生命保険や医療保険など、保険は受取人が決まっているため一般的な相続とは別の法律が適用されます。
中でも注意しなければならないのは、受取人が死亡したときの相続手続です。
受取人が死亡している場合の相続手続について解説します。
生命保険や医療保険の考え方
生命保険は、対象者が死亡したときに、受取人が金銭を受け取ることができる保険です。
保険には契約者、被保険者、受取人の3者が登場します。
契約者:保険会社と保険契約をした人のことで、保険金を一括や分割などで支払っている人です。
被保険者:保険金が出るor出ないの判断基準となる対象者のことです。死亡保険の場合、被保険者が死亡することで保険金が下り(支払われ)、医療保険の場合は対象者が入院や手術をすれば保険の条件に応じて保険金が支払われます。
受取人:被保険者が死亡した場合に、保険金を受け取ることができる人のことです。
生命保険は民法上の相続財産(遺産分割の対象)ではない
生命保険金は契約時に受取人が指定されていることがほとんどです。
そして、被保険者が死亡した場合には受取人が保険金を受け取ることができ、これは受取人固有の財産とされています。
したがって、被保険者が死亡したことが原因で支払われる金銭でありながら、民法上は相続財産ではないため、被保険者の相続人がその取り分を話し合う遺産分割協議の対象とはなりません。
他の相続人との協議ができていない、もめている、他の相続人から保険金を分けるように言われているなどの事情に関係なく、受取人が手続きをすれば全額受け取ることができます。
生命保険は税法上のみなし相続財産(税金の対象)である
先に述べたように、生命保険金は相続財産ではないため遺産分割協議の対象となりませんが、被保険者の死亡を原因として支払われる金銭という性質上、相続財産とみなして課税の対象になります。これをみなし相続財産と呼びます。
他にみなし相続財産と呼ばれる代表的なものとして、死亡退職金があります。
生命保険金や死亡退職金は基礎控除という概念があり、一定金額であれば相続税の課税対象になりません。
生命保険は相続放棄に影響されない
生命保険金の大きな特徴の1つとして、相続放棄に影響をされない点があります。
例えば、亡くなった父が借金を残して死亡し、子供が裁判所で相続放棄を行ったとしても、亡き父が子供を受取人として指定した生命保険金を子供は受け取ることができます。
保険金と相続の関係
被保険者が死亡したとき、受取人に保険金が支払われますが、肝心の受取人が死亡した場合、その扱いが複雑になります。
受取人が被保険者より先に死亡していた場合
受取人が被保険者よりも先に死亡していた場合や、被保険者自身が受取人になっている場合、保険金は受取人の法定相続人が受け取ることになります。
ここで注意しなければならないのは、仮に受取人が複数人いる場合、「法定相続分」ではなく「頭数」で保険金を割る点です。
相続財産であれば民法の相続分という考え方で問題ありませんが、保険金は相続財産ではないため、法定相続分に関する法律が適用されません。
保険金と相続に関しては、民法が適用されないため、思わぬ取り分や相続方法になることがあります。
受取人が被保険者よりも先に死亡している場合、受取人を変更するなどしましょう。
また、保険会社によって受取人死亡の場合の次順位受取人の規定が異なることがありますので、必ず保険会社に確認しましょう。
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