MENU

電話・メールでご相談
メール24時間受付中

お電話はこちらから WEBからのご相談はこちら

暦年贈与とは?相続税との関係

2023 10/27
暦年贈与とは?相続税との関係

暦年贈与とは、贈与の中でよく使用される用語で、暦年(1月1日から12月31日)ごとに非課税で贈与できる枠組みのことを指します。

暦年贈与の条件、通常の贈与との違い、注意点や相続税との違いを説明します。

目次

暦年贈与とは

暦年贈与とは、暦(毎年1月1日から12月31日まで)ごとに年間110万円までは非課税になる制度を用いた贈与のことを指します。

通常であれば、金銭、不動産、株式などの財産を貰った人は贈与税がかかりますが、年間110万円以内であれば贈与税が非課税となります。

暦年贈与の対象者

暦年贈与の対象者は、成年未成年、認知症などに関係なく存命であるすべての人が対象になります。

貰う財産の価値が年間110万円以内であること

贈与の対象財産は、現金、株式、不動産、自動車など財産的価値があれば何でも良いのですが、非上場株式や不動産は評価が難しく、さらに不動産は登記手続きを要するため、暦年贈与で不動産を移転するケースはあまり多くありません。

そして、暦年贈与の年間110万円は、もらった金額によって判断しますので、
例えば子供が父と母から110万円ずつ贈与を受けた場合は、220万円となり暦年贈与の110万円を超えていることになります。(超えた110万円について課税されます)
暦年贈与はもらう側が年間110万円以内かどうか、で判断します。

暦年贈与は手続きや申告がいる?

暦年贈与であれば自動的に非課税扱いとなりますので、制度を利用するために特別な手続や税務署への申告は必要ありません。

暦年贈与を超えたらどうなる?

暦年贈与(年間110万円)を超えた贈与の場合、110万円を差し引いた部分について課税され、贈与は贈与金額によって税率が変わります。

基礎控除後の課税価格税 率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

例えば、現金1000万円の贈与を受けたとすると、
1000万円―110万円(暦年贈与額)=890万円
890万円×40%(税率)=356万円
356万円―控除額125万円=231万円となり、
1000万円の贈与を受けたときの贈与税は231万円となります。

暦年贈与を利用すべき人、ケース

(1)早い段階から相続税対策をしたい

相続税は、亡くなった方が持っている財産が一定以上の金額であるときに課税される税金です。
言わずもがな、もっとも効果的な対策は「財産を減らすこと」です。

暦年贈与であれば、1人に対して年間110万円を非課税で贈与することができるため、年齢が若いうちから暦年贈与を利用すれば10年後には1100万円もの財産を減らすことが出来るため、早い段階から相続税がかかるとわかっている方には特に有効な手段です。

(2)贈与対象者がたくさんいる

配偶者、子供だけでなく、孫や甥姪など贈与する先の人間がたくさんいる場合には、暦年贈与の範囲内で贈与することで一気に非課税で財産を分散させることができます。

暦年贈与の注意点

(1)相続税計算の際に直近3年分は割り戻しがされる(改正あり)

相続税とは相続が起きたときに、亡くなった方が持っていた資産が一定以上だと課される税金です。

生前に暦年課税を行うことで相続時の財産を減らす効果がありますが、相続人に対してした暦年贈与は、相続発生前3年分について割り戻し(贈与していないものとして相続財産に加算)されます。

しかも、最近の法改正により、令和6年1月1日以降の贈与に関しては割り戻し期間が3年から7年に伸長されることになりました。つまり、令和9年以降に発生する相続については7年前にあたる令和2年以降にした暦年贈与が相続財産とみなされます。

(2)毎年金額や日付を変える

毎年決まった日に決まった金額を決まった人に贈与していると、連年贈与として税務署に指摘され、最終的な総額が贈与する予定の金額だったとして一気に課税される可能性があります。

例えば、毎年1月1日に自分の子Aに対して暦年贈与(110万円)を10年間継続して1100万円について非課税でいたところ、連年贈与に当たるとして、一度に1100万円の贈与をしたものとして(1100万円―110万円)×40%―125万円=271万円の贈与税が課される可能性があります。

贈与を行う場合は、贈与ごとに契約書を作成し、毎年違う日に違う金額で贈与するようにしましょう。

(3)相続時精算課税制度と併用できない(改正あり)

相続時精算課税という制度を活用すれば、自分の直系卑属に対する2500万円以内の財産の贈与が非課税になります。

ただし、この制度を利用すると以降は毎年の暦年贈与が利用できなくなり、相続時精算課税利用以降の贈与金額の総額が2500万円以上になると、それ以降は一律で20%の贈与税が課されることになります。

ただし、法改正により令和6年1月1日以降は相続時精算課税を選択した人でも暦年贈与を利用できることとなり、年間110万円までは非課税かつ無申告で贈与が利用できます。

(4)受贈者が金銭を管理しているか否か

暦年贈与自体は誰に対しても行うことができますので、乳幼児、認知症、未成年者など属性に問わず有効です。

ただし、受け取った人自身がその贈与を受けた財産を管理処分できる状態でないときは、単に財産隠し(相続税逃れ)として財産を移動させたにすぎず、実態は贈与した人が財産を管理しているとみなされることがあります。これを名義預金と呼びます。

例えば、祖父が1歳の孫に5000万円を贈与したとしても、孫の預金口座にお金が移動しただけで、実態上は孫がその財産を利用できる立場にはないから、依然として5000万円は祖父の名義の財産とみなす、といったケースです。

(5)契約書を作成する

暦年贈与は年間110万円以内の贈与で、そのほとんどが相続人など親族に対する贈与です。

贈与契約書を作成せずに毎年決まった時期に決まった金額を振り込むだけのケースが見受けられますが、先ほど述べた連年贈与とみなされる可能性があるため、毎年きちんと契約書を作成することが重要です。

暦年贈与や相続対策を専門家に相談するメリット

(1)各種税金や将来のリスクまで相談できる

贈与税、相続税のほか、節税に有効な制度の活用、相続が起きたときのリスクや対策など将来にわたる多様な問題について相談ができます。

インターネットで検索したり自分で書籍を調べるよりも、実際に実務レベルで業務にあたる専門家に相談することで、直近の法改正などの情報も入手することができます。

(2)法的に問題のない契約書を作成してもらえる

暦年贈与は口頭ではなく契約書を作成しておくことが推奨されます。

法律のプロである司法書士や弁護士は契約書作成にも長けていますので、法的に問題のない契約書を作成することができます。

(3)不動産の贈与なら登記まで依頼できる

暦年贈与や相続税対策として不動産を贈与することがあります。

不動産の贈与は贈与契約書を作成するだけではなく、実際に登記を移転させる必要があります。

登記の専門家は司法書士ですので、専門家に依頼することで贈与の不動産登記までお任せすることができます。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

目次
閉じる