難しい財産を特定の相続人に集約し、その他の相続人は金銭で公平を図るケース
・被相続人の生前に多額の金銭移動があったり、相続財産額に争いがある場合に、金銭で解決を図るケース

相続人が代償金を支払ってこない場合

遺産分割協議書の中で、「1.被相続人名義の財産については相続人Aが取得相続する。2.相続人Aは、前項の財産を取得する代償として、他の相続人Bに対して金○○円を支払う。」と定めたとします。

これは、Aが被相続人の相続財産を取得する代わりに(代償として)、AはBにお金(代償金)を支払うことで合意したことを意味します。

このケースで良くあるのが、代償金を支払うと決まったにもかかわらず、AさんがBさんに代償金を支払ってくれずにBさんが困るパターンです。

この場合、BはAに対して「代償金支払請求権」を有していますので、その請求権を行使して請求、または訴訟を提起し、A所有の財産(不動産や預貯金)を差し押さえることで金銭を回収します。

遺産分割協議書は当事者の合意によって作成される書面ですが、相続人同士がそもそも揉めている場合は裁判所による「遺産分割調停」になっていることがあります。

遺産分割調停で代償金条項が入るときは、「直ちに強制執行することができる」旨の文言が記載されていることがほとんどですので、調停調書に基づいて直ちに差押をし、財産を確実に回収できるようにします。

相続人が代償金を受け取ってくれない場合

遺産分割調停や審判により一応決着はついたものの、代償金を受け取るための口座情報を連絡してこない相続人により、代償金を支払いたくても支払えないケースが稀にあります。

先ほどの例で考えると、遺産分割協議書または遺産分割調停調書の中で、「1.被相続人名義の財産については相続人Aが取得相続する。2.相続人Aは、前項の財産を取得する代償として、他の相続人Bに対して金○○円を支払う。」と定めた場合に、AがBに代償金を支払おうとしても、Bの音信不通や非協力により支払先口座が分からず、代償金を支払うことができないケースです。

Aさんからすると、Bさんが振込先口座を教えてくれない、連絡しても電話にでない、家に行っても出てくれないなど、非協力的なために代償金が支払えないのですが、そのせいで、遺産分割調停調書や遺産分割協議書に記載された「○月○日までに支払う」といった期日を超過してしまうことがあります。

この場合、Aさんからすると弁済提供(弁済するために連絡を何度も行っている)しているので遅延損害金は生じないことが原則ですが、Bがそれを「知らない、代償金が支払われていない」などと主張して余計な手間やコストがかかることは面倒です。

代償金を受け取らない相続人への供託

代償金を支払いたいのに受け取らない相続人に対しては、「供託」の制度を利用することで対応します。

供託とは、金銭や有価証券を法務局に預けることで、法律上受取人に対して直接支払ったのと同じ法律効果を生じさせる行為を指します。供託する人(Aさん)を供託者、供託金を受け取れる人(Bさん)を被供託者と呼びます。

Aさんは法務局に代償金を供託することで、法律上Bさんに支払をしたことになり、遅延損害金などの問題が生じず、かつBさんの振込先口座を聞き出す必要もありません。Bさんが手続に非協力で代償金を受け取らないとしても、供託してしまえばAさんには関係がなくなります。

供託の方法

相手方の住所地を管轄する法務局に対して供託を行います。

供託は、その原因によって弁済供託、執行供託などに大別されます。
相続での遺産分割協議に関して生じた代償金を受け取ってくれない場合の供託は、「受領拒否」による弁済供託に該当すると記載されている文献もありますが、当事務所が実際に行ったケースでは「受領不能」による供託となったため、事前に管轄法務局の供託課と相談することが大切です。

相続の代償金に限らずお金の取り決めは、トラブルになりやすいので、支払い先口座の確認など、協議段階でしっかり詰めておく必要があります。

ご相談フォームはこちら初回相談料無料。お気軽にご予約ください。

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