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成年後見と任意後見の違いとは?報酬の決定方法、制度の利用方法、共通点などを解説

2026 5/07
成年後見と任意後見の違いとは?報酬の決定方法、制度の利用方法、共通点などを解説

成年後見人(保佐人・補助人)と任意後見人は、どちらも本人の代わりに代理人が財産管理を行う制度ですが、本来は利用時期、利用方法、費用など様々な点で大きく異なります。
成年後見(保佐・補助)制度と任意後見の共通点と違いについて説明します。

※注意※2026.5.3時点の情報であり、成年後見(任意後見)制度を大幅に改正する閣議決定により、制度自体が大きく変わる可能性があります。必ず最新の情報を確認するようにしてください※

目次

成年後見人・保佐人・補助人とは

成年後見人(保佐人・補助人)とは、精神上の障害により、事理を弁識する能力が低下している方、わかりやすく言うと既に判断能力が一定程度低下している方のために、裁判所が本人の代理人を選任する制度です。

2026.5時点での現行法では、後見制度は本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型に分類されます。

ポイントは、いずれの類型であっても「本人の判断能力が既に一定程度低下している」という点です。

任意後見制度とは

任意後見制度とは、将来判断能力が低下した時に備えて、認知症対策として本人があらかじめ第三者と任意後見契約を結んでおく制度です。

ポイントは「将来のために、本人が元気なうちに任意で(自分の意思で)後見人と契約しておく」点です。
つまり、任意後見とは、いまは元気な方が将来のために締結する契約で、保険のような役割をもっています。

成年後見と任意後見の共通点は?

成年後見(保佐・補助)制度と任意後見制度の、主な共通点は次のとおりです。

成年後見(保佐・補助)任意後見
後見人の業務後見人等が本人の代わりに
財産管理・契約・身上監護を行う
後見人が本人の代わりに
財産管理・契約・身上監護を行う
後見開始の申立先家庭裁判所家庭裁判所
後見人の報酬ありあり

後見人の業務

成年後見制度、任意後見制度ともに、後見人が本人の代わりに財産(預貯金、不動産など)の管理を行い、施設や病院の契約を行う点で共通しています。
また、本人の意思決定支援をする立場でもあり、本人が自分らしく生活できるように、身上監護をする義務もおいます。

利用には裁判所の関与がいる

後見・保佐・補助を開始するときには、まず医師の診断書が必要です。

医学的な見解から判断能力が低下していると診断されれば、家庭裁判所に書類を提出し、以後は家庭裁判所が後見人の業務を監督することになります。

診断書を作成する医師は主治医やかかりつけ医である必要はなく、入院先の病院や施設の往診医も可能です。
また、精神疾患や認知症に知見のある医師でなく、内科医や外科医に書いてもらうこともできます。

任意後見制度は、契約時点では裁判所の関与はありませんが、本人の判断能力が低下していると疑われる場合には、任意後見受任者は医師の診断書をもらい、家庭裁判所に「任意後見監督人選任の申立て」をします。
裁判所から任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者は任意後見人として本人の身上監護、財産管理を行います。

後見人の報酬

成年後見制度も任意後見制度も、後見人が行う業務に対して報酬を支払うことになる点が共通しています。
ただし、本人の財産が僅少である場合や、後見人が報酬付与の申し立てをしないときは、報酬が発生しないことがあります。

成年後見と任意後見の違い

先ほどは成年後見と任意後見の共通点を説明しました。

本人のために後見人(代理人)がつく点で共通する法定後見制度と任意後見制度ですが、実は相違点も数多くあります。 成年後見と任意後見の違いをまとめます。

成年後見・保佐・補助任意後見
申立人/契約者本人、配偶者、4親等内の親族 、検察官、市町村長など本人のみ(契約時)
本人が元気なうちに
手続・契約できるか
×
本人の判断能力低下後に
手続・契約できるか
×
本人が後見人を選ぶこと△(裁判所が最終判断)
制度開始までの期間4~6か月程度2~3か月程度
後見人の権限を制限できるか
後見人の報酬額の決定方法裁判所が決定契約で任意に決定
後見監督人がつくか△(ケースによる)
同意権・取消権○(※類型等による)×(代理権のみ)

①申立人・契約者

成年後見制度は、判断能力が低下している本人のために利用する制度ですので、本人の配偶者、4親等内の親族など本人以外の者が申し立てをすることができます。

任意後見制度は、あくまで本人が自分自身の将来のために行う契約ですので、本人以外の人間が行うことはできません。任意後見契約をしたあとに本人の判断能力が低下しているときは、任意後見受任者が家庭裁判所に対して後見監督人選任申立てを行うことができます。

②本人が元気なうちに手続・契約できるか

成年後見は本人が元気なうちに契約や手続きをすることはできず、本人の判断能力が低下して初めて手続を利用することが可能になります。

対して任意後見は本人が自身の判断能力の低下に備えて元気な内にあらかじめ行う契約であるという点で、成年後見とは性質が異なります。

個別のケースによりますが、本人の判断能力が低下してしまった後は、任意後見契約を締結することは一般的に難しくなってきます。

③本人が後見人を直接選ぶこと

成年後見は本人の判断能力が既に低下しているときに利用する制度であり、誰が本人のための代理人(後見人・保佐人・補助人)になるかは家庭裁判所が決定します。
成年後見制度では家庭裁判所への申立時に「後見人(保佐人・補助人)候補者」を記載することはできますが、裁判所が候補者を不適格と考えた場合には、まったく別の第三者が後見人等に選任されることもあります。

任意後見制度は、判断能力が低下していないときに本人が契約で任意後見人を直接指定するため、裁判所の介入によりまったく無関係の人間が任意後見人に選任されることはありません。

④制度開始までの期間

成年後見制度は、後見制度を利用しようと決まってから必要書類を集め、裁判所に申し立て、裁判所の調査官が調査のうえ決定しますので、4~6か月程度の時間がかかります。

任意後見制度は、契約であらかじめ「本人の判断能力が低下したらこの人が後見人になって制度を利用します」と予約している状態ですので、実際に利用しようと決まってから2~3か月程度で制度を利用できます。

⑤後見人の権限を制限できるか

成年後見制度は、低下した本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型に分類されます。
保佐・補助の場合は、ある程度本人がしっかりしている状態といえますので、保佐人・補助人の権限を制限することができますが、成年後見の場合は日常生活に必要な行為を除く取消権や代理権を付与され、後見人が大きな権限を持つことになります。

任意後見は、本人の判断能力が低下したとき、どんなことを後見人が行えるのかを契約により定めることができますので、例えば「不動産の管理はしてもらいたいが、売るのはやめてほしい」といった場合に、権限を制限することができます。

⑥後見人の報酬額の決定方法

成年後見制度の後見人・保佐人・補助人報酬は、後見人・保佐人・補助人が行った業務の内容と量に応じて家庭裁判所が決定します。そのため、本人や後見人等が任意で報酬額を決定するわけではなく、報酬の受取方も一般的には1年に1回年間報酬として後払いの方法になります。

任意後見制度は、あくまで本人が元気なうちに任意後見人との間で締結する契約ですので、契約時に任意後見人報酬を自由に決定することができます。

⑦後見監督人が必須か否か

成年後見制度は、本人の財産金額が大きい場合、本人の財産管理が複雑な場合、後見人に選ばれた親族が本人の金銭を不正に利用する恐れがある場合などに、「後見監督人」がつくことがあります。

後見監督人は、弁護士や司法書士など後見制度に長けた専門家が選ばれ、後見人の業務が適切に行えているかなどを監督しながら、後見人の財産管理などをサポートします。

任意後見制度は、契約により選ばれた人間が、本人の判断能力低下後に後見人となって業務を行うため、そのままでは適切に財産を管理しているか監督する人間がいないことになります。そのため、任意後見制度は、必ず「任意後見監督人」がつくことになります。

また、任意後見監督人に対しても報酬を支払うことになるため、任意後見制度の方が金銭的な負担が大きくなりがちです。

⑧同意権・取消権の有無

成年後見制度は、成年後見人と取消権があり、保佐人や補助人には一定の場合に同意権や取消権を行使することができます。

対して任意後見人には同意権と取消権がありません。

例えば、本人が認知症で高額な浪費(日用品の購入ではない高額物品の購入や契約)を繰り返すとき、成年後見人(保佐人や補助人)は取消権を行使して浪費を強制的に止めることができますが、任意後見人は取り消すことができません。

このような場合、任意後見人は、本人が必要以上に高額な浪費をしないように通帳やクレジットカードの管理方法を変更するなどして対応することになります。

成年後見制度と任意後見の費用比較

成年後見制度と任意後見制度にかかる費用を比較します。

当事務所にご依頼いただいた場合は、次のようになります。

成年後見制度(税込)任意後見(税込)
契約0円16万5000円
申し立て16万5000円0円
後見人報酬(月額)裁判所の決定による3万3000円~
※後見監督人報酬(月額)裁判所の決定による1~2万円※

成年後見と任意後見のメリットデメリット

成年後見制度と任意後見のメリットデメリットは次のようなものです。

成年後見・任意後見に共通するメリット

・本人の代わりに病院、施設との契約ができる
・本人の代わりに支払い、金銭の受領ができる
・本人の代わりに不動産や株式を売却し、施設や病院費用に充てることができる
・本人が通帳などを紛失していても、調査・再発行できる

成年後見・任意後見に共通するデメリット

・一度後見人がつくと、原則は本人か後見人が死亡するまで続く
・後見人への月額報酬が発生する
・本人と本人以外の財産(収支)を明確に分ける必要があり、親族や同居人、扶養家族など家計を同一にしている場合は管理が複雑になる
・後見人は定期的に裁判所に書面で報告する義務がある(後見人にとって負担)

成年後見と任意後見どちらがオススメか

成年後見制度と任意後見制度は、それぞれ利用できるタイミングが異なるため、ほとんどの場合ご相談いただいた段階で既に利用できる制度がどちらか一方だけになっています。

もしまだ本人がしっかりしている段階で、「任意後見を契約しておくかどうか迷っている」のであれば、元気なうちにできる認知症対策としての任意後見契約をオススメします。

また、本人の判断能力が既に低下した段階で、「後見人をつけようかどうか迷っている」のであれば、本人のためには成年後見制度を利用すべきです。

ただし、本人と一緒に生活している方がいる場合、後見制度を利用することで今までの生活からどのような変化(不具合)が生じるのか十分に理解していただいたうえで、利用しない方法も考えられます。 制度のことや、金銭的なこと、その他成年後見制度と任意後見契約を検討している場合は、相続・生前対策専門の当事務所に一度ご相談ください。

より詳しい情報や相談の流れなどはこちらをご覧ください。

初回無料のご相談予約はこちらお気軽にご相談ください。

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