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相続放棄の期限とは?

2024 7/18
相続放棄の期限とは?

亡くなられた方の財産や借金を相続したくない場合、相続放棄を選択することがあります。

相続放棄は法律上の相続人ではなくなるため、故人に借金があっても支払う義務がなくなりますが、手続きが出来る期限があります。
相続放棄の期限がいつなのか、期限を過ぎている場合や、期限に間に合わない場合の対応をご紹介します。

目次

相続放棄とは?

相続放棄とは?

相続放棄とは、法律上の相続人ではなくなり、亡くなった方の財産や借金を相続する一切の権利を放棄する手続です。

プラスの財産を相続することができなくなりますが、反対に借金を相続して支払う義務もなくなるため、主に負債が多い故人のケースで利用される手続です。

相続放棄をする場所

相続放棄をする場所

相続放棄は、亡くなった方の住所を管轄する家庭裁判所に対して申述します。
具体的には、故人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本などを用意し、申述書に必要事項を記載して書類を提出します。

直接裁判所に持参して提出する必要はないため、遠方の場合は郵送で提出することができます。

相続放棄の期限

相続放棄の期限

相続放棄の期限は、相続が発生し、かつ自己が相続人であることを知ってから3か月です。この3か月の間に相続するか、放棄するかを検討することになり、この期間を熟慮期間と呼びます。

この熟慮期間を過ぎてしまうと「相続を受け入れた」ものとみなされ、財産や借金をすべて引き継ぐことになります。これを単純承認と言います。

相続は単純承認が原則であり、例外的に相続放棄をする場合は期限内に手続きをすることになります。

相続放棄の期限の考え方

相続放棄の期限の考え方

相続放棄の熟慮期間は、相続が開始したこと、かつ自己が相続人であることを知ったときから進行します。

したがって、同居している相続人等は死亡の日にその事実を知ることがほとんどですので、その日から熟慮期間が進行します。

反対に、遠方にいる相続人などは、死亡した事実を現実に知ったときから熟慮期間が進行します。相続放棄を検討する熟慮期間は、個々の相続人でそれぞれ進行します。

未成年者の相続放棄

未成年者の相続放棄

未成年者が相続放棄をする場合、原則として法定代理人である親権者が代理で相続放棄をします。ただし、未成年者と親権者がともに相続人になり、かつ未成年者のみ相続放棄をする場合は親権者が未成年者の代理人になることができません。未成年者が相続放棄をすることで親権者の利益が増える関係にある、つまり親権者と未成年者は利益が相反する立場にいるからです。

親権者と未成年者がともに相続放棄する場合は問題となりませんが、未成年者のみ相続放棄する場合は家庭裁判所で特別代理人を選任する必要があります。

認知症の方の相続放棄

認知症の方の相続放棄

認知症などで判断能力が低下した方が相続人になっている場合、その方が単独で相続放棄をすることは原則としてできません。相続放棄はプラスの財産も放棄し、法律上の相続人ではなくなる高度な法的手続であり、判断能力が低下した方が単独で行うのは後から取り返しのつかないリスクを伴うからです。

裁判所で成年後見、保佐、補助の申立し、選任された成年後見人、保佐人、補助人が相続放棄をすることができます。ただし、保佐人や補助人は相続放棄に関して代理権を付与されている場合に限ります。

相続放棄の期限を過ぎそうなとき

相続放棄の期限を過ぎそうなとき

財産調査に時間がかかったり、相続放棄の判断に迷って相続放棄の期限である3か月の熟慮期間を過ぎてしまいそうな場合、熟慮期間の伸長という手続を行うことで、期限を少し伸長することができます。

熟慮期間の伸長の手続きは、相続放棄と同じく3か月以内に行う必要がありますが、その後数か月期間が伸びますので、慌てずに財産調査や相続放棄の検討をすることができます。

相続放棄の期限を過ぎたとき

相続放棄の期限を過ぎたとき

相続放棄の熟慮期間を過ぎてしまったとき、原則として「単純承認みなし」となるため相続放棄をすることができません。

ただし、相続を知った時に全く知る由もなかった借金が後から判明した場合など、相続財産がないことを信じるにつき正当な理由があるケースでは、相続から3か月を経過していても相続放棄できることがあります。

実際にあった相続放棄の判例

実際にあった相続放棄の判例

熟慮期間の起算点に関する判例(最高裁第2小法廷判決昭和59年4月27日)

相続人が相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信じるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が前記の各事実を知ったときから熟慮機関を起算すべきであるとすることは相当でないというべきであり、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時から起算すべきものと解するのが相当である」と判示し、相続財産の一部の存在を認識しうるときから熟慮期間が進行するとしました。

熟慮期間の起算点に関する判例(福岡高裁平成27年2月16日決定)

「相続人が相続財産の一部の存在を知っていた場合でも、自己が取得すべき相続財産がなく、通常人がその存在を知っていれば当然相続放棄をしたであろう相続債務が存在しないと信じており、かつそのように信じたことについて相当の理由があると認められる場合は、上記最高裁の趣旨が妥当するというべきであるから、熟慮期間は、相続債務の存在を認識いた時又は通常これを認識し得るべき時から起算すべきものと解するのが相当である」として、相続財産の一部を知っていても、自己が取得する相続財産がまったく存在しないと信じることに正当性があり、かつ知っていれば通常は相続放棄をするであろう場合には、その相続債務を認識したときから熟慮期間が進行するとしています。

相続放棄を原則として認めるべきとする判例(東京高裁 平成22年8月10日決定)

「相続放棄をすることができる期間の始期を定める民法915条の「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、「相続人が相続開始の原因たる事実の発生を知り、かつ、そのために自己が相続人となったこと及び相続財産の一部又は全部の存在を認識し若しくは認識し得べき状態になった時」と解するのが相当である。
もっとも、相続放棄の申述がされた場合、相続放棄の要件の有無につき入念な審理をすることが予定されておらず、受理がされても相続放棄が実体要件を備えていることが確定されるものではないのに対し、却下されると相続放棄が民法938条の要件を欠き、相続放棄したことを主張できなくなることにかんがみれば、家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述を受理すべきであると解される。」として、相続放棄を却下すべきことが明らかな場合を除いて、相続放棄を受理すべきであるとの判断が示されました。

相続放棄を認めなかった事例(高松高裁 平成13年1月10日決定)

「民法915条1項所定の熟慮期間について、被相続人に高額の相続債務が存在することを知った日から起算すべきである旨の抗告人の主張に対し、遅くとも相続人が相続すべき積極及び消極財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうるべき時から起算すべきであるとした上、抗告人は、被相続人の死亡をその当日に知り、それ以前に被相続人の相続財産として、宅地約68.83平方メートル、建物約56.30平方メートル、預金15万円があることを知っていたといえるから、抗告人は被相続人の死亡の日にその相続財産の一部の存在を認識したものといえるとして、この認識の時期から熟慮期間を起算し、同期間経過後になされた本件相続放棄の申述は不適法である。」として、債務の存在ではなく相続財産の一部を知ったときから熟慮期間が進行するとしています。

相続放棄を司法書士に相談するメリット

相続放棄を司法書士に相談するメリット

書類作成、収集、提出がスピーディ

相続放棄は相続人であることを知ってから3か月以内の期限があります。

期限を過ぎてしまったり、単純承認をすると相続放棄ができず、借金も含めて相続することになってしまいます。

相続の専門家であれば、相続放棄に必要な書類の収集、作成、提出をスピーディに行います。

期限超過後や単純承認みなしにも対応

3か月の期限を超過したり、単純承認をしてしまったかどうか怪しいケースでも、諦める必要はありません。

特別な事情であったり、正当な理由があれば相続放棄を行える可能性があります。

相続の専門家であれば、期限超過後や相続放棄ができるか怪しい様々なケースも経験していますので、決して諦めずにまずはご相談ください。

債権者への対応をしてもらえる

相続放棄は、市役所や病院施設、消費者金融など、債権者からの督促がきて初めて借金を知ることも少なくありません。そして、借金の取り立てを受けることはどんな人にとっても嬉しいことではなく、精神的な負担がかかります。

司法書士にご相談いただければ、相続放棄後に取得できる「申述受理書」をもって、債権者に対しての通知をサポートしますので、債権者に怯えたり心配する必要がなくなります。

他の相続人の相続放棄も連続して引き受けられる

相続放棄は1人の方が手続すれば完了ということはなく、他の相続人に影響を及ぼします。

他の相続人に対して相続放棄の事実を伝えにくかったり、交流がないからといって放置していると、他の方が不測の損害を被り、あなたとの関係性が悪化してしまう恐れもあります。

相続手続きの専門家であれば、相続放棄をした後に相続人となった方の放棄や、その後の親族への通知なども行いますので、ご家族や親族全体の問題として解決することができます。

ご相談フォームはこちらこちらのフォームよりご予約ください。しっかりサポートいたします。

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