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不動産の登記申請中に商業登記を申請した場合どうなる?避けなければいけない事態や対応策など

2024 12/06
不動産の登記申請中に商業登記を申請した場合どうなる?避けなければいけない事態や対応策など

不動産の登記申請と商業登記の申請は、それぞれまったく別の登記申請ですので、通常問題になることは多くありません。

しかし、不動産の登記申請の当事者が商業登記の申請をしてしまった場合、申請内容によっては却下や取り下げ、申請日の変更を強いられるなど、ややこしい事態になります。

レアケースかつマニアックな内容ですが、不動産登記申請の当事会社が商業登記申請をしてしまった場合にどうなるのか、問題点など実体験をもとに解説します。

目次

不動産登記申請とは

不動産登記申請とは

不動産登記申請とは、土地や建物などその名のとおり「不動産」に関する権利関係を公示するための手続です。

例えば、所有権移転、抵当権設定抹消、住所変更などがあります。

地目変更や地積更正、建物表題登記などの表題部に関する登記もありますが、ここでは割愛します。

商業(法人)登記申請とは

商業(法人)登記申請とは

商業(法人)登記とは、株式会社、有限会社、一般社団法人など、「会社や法人」に関する情報を公示するための登記手続です。

例えば、会社設立、役員変更、本店移転、目的変更があります。

登記申請中による閲覧不可と登記事項の取得不可

登記申請中による閲覧不可と登記事項の取得不可

不動産登記も商業登記も法務局に登記申請をすると、法務局の処理が完了する(登記が上がるとも表現します)までの間は「登記事件(申請)中」となり、申請されている不動産や会社の情報を閲覧したり、登記事項証明書を取得することが原則できなくなってしまいます。

これを、登記業界ではロックがかかると表現します。

不動産登記申請と商業登記申請が重なった場合の処理

不動産登記申請と商業登記申請が重なった場合の処理

不動産と商業登記、普段は関係のないように思える2つの登記申請ですが、実は不動産登記申請の登記申請人である法人(当事会社)が、不動産の登記申請中に商業登記を申請した場合、商業登記申請が完了するまで不動産登記申請がストップすることがあります。

不動産登記申請で会社が登記申請人になる場合、本来は会社の履歴事項全部証明書(と申請内容によっては印鑑証明書)を添付しなければならなりませんが、申請情報として会社法人等番号を記載することにより、履歴事項全部証明書と印鑑証明書の添付を省略することができます。

以前は会社の履歴事項全部証明書や印鑑証明書を添付して申請することになっていましたが、現在は登記申請情報中に

法務局は、会社の履歴事項全部証明書や印鑑証明書の内容と、申請書に記載のある会社の情報に齟齬がないかを確認しますが、会社法人等番号を提供して申請している場合は、法務局が会社の登記情報を直接閲覧する方法で確認しています。

しかし、商業登記が申請されてしまうと、先ほど説明したように会社の情報にロックがかかり、会社の登記情報を閲覧することができなくなってしまいます。結果、会社の情報が正確なのかを確認することができるとき、つまり商業登記の登記が完了するまでは、不動産登記の申請が一時中断してしまいます。

会社の登記申請といっても、申請内容は役員変更、代表者の住所変更、事業目的変更など、実に多岐にわたります。会社の登記申請は一般的には1週間~2週間程度で完了しますので、会社法人の登記が完了するまで少し時間が延びる程度の話で済みそうですが、実は申請された会社法人登記の内容によっては大きな問題になります。もし不動産登記の申請人(当事会社)が不動産申請中に商業登記を重ねて申請していることが判明した場合、早急に事実確認をする必要があります。

不動産登記申請中に出された商業登記の内容と対応策

不動産登記申請中に出された商業登記の内容と対応策

商業登記の内容が本店移転、代表者変更、商号変更なのか、それ以外か

不動産登記申請中の当事会社が商業登記を申請している場合、まずもっとも早急に動かなければならないのは「本店移転、代表者変更、商号変更」の場合です。

会社の商号、本店は不動産の登記事項証明書に記載され、代表者は登記申請書に記載されます。これらの商業登記は不動産の登記申請内容に影響を及ぼしかねません。

一方、株式の内容の変更、募集株式の発行、事業目的の変更などは、不動産の登記事項に影響を及ぼす可能性はほぼありません。

商業登記の変更日が所有権移転登記の原因日付と同日以前か、翌日以降か

申請されている商業登記が「本店移転、代表者変更、商号変更」の場合、次に確認しなければならないのは「登記原因日付がいつなのか」です。

例えば、1月1日に不動産の取引(所有権移転登記)を申請した登記義務者たる売主の当事会社(本店A市)が、1月2日本店移転を原因として会社の本店をA市からB市に移転申請している場合は、不動産の登記申請と時系列に齟齬がない(不動産登記申請時点の会社本店はA市で間違っていない)ため、不動産の登記申請に影響はありません。

しかし、例えば不動産の所有権移転登記と同日の1月1日を原因としてA市からB市に本店移転を申請している場合や、1月1日以前の日を原因として1月1日の所有権移転登記申請後に本店移転登記を申請した場合、本当は1月1日時点の本店はB市が正しいことになり、不動産の所有権移転登記申請の前提として本店移転登記を申請しなければならないことになります。

この状態で商業登記が完了してしまうと、不動産の登記に齟齬が生じ、却下自由に該当してしまいます。

不動産の取引は、融資銀行が融資日に抵当権を設定できることを条件に行われることもありますが、不動産取引が却下されてしまうと、金融機関が無担保で融資をしていたことになり、損害賠償の問題になりかねません。

直近1か月以内の履歴事項全部証明書の原本があるか

直近1か月以内の履歴事項全部証明書の原本があるか

不動産登記申請後完了するまでの間に当事会社が商業登記を申請してしまった場合、不動産の登記申請日から遡って1か月以内の履歴事項全部証明書の原本があれば、当該証明書を添付することで、商業登記が申請中か否かに関わらず、不動産登記が処理されます。

また、所有権移転の売主や、会社所有の不動産に抵当権設定をする場合は3か月以内の印鑑証明書の原本も必要です。

仮にこの証明書が手元にない場合、先ほどのケースで商業登記が完了してしまうと不動産登記申請が却下事由に該当するおそれがあるため、商業登記申請を早急に取り下げてもらうなど、何らかの対応が必要です。

なお、不動産の登記申請前に商業登記を申請した場合は、不動産の取引時点で会社の情報が閲覧できなくなっているため、取引前にきちんと登記情報の調査をしていれば気付くことができます。

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