遺言書は大きくわけて自筆証書遺言書と公正証書遺言書とがありますが、そのうち公正証書遺言書は公証役場で作成し、全国の公証役場で共有されます。
公正証書遺言書であれば、自宅の火事地震水害などで万が一遺言書の正本を紛失償却処分してしまった場合でも、公証役場に請求することで再度交付を受けることができます。
公正証書をはじめとする各種遺言書の検索方法、再度の交付請求方法などを解説します。
遺言書の種類
遺言書にはいくつかの種類がありますが、ここでは代表的な遺言書である「自筆証書遺言書」「自筆証書遺言の法務局保管」「公正証書遺言書」の3種類を比較します。
自筆証書遺言書
自筆証書遺言書は、その名のとおり「自筆」で作成している遺言書です。
自宅で手軽に作成・変更・修正できるメリットがある反面、紛失・盗難・改ざん・無効のリスクがあり、遺言者の死亡後に家庭裁判所での検認手続きが必要となります。
自筆証書遺言書の法務局保管
紛失・盗難・改ざん・無効のリスクがある自筆証書遺言書の利便性を高めるために、自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる制度があります。
法務局保管制度を利用することで、要式違反による無効のおそれ、紛失・盗難・改ざんのリスクをなくすことができ、さらに家庭裁判所での遺言書検認が不要になります。
公正証書遺言書
公証人役場で証人2名立ち合いのもと作成する形式の遺言書です。
利害関係のない証人2名が立ち合い、さらに公証人が作成する形式の遺言書のため、紛失・盗難・改ざんのリスクがなく、かつ遺言者本人が作成した意思を高度に証明でき、あとから無効になることが極めて低い遺言書です。
各遺言書を紛失したときや検索可否の違いを比較
「自筆証書遺言書」「自筆証書遺言の法務局保管」「公正証書遺言書」それぞれを紛失したとき等の対応方法や制度の違いを一覧にまとめます。
| 自筆証書遺言 | 自筆証書遺言の 法務局保管 | 公正証書遺言 | |
|---|---|---|---|
| 原本の保管場所 | 主に自宅・貸金庫 | 法務局 | 公証役場 |
| 紛失時の再発行 | × | × | 〇 |
| 遺言者が遺言書の有無を検索すること | × | 〇 | 〇 |
| 相続人が遺言書の有無を検索すること | × | 存命中× 遺言者の死亡後△ | 存命中× 遺言者の死亡後〇 |
| 検索・照会先 | ― | 法務局 (全国どこでも) | 公証役場 (全国どこでも) |
| 遺言者が遺言書の再交付を請求すること | ― | × | 〇 |
| 相続人が遺言書の再交付を請求すること | ― | 存命中× 遺言者死亡後△ | 存命中× 遺言者死亡後〇 |
自筆証書遺言書
紛失すればもう取り戻せない
自筆証書遺言書は世界でたった1つだけ、唯一の原本を手元に保管していますので、万が一災害等で紛失してしまったら、取り戻すことはできません。
仮にカラーコピー等をしていたとしても、遺言書としては使えません。
場合によってはまったく同じ遺言書を書き直すことになります。
自筆証書遺言の法務局保管制度
原本は法務局が保管
自筆証書遺言の法務局保管制度は、原本を法務局が保管します。
遺言者は、原本を保管している証明として「保管証」の交付を受けます。
紛失したときに再交付をうけるという考え方がない
遺言書原本は法務局が保管しているため、原本を災害等で紛失することがありません。
つまり、法務局保管の自筆証書遺言書は、遺言書を紛失してしまうという考え方そのものがありません。
同時に、公正証書遺言書のように「正本」「謄本」の交付を受けることもないため、遺言書の内容を把握しておくためには、法務局に保管申し出をする前に遺言書の写しを取っておくか、遺言書の申請の撤回をして返却してもらうことになります。
遺言者は原本閲覧かモニター閲覧ができる
遺言者が遺言書の内容を改めて確認したいときは、原本そのものを法務局で閲覧する方法か、PCモニター越しに閲覧する方法があります。
原本を閲覧するためには遺言書を保管する法務局に赴く必要がありますが、PCモニター越しに確認するのであれば全国どこの法務局でも閲覧することができます。
遺言者の存命中に相続人が遺言書を確認することはできない
遺言書を書いた本人(遺言者)が存命中は、たとえ相続人であっても遺言書の有無を検索したり、内容を確認することはできません。
相続人は条件付で遺言者の死後に遺言書の検索をすることが可能
遺言者本人が亡くなったあと、相続人が法務局に対して遺言書の有無を照会することができ、これを「遺言書保管事実証明書」の交付請求と呼びます。
ただし、法定相続人であれば当然に遺言書の保管事実が伝えられるわけではなく、あくまで照会者を「相続人・遺言執行者・受遺者とする」遺言書が存在しているかを確認できるに過ぎません。つまり、遺言者の遺言書は存在しているものの、照会者自身が相続人等でない遺言書の保管事実証明書を受け取ることができませんので、「照会結果がない=遺言書がない」とはならない点に注意が必要です。
遺言書保管事実証明書の請求をするためには、遺言者の死亡の事実がわかる戸籍、請求者が相続人であることを証明する戸籍、住民票等を提出します。
相続人が遺言者の死後に法務局保管遺言書の交付を受けること
遺言者が亡くなったとき、遺言書に記載された相続人、受遺者、遺言執行者等は、法務局に対して遺言書の内容が記載された書類の交付を請求することができます。
これは遺言書そのものの交付ではなく「遺言書情報証明書」という書類であり、遺言書情報証明書は通常の自筆証書遺言書と異なり家庭裁判所の検認を要しません。
公正証書遺言書
原本は公証役場が保管
公正証書遺言書の原本は公証役場が保管します。
遺言者は、公正証書遺言書を作成した際に、公証役場から公正証書遺言書の「正本」「謄本」の交付を受けます。
遺言書の正本とは原本と完全に同一の内容を引き継ぎ、原本と同様の法的効力を有する書面です。
遺言書の原本は公証役場にて保管されるため、相続手続等で使用する正式な公的文書は「正本」ということになります。
謄本とは、いわば正本のコピーであり、正本の予備として保管する書面です。
多くの相続手続は遺言書の謄本でも対応することができます。
遺言者が遺言書を紛失したら謄本の交付を受けることができる
遺言者が遺言書の正本及び謄本をなくしてしまったときは、公証役場に交付請求をすることで遺言書謄本の再発行を受けることができます。
一方、正本は遺言書作成時にのみ交付され、紛失した場合に「正本」の再交付を受けることはできません。
相続人等が遺言者の存命中に遺言書の検索照会をすることはできない
公正証書遺言書の場合は、法務局保管の自筆証書遺言書と同様に、遺言者の存命中に遺言者以外の者(将来の相続人等)が遺言書の検索や内容の照会をすることはできません。
相続人は遺言者の死後に遺言書の検索が可能
相続人や受遺者などの利害関係人は、遺言者が亡くなった後に全国の公証役場で遺言書の検索をすることができます。
相続人等が遺言書の検索をする場合は、全国どこかの公証役場に対し、遺言者の死亡がわかる戸籍謄本、遺言者との関係を証明する戸籍謄本、請求者の身分証等を郵送または持参して請求します。
遺言書作成を司法書士に相談するメリット

法的に有効な遺言書ができる
相続に特化した司法書士であれば、法的に有効な遺言書を作成することができます。
また、公正証書で遺言書を作成しますので、改ざん紛失などのリスクがありません。
二次相続や財産変化に対応した遺言書ができる
遺言書を作成する際は、二次相続が起きた場合や、財産を受け取る相続人が先に死亡している場合を想定して作成することが重要です。
また、遺言書を作成したあとに、不動産を購入する、不動産を処分する、預貯金を解約する、親の不動産を取得するといった財産状況の変化が起こることがありますので、財産状況の変化まで想定して作成すれば、作成し直すことがなくなります。
相続専門の司法書士に相談いただくことで、二次相続や財産状況の変化を考慮した遺言書が作成できます。
遺留分に配慮した遺言書を作成できる
兄弟姉妹を除く法定相続人には遺留分があるため、遺言書の内容によっては遺留分の請求をされることを前提とした相続対策が求められます。
相続に強い司法書士であれば、遺留分を考慮した遺言書の作成や、相続対策を相談することができます。
死亡後の相続手続きも依頼できる
遺言書は作成して終わりではなく、実際に遺言者が死亡して初めて効力が発生し、手続きを進めていくことになります。遺言書に基づいて相続手続きを行う人を遺言執行者と呼びます。
相続の手続きは相続人への連絡、戸籍の取得、金融機関、証券会社、法務局での相続手続きなど、平日に様々な手続きが求められます。
相続に特化した司法書士にご相談いただくことで、遺言書作成段階から遺言執行者も任せることができ、相続が起きた後のスムーズな相続手続きが可能です。
また、不動産の相続登記手続は司法書士が専門家ですので、司法書士を遺言執行者にすることで、弁護士や行政書士を遺言執行者にする場合に比べ、登記手続きを別途依頼する必要がなくなり、その分費用が安くなります。
初回無料のご相談予約はこちらお気軽にご相談ください。







