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相続放棄の法律関係、手続方法、期間、費用、注意点、ポイントなど

2023 12/11
相続放棄の法律関係、手続方法、期間、費用、注意点、ポイントなど

亡くなった方の財産や借金を相続したくない場合は、相続放棄という手続をすることができます。

亡くなった方に多額の借金がある場合や、関係が疎遠になっていて全く詳細を知らない場合、田舎の土地など相続したくないものばかりがある場合は、相続放棄でリスクやトラブルを回避しましょう。

相続放棄する方法や費用などをご説明します。

目次

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった方の相続人が、亡くなった方からの権利・義務の一切を放棄することです。

相続放棄がされる場合の多くは、「亡くなった方の借金を相続したくないから」という理由ですが、相続放棄をすると借金だけでなくプラスの財産である預貯金、株式、不動産もすべて放棄することになります。

一部の例外を除いて権利義務の一切を放棄し、法律上相続人ではなくなります。

注意していただきたいことが、相続人ABCの話し合い(遺産分割協議)の中で、「Aがすべて相続する」と決まったとき、「BCは相続放棄した」ように話す方がいますが、これは法律上の相続放棄とは違い、「ABCのうちAがすべて相続する協議をした」という遺産分割協議の結果に過ぎません。

この状態を相続放棄と勘違いしていると、亡くなった方に債務がある場合、債権者の承諾がなければBCはAとともに借金を支払うことになります。

相続放棄が出来る人

相続放棄ができるのは、亡くなった方の法定相続人です。

将来相続人になったときのために、相続が起きる前にあらかじめ相続放棄をしておくことはできません。

「相続放棄します。」と一筆かいておいても、法律上何の効力もありません。

法定相続人になるのは、本人の配偶者・子供(子供が死亡している場合は孫)・親・兄弟姉妹(甥姪)です。

法定相続人は順位があり、法定相続人が亡くなっていると権利関係が複雑になりがちですので、不安な方はまず一度ご相談ください。

ご相談はこちらから

相続放棄の方法

相続放棄は、相続放棄の対象となる方(亡くなった方)が最後の住所の家庭裁判所に書類を提出します。

各家庭裁判所のHPに掲載されている申立書と、自分が相続人であることを証明する戸籍などの添付書類を提出します。(神戸家庭裁判所HPの相続放棄書式はこちら

相続放棄は、家庭裁判所に放棄の申立をし、受理されて初めて正式な放棄となりますのでご注意下さい。

例えば未払いの借金がある場合に、取り立てに来た債権者に対して、「私は相続しません」と発言したり、個人的に書面を作成するだけでは相続放棄にはなりません。

相続人になったことを知ってから3か月以内に放棄をしないと、自動的に相続したことになってしまいますので、相続放棄をしたい方は、必ず家庭裁判所で正式な放棄の手続をしてください。

事前に相続放棄しておくことはできる?

相続は亡くなってからはじめて誰が相続人であるかが確定する権利義務ですので、事前に相続放棄することはできません。

例えば、離婚した自分の父母のうち、父とは長年疎遠になっているからといって、父の生前中に自分が相続を放棄することはできません。

例でいうと、父が亡くなった時に初めて自分が法定相続人になり、そのときに初めて相続放棄することができるようになります。

相続放棄するか迷っている時にしてはいけないこと

相続放棄するか迷っている、悩んでいるときに絶対にしてはいけないことが、放置です。

何も手続しないことは、相続を受け入れることと同じ結果になります。

相続したくない、放棄したいなら急いで家庭裁判所で手続しましょう。
もし自分で手続できないなら、司法書士や弁護士に相談しましょう。

次に、相続放棄するか迷っているときにしてはいけないことが、

安易に預貯金や現金を受け取ったり、借金や債務を認めたり、支払う約束や支払をしない
・医療費や公共料金、携帯電話の費用を立て替え払いしない

金銭の受け取りや債務の承認・弁済は相続することを認めていることになりますので、どんなに少額でも触ってはいけません。

そのほか、
・亡くなった方のお金を受け取った
・亡くなった方の現金、預金などを引き出した
・亡くなった方の遺品を持ち帰った、捨てた
・遺品整理をした
・家の解約、立ち合い、敷金などの清算をした
・家や預貯金の相続手続きをしようとした、既に終わっている
・車の名義変更をした
・病院、施設、未払い債務を支払っている
・公共料金、携帯代などを支払った
・債権者に、お金を支払う約束をした、一部を支払った
・借金の一部を支払った、支払う約束をした

このような行動をしてしまうと、相続したとみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがありますので、絶対にしないでください。

もし、債権者や関係者からお金の支払いを要求された場合は、正直に「相続放棄をする予定である」ことを伝え、決して口頭でも「支払を少し待ってくれ」「もうすぐ払うと思う」「立て替えます」などの口約束をしないようにしましょう。

相続放棄ができる時期・期間

相続放棄は、相続が開始したこと(自己が相続人であること)を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申立をします。

あらかじめ多額の借金があることが判明していても、本人が生きている内に相続人が相続放棄をすることはできません。

相続人であることを知ってから3か月を超えてしまうと、原則は借金も資産もすべて相続したとみなされます。

また、放棄するかどうか迷っているときに、亡くなった方の財産を処分(預貯金を解約したり、家の現金を受け取ったり、借金を支払ったり)した場合も、相続したとみなされます。

相続放棄の熟慮期間延長とは?

相続放棄は相続が開始したこと(自己が相続人であること)を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申立をしますが、もし3か月では財産を調査しきれない場合や放棄するか迷っている場合などは、裁判所に申立をすれば期間を延長することができます。

相続から3か月経っても相続放棄できる?

相続開始(亡くなって)から時間が経過していても、相続人になったことを全く知ることができなかったときは、知った時から3か月以内に裁判所に相続放棄の申立をすれば放棄が認められる可能性があります。

たとえば亡くなった方が行方不明になっていたり、長年疎遠になっていて生死不明だったり、相続放棄する本人が記憶喪失や病気で相続人になっていることを認識できていないときは、3か月経過後も相続放棄が認められることがあります。

そのほか、いったん相続したものの、莫大な借金が後から見つかり、その借金の存在を全く知らず、知ることもできなかった(通知や督促などもなかった)ような時は、特別の事情として相続放棄が認められることがあります。

相続放棄は法的な影響の大きい手続です。中途半端な知識で判断すると取り返しがつかない可能性もあります

相続放棄にかかる費用はどれぐらい?

相続放棄の費用は、収入印紙や提出用の戸籍など実費で相続人1名あたり5000円~1万円程度かかります。

司法書士や弁護士などの専門家に相続放棄を依頼するのであれば、専門家の報酬が別途発生します。

ご相談はこちらから。

相続放棄は家庭裁判所に書類を提出する手続ですので、法律の専門家である弁護士か司法書士にご相談ください。
※行政書士が裁判所提出書類を作成している場合は違法行為ですのでご注意下さい。

相続放棄をするとどうなるか

相続人でなくなる

家庭裁判所での相続放棄申立て手続が受理されると、その方は相続人でなくなります。

亡くなった方の財産(預金や借金すべて)を相続する権利がなくなりますので、原則として預貯金、株式、不動産を受け取れなくなり、反対に借金などを支払う必要もなくなります。

ただし、生命保険金、役所に申請すれば受け取れる葬式後の葬祭費、遺骨や遺灰などは、相続財産ではなく受け取る人固有の権利と考えられるため、相続放棄をしたあとも受け取ることができます。

他の人が相続人になることがある

相続放棄をすると、他の相続人の順位が繰り上がるため、当初は相続人でなかった人が次の相続人になることがある点は注意が必要です。

前の優先順位の方が放棄したことで、知らずに相続人に繰り上がる事もあります。

相続放棄した後にしてはいけないことや注意点

相続放棄をした後にしてはいけないことは、相続放棄前にしてはいけないことと共通していますが、

・亡くなった方のお金を受け取る
・亡くなった方の現金、預金などを引き出す
・亡くなった方の遺品を持ち帰った、捨てた
・遺品整理をした
・家の解約、立ち合い、敷金などの清算をした
・家や預貯金の相続手続きをしようとした、既に終わっている
・車の名義変更をした
・病院、施設、未払い債務を支払う
・公共料金、携帯代などを支払う
・債権者に、お金を支払う約束をした、一部を支払う
・借金の一部を支払った、支払う約束をした

など、亡くなった方に関する費用の受け取り、支払、財産の承継をすると、相続放棄後も承認したことになってしまいます。

相続放棄することで相続人ではなくなります(=他人と同じ)から、亡くなった方の債務の支払やお金の受け取りをする必要はありませんし、その権利義務もありません。

新たに相続人になる人との関係

自分が相続放棄をすれば、他の人が繰り上がりで相続人になることがあります。

例えば、子どもAが亡き父Xの相続を放棄すると、子どもAから見て叔父や叔母(亡くなった父の兄弟姉妹)が相続人になることがあります。

叔父さんや叔母さんが何も手続しないでいると、相続したことになってしまいます。

相続放棄をした張本人であれば叔父さん叔母さんが繰り上がりで次の相続人になることを知っていたはずなのに何故教えてくれなかったんだ!と後から叔父さん叔母さんとトラブルになることがあります。

自分だけではなく、まわりの親族も一緒に相続放棄を検討しているのであれば、まとめて手続できるように準備しておく方が効率的です。

相続放棄すると、自分の子どもに借金がいく?

子どもAが亡くなった父Xの相続を放棄した場合、自分Aの子どもa(亡くなった父Xからみると孫)に相続する権利はいきません。

相続放棄することで自分が相続人ではなくなりますので、その下の世代(直系卑属)も相続人ではなくなります。

相続放棄しても祭祀財産や保険金は受け取れる?

相続放棄したあとでも、受け取ることができる財産があります。

・亡くなった方が受取人ではない保険金
・亡くなった方が受取人ではない死亡退職金
・香典
・仏壇、遺骨などの祭祀財産
・葬祭費
・未支給年金

これらの財産は、相続財産(亡くなった方の財産)ではなく、「受取人の固有の財産」と考えられますので、相続放棄をした後でも受け取ることができます。

また、祭祀財産は相続財産とは別と考えられていますので、祭祀財産も承継することができます。

相続放棄したら受け取れないものは?

・不動産、預貯金、株式などの資産
・鞄、貴金属、家具などの遺品
・保険、医療費などの還付金
・未払いの給与

相続放棄したあと、手元にある遺産や遺品はどうすれば良い?

相続放棄したあと、亡くなった方の遺品や財産が手元にある場合、勝手に処分して(捨てて)はいけません。

処分行為も相続したとみなされてしまいます。

相続放棄をしたあとに相続財産がある(占有している)場合は、他の相続人や相続財産の清算人に引き渡すまでの間、保存しておく必要があります。

相続放棄を相談したい場合

相続放棄をする場合は、限られた時間の中で裁判所に書類を提出しなければなりません。

確実な手続ができるよう弁護士か司法書士に相談しましょう。(行政書士は裁判所への提出書類作成業務ができません)

相続を扱う弁護士や司法書士なら、未受領や未払いの金銭の問題や、ご自宅の遺品、今後気を付けるべき点などを含めてアドバイスしてくれます。

ご相談フォームはこちらこちらのフォームよりお気軽にご予約ください。

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