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みなし相続財産とは?みなし相続財産になるもの、注意点など

2023 11/11
みなし相続財産とは?みなし相続財産になるもの、注意点など

みなし相続財産とは、相続の分野において非常に重要な考え方の1つで、みなし相続財産があることによって相続税がかかる家庭が大幅に増加します。

みなし相続財産を見逃してしまうと、本来相続税がかかるのに無申告状態となってしまい、余計な税金を払うことになりかねませんので、相続が起きた時にみなし相続財産を把握することが大切です。

目次

みなし相続財産とは

みなし相続財産とは、亡くなった方が持っている財産とは別に、亡くなったことで受け取る権利が生じた財産のことを指します。

亡くなった方が元々持っている財産、例えば不動産や預貯金、株式などは、そのまま「相続財産」と呼びます。

一方で、ある方が亡くなったことで発生した権利や財産は、その方の相続によって生じた財産として考えることができるため、実質的な相続財産と「みなす」という意味で「みなし相続財産」と呼ばれています。

具体的にどのような財産がみなし相続財産になる?

亡くなったことが原因で発生するみなし相続財産の典型的な例は以下のようなものです。

生命保険金

みなし相続財産の典型的なものは生命保険です。

生命保険は被保険者の死亡によって発生し、受取人が受け取ることのできる金員です。

これは亡くなった方が保有している金銭ではありませんが、受取人(主に)相続人が受け取ることができるため、みなし相続財産となります。

ただし、生命保険金がみなし相続財産となるのは、亡くなった方が保険料を支払っていた場合に限ります。亡くなった方が保険料の支払者でない場合は、所得税や贈与税の問題となります。

死亡退職金

企業に勤めていた方、会社を経営していた方は、死亡した際に退職金(死亡退職金)を受け取ります。死亡退職金は亡くなった本人ではなくその相続人に支払われますが、生命保険金と同様に死亡をきっかけに受け取る金員ですので、みなし相続財産となります。

個人年金の解約金や満期受取金

個人がかけていた年金の解約金や満期受取金も、生命保険金や死亡退職金と同様にみなし相続財産となります。

債務の免除

亡くなった方が遺言によってある相続人の債務を免除したような場合は、「免除額=本来払うはずだった金額を死亡によって免れた」ことになるため、債務免除額がみなし相続財産として扱われます。

みなし相続財産になるとどうなる?

生命保険や債務免除などの財産がみなし相続財産になることで何にどう影響するのかというと、相続税の判断に大きく影響します。

相続税は、基礎控除額が決まっており、
基礎控除額=3000万円+(相続人の数×600万円)で計算することができます。

例えば、相続人が2名の場合は3000万円+(2×600万円)=4200万円が相続税の基礎控除となり、相続財産が4200万円未満の場合は相続税がかかりません。

このとき、相続税の対象となる財産は、不動産、預貯金、債権、株式、自動車、貴金属、動産、債務などですが、ここに「みなし相続財産」が加わることになります。

つまり、みなし相続財産が相続税の計算に影響を及ぼし、相続税がかかりやすくなっているのです。

手元に大きな現預金や不動産はないけれど高額な生命保険金が入るケースは、まさにみなし相続財産によって相続税がかかってしまうことになります。

みなし相続財産と相続財産の違い

みなし相続財産は、文字通り「相続財産とみなし」ている財産ですので、本来は相続財産ではありません。
そのため、相続財産とは次のような大きな違いがあります。

相続放棄をしても受け取れるか否か

みなし相続財産、例えば生命保険は、亡くなった方が元々持っている財産ではなく、死亡によってはじめて発生した権利で、その権利は受取人などに帰属します。

受取人自身の地位によって得られる権利ですので、相続を放棄しても受け取ることができます。

一方、相続財産は亡くなった方が保有する権利ですので、相続放棄をすることで一切受け取ることができなくなります。

遺産分割協議が必要か否か

先ほどの考え方と同様、みなし相続財産は亡くなった方が元々持っている財産ではなく、死亡によってはじめて発生し、受取人自身の地位によって得られる権利です。

相続財産は相続人同士で話し合いをしなければ取得することができませんが、みなし相続財産は受取人自身の権利ですので、他の相続人と遺産分割協議書をすることなく当然に受け取ることができます。

控除額があるか否か

生命保険金や死亡退職金には控除額が設けられており、一定の金額までであれば非課税として扱われます。

控除額は相続人の数×500万円で計算することができます。

例えば、相続人が3名いる場合の生命保険金の控除額は1500万円ですので、亡くなった方が1500万円までの生命保険金であれば非課税として処理されます。

同様に、例えば亡くなった方が2000万円の生命保険を契約しており、相続人が3名いる場合、生命保険金の控除額は1500万円ですので、差し引いた500万円については課税財産として算定されてしまいます。

過度に大きな保険料は相続税の対象になってしまいますが、一定の保険金額であれば相続財産を圧縮しながら非課税枠を利用できるため非常に有効な相続税対策となります。

遺留分の対象となるか否か

みなし相続財産は税法上の考え方で相続財産に「みなす」のであって、民法上の相続財産ではないため、遺留分侵害額請求の対象とはなりません。

遺留分とは、法定相続人が最低限受け取ることのできる金銭的権利のことで、相続人間の不公平を是正するために設けられている法律です。

つまり、保険などで多くの金額を受け取ったとしても、他の相続人がその金銭に対して遺留分を主張(いくらか自分たちに渡すよう請求)することはできないのです。

ただし、生命保険金と相続財産の額が極端にかけ離れている場合には、例外として遺留分の対象となった裁判例もありますので、すべての財産を保険につぎ込むといった過度な対策は注意しましょう。

みなし相続財産や相続財産は司法書士に相談

みなし相続財産を考えなければならないのは相続が起きたとき、そして相続が起きる前です。

相続が起きる前であれば、将来の相続財産やみなし相続財産を考えながら、依頼者にとって最も有効な相続税対策や相続対策が行えます。

生前から相続対策をすることで、相続人同士の争いやトラブルをなくしたり、相続税を減らすことが可能です。

相続が起きた後であれば、相続財産やみなし相続財産の正確な把握は相続手続きで欠かせません。

司法書士は相続手続きを得意とする法律の専門家で、相続財産やみなし相続財産の調査に長けています。

相続に関する悩み事は司法書士に相談すると、トータルの費用や時間を抑えられることが多いため、まずは司法書士に相談してみましょう。

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