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後見人がいなくても、預貯金現金や通帳管理をして良い?

2025 5/12
後見人がいなくても、預貯金現金や通帳管理をして良い?

怪我、病気、疾患など様々な理由で判断能力が低下し、ご自身で金銭管理や契約ができなくなってしまった方のために、家庭裁判所で成年後見人(保佐人、補助人)を選任することができます。

成年後見人、保佐人、補助人が選任されると、ご本人(成年被後見人、被保佐人、被補助人)の法定代理人として本人のために金銭管理や契約ができるようになりますが、本人の判断能力が低下する前から日常的に支援をしている親族や、まだ認知症と呼ぶまで判断能力が低下していない状態で金銭管理を任され、後見制度を利用せずなし崩し的に通帳や現金を管理していることも良くあります。

裁判所で後見人を選任しないまま、預貯金現金や通帳管理をして良いのかについて、その注意点やリスク、デメリットを紹介します。

目次

後見人をつけずに金銭管理ができるのか

まず、裁判所で成年後見人を選任せずに銀行の預金通帳や現金など金銭の管理、入出金ができるか否かについては、やって良いかは別として条件が揃えば可能です。

その条件とは、金額が少額で、かつ暗証番号を知っている場合です。

よくあるのは、AさんとBさんの夫婦(あるいは親子)のうち、Aさんの銀行口座を生活口座にしており、BさんがAさんのキャッシュカードや通帳を管理し、Aさんの口座からお金を日常的に出し入れしているケースです。

Aさんが仮に認知症で判断能力を失ったとしても、BさんはAさんの通帳から以前と変わらず金銭の入出金をすることが出来てしまうため、わざわざ裁判所の手続きを経て後見人を選任することの意味がないようにも感じます。

しかし、成年後見制度を活用せずに金銭管理をすることには、相当のリスクが伴います。

後見制度を利用せずに金銭管理をする危険性について解説します。

後見人ではない人が、金銭管理をすることのリスクやデメリット

通帳やキャッシュカードの貸与はNG

そもそも、金融機関口座にあるお金は預金債権といって、口座にお金を預ける本人から金融機関に対する債権として扱われており、かつ預金債権は譲渡が禁止されています。

また、一般的に、金融機関の通帳キャッシュカードは、たとえ親族であっても貸与することが認められていません。

正当な理由なく他人に貸与した場合は、最悪の場合犯罪になることもあります。

当然ながら金融機関は名義人以外の人(夫婦や親族を含む)がキャッシュカードを利用することを想定していないため、どんな利用のされ方があったとしても損失を補填してくれません。

通帳キャッシュカードからお金を引き出すこと

本人以外の人間が通帳キャッシュカードを用いて金融機関口座からお金を引き出す行為は、刑法上の詐欺罪や窃盗罪に該当します。

どんなに信頼関係のある関係性だとしても、他人のキャッシュカードを預かって現金を引き出す行為はかなりのリスクです。言った言わないなどからあらぬ疑いを最悪の場合捕まることもありますので、特に親族でない方のキャッシュカードを預かったりすることはしないようにしましょう。

本人を金銭トラブルから守れない

成年後見制度を利用することで、後見人は本人の法的な代理人となり、本人に代わって様々な法律行為をすることができるようになります。

認知症などの一症状として、散財や高額な契約、定額サービスの契約をしてしまうことがあります。

当事務所が関与しているケースを例にすると、本人が躁鬱病で、躁状態、つまりハイテンションのときにブランドバッグを大量に購入してしまうといった方や、知らない間に健康食品の定額購入サービスを契約してしまっていることがあります。

本人がこうした契約をしてしまったとき、成年後見人は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」を除く法律行為について、本人がした行為を取り消すことができます。

成年後見人ではない保佐人や補助人であっても、同様に取り消すことができることがありますが、法定代理人である成年後見人、保佐人、補助人を選任していない場合、本人の行為を取り消せるのは本人だけですので、金銭トラブルから本人を護れないことになります。

私的な使い込みを防げない

先ほどの例と似ていますが、本人が散財したり、高額な契約をしてしまうとき、成年後見人がいないと本人の経済的基盤を支えることが難しくなります。

当事務所であったケースでは、本人に浪費癖があり、年金が入るたびにギャンブルにお金をつかってしまい、食料品を購入できず窃盗して何度も捕まってしまう方がいました。

こういった方のケースでは、後見人がいれば本人の代わりに年金が入る口座を管理し、一方で本人名義の別口座をつくってキャッシュカードを手渡し、年金から本当に使用できる遊興費だけを本人の新しい口座に入れ、本人がその口座からお金を出して趣味に利用するといった方法が可能です。

本人との金銭トラブル

認知症の症状の1つに「物盗られ妄想」があります。

判断能力が下がると、空き巣に入られた、親族が家からお金や物を奪っているといった具合に、本人の財産を誰かに盗まれているといった妄想が出てくる方があります。

親族が金銭管理をしていると、本人は自由に金銭を使えない不自由さや通帳を管理されているという心理的嫌悪感から、お金を勝手に使われているという妄想に発展するケースが多々あります。

成年後見人は法定代理人として本人の通帳を管理する権限があるため、仮に後見人が通帳からお金を出し入れしている中で上記のようなことを言われたとしても、通帳を提示してしっかり確認してもらえば何の問題もなく、通帳の入出金記録やその使途は定期的に裁判所に報告しているため疑義のある入出金は考えられませんが、成年後見人を選任せずに任意で金銭管理をしている場合、そもそも法的には本人の通帳を管理する権限がないため、入出金の履歴や金銭使途をめぐってトラブルになることがあります。

口座自動振替ができない

電気ガス水道代や固定資産税、住民税などの公共料金や租税公課、施設入所に伴う施設費用など、定期的な支出は本人の口座から振り替えることができます。

後見人が選任されている場合は、後見人が新たに登録する印鑑を使用して口座振替登録をすることができますが、後見人を選任していない場合は本人の銀行印がある場合でないと振替登録ができません。

在宅生活の状態で認知症になる方は、公共料金や税金の支払いを請求書がきてから窓口で支払っていることが多いため、本人が支払できなくなった後、口座振替にせずこれらの支払管理をすることは大きな負担となります。

郵送物の確認や郵送先変更ができない

本人あてに届く手紙、請求書、通知書などの郵便物は「信書」と呼ばれ、郵便法により本人以外の人間が確認することが禁止されています。

また、本人宛の郵送物を無断で転送し、本人以外の人間が開封することも同様に禁止されています。

成年後見人の場合は、本人の代理人として後見業務に必要な範囲で本人宛に到達した書面を開封し中を確認することができます。また、年金事務所、役所、金融機関に後見人登録をすることで、これらの場所から到着する書面の郵送先を後見人の住所に直接指定することができます。

一方で、後見制度を利用しない場合、同居する親族でないかぎり、郵送物の送付先を変更することや、郵送物を確認することができません。

一定金額以上の支払が生じたときの支払ができない

近年では振り込め詐欺や特殊詐欺防止のため、ATMで引き出すことのできる現金に限度額が設定されています。

日常的な生活費であればATMで引き出して使用することができるかもしれませんが、入院費、手術費、施設入所一時金など、臨時で高額の金銭を振り込む必要があるとき、後見人制度を利用せずに親族が親や配偶者の預貯金を管理している場合に支払ができずに困ることがあります。

成年後見制度を利用している場合は、仮にATMで振込ができなくても窓口で法定代理人として振込手続きをすることができます。

まとめ

以上のとおり、成年後見制度を利用せずに本人の現金、預貯金通帳キャッシュカードを管理することは、可能か不可能かで言えば可能ですが、厳密には法律違反をしていたり、かなり大きなリスクを許容することになります。

当事務所は成年後見人として数多くの方をサポートしております。

詳しい手続きの流れや費用、疑問点があればいつでもご相談ください。

初回相談無料ご予約はこちらのフォームから。お気軽にご相談ください。

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