遺言書は亡くなった方の財産を「誰に、どのような割合で相続(承継)させるか」を示す、遺言者にとっての最期の法的な意思表示です。
遺言書は法務局保管制度の創設、自筆証書遺言書の要件緩和等により、専門家に頼らずとも作成しやすくなった一方で、記載内容によっては相続人同士でトラブルになることもあります。
遺言書に書いていない財産がある場合の法的関係がどうなるのか、遺産分割をするうえでの注意点を解説します。
遺言書に書かれていない財産があるとき
遺言書に記載のない財産がある理由は、主に次の4つが考えられます。
・遺言者が書き漏らしている
・遺言者も把握していない財産があった
・遺言者が相続人となる相続財産があった
・遺言書を作成した後に取得した財産がある
いずれにしても、まずは遺言書が全体を通してどのように記載されているかを確認します。
遺言書に包括的な文言がある場合
遺言書の中に「本遺言書に記載のない一切の財産」、「~を除く遺言者のすべての財産」、「~を含む遺言者のすべての財産」のように、包括的な文言が含まれている場合は、遺言書の中に具体的に記載されていない財産も含めて遺言書の記載に従って相続手続きを行います。
遺言書に包括的な文言がない場合は遺産分割協議の対象
遺言書に前述のような包括的な文言がない場合、完全に遺言書の記載から漏れてしまった財産ということになります。
遺言書に書かれていない相続財産は、遺言書がない状態の相続手続きと同様に、相続人全員が法定相続分で相続しないかぎり遺産分割協議が必要となります。
遺言書に書かれていない財産を遺産分割するときの注意点
遺言書による特定財産の帰属の意味
遺言書により特定の相続人に特定の財産を取得させる意味は、「他の相続人に優先して当該財産を相続人に相続してほしい」という遺言者の意思の表れです。
実務でよくあるのは、「子供のうちの1名に家を継がせたい」「障害のある子供に多くの金銭を残してあげたい」「これからお金が必要になる子供に多くの財産を残したい」「今まで苦労をかけさせられた子供以外に財産を渡したい」といったケースです。
法律用語では、特定の財産を特定の相続人に承継させる遺言を「特定財産承継遺言」と呼び、「遺産分割方法の指定」であると解されます。
遺言書に記載のないが見つかったとき、遺言書によって財産を取得している相続人が、遺言書に書かれていない財産の遺産分割協議に参加して相続分を取得し得るか?という問題があります。
これは、遺言書によって特定の財産を取得した相続人が、①当該特定の財産が既に法定相続分を超過しているのか、②同額なのか、それとも③特定財産が法定相続分を下回っているのかによって異なります。
①遺言書によって特定の相続人が法定相続分を超えて財産を取得している場合
遺言書によって既に法定相続分を超える割合の財産を取得している相続人は、遺言書に記載されていない財産が見つかったとしても、当該財産の分割にはあずかれないと考えられています。(ただし、遺産分割協議で相続人全員が同意すれば、特定相続人が遺言書に記載のない財産を取得することは可能です)
②遺言書によって特定の相続人が法定相続分と同額の財産を取得している場合
遺言書によって既に法定相続分と同額の財産を取得している特定相続人がいる場合、先ほどと同様に残りの財産の分割にはあずかれないと解されますが、相続人全員の同意があれば残余財産の取得は可能です。
③遺言書によって特定の相続人が法定相続分を下回って財産を取得している場合
特定の相続人が遺言書によって財産を取得したものの、その額が法定相続分を下回っているケースでは、遺言者が「特定の相続人には遺言書で記載した財産のみを相続させる意思」と、「特定財産を優先的に相続させたい意思のみで他意がない」のどちらで解釈するかによって結論が変わります。
一般的には、遺言書を作成する意義、遺言書によって特定財産を相続人に相続させるとした意義から考えると、遺言書に記載のない財産の取得を禁止するとまでは解釈しないのが合理的です。
したがって、遺言書によって特定の相続人が法定相続分を下回って財産を取得している場合、法定相続分に満つるまで、他の財産の分割にあずかれると解するのが自然です。
遺言書作成を司法書士に相談するメリット

法的に有効な遺言書ができる
相続に特化した司法書士であれば、法的に有効な遺言書を作成することができます。
また、公正証書で遺言書を作成しますので、改ざん紛失などのリスクがありません。
二次相続や財産変化に対応した遺言書ができる
遺言書を作成する際は、二次相続が起きた場合や、財産を受け取る相続人が先に死亡している場合を想定して作成することが重要です。
また、遺言書を作成したあとに、不動産を購入する、不動産を処分する、預貯金を解約する、親の不動産を取得するといった財産状況の変化が起こることがありますので、財産状況の変化まで想定して作成すれば、作成し直すことがなくなります。
相続専門の司法書士に相談いただくことで、二次相続や財産状況の変化を考慮した遺言書が作成できます。
遺留分に配慮した遺言書を作成できる
兄弟姉妹を除く法定相続人には遺留分があるため、遺言書の内容によっては遺留分の請求をされることを前提とした相続対策が求められます。
相続に強い司法書士であれば、遺留分を考慮した遺言書の作成や、相続対策を相談することができます。
死亡後の相続手続きも依頼できる
遺言書は作成して終わりではなく、実際に遺言者が死亡して初めて効力が発生し、手続きを進めていくことになります。遺言書に基づいて相続手続きを行う人を遺言執行者と呼びます。
相続の手続きは相続人への連絡、戸籍の取得、金融機関、証券会社、法務局での相続手続きなど、平日に様々な手続きが求められます。
相続に特化した司法書士にご相談いただくことで、遺言書作成段階から遺言執行者も任せることができ、相続が起きた後のスムーズな相続手続きが可能です。
また、不動産の相続登記手続は司法書士が専門家ですので、司法書士を遺言執行者にすることで、弁護士や行政書士を遺言執行者にする場合に比べ、登記手続きを別途依頼する必要がなくなり、その分費用が安くなります。
初回無料のご相談予約はこちらお気軽にご相談ください。







