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【自筆証書遺言】書き方、費用、注意点、文例など

2023 3/15
【自筆証書遺言】書き方、費用、注意点、文例など

自筆証書遺言の成立は要件がありますが、その要件さえ満たしていれば内容は自由に記載することができます。

目次

自筆証書の要件

遺言書を作成できるのはどんな人?

15歳以上で遺言能力がある方は自筆証書遺言書を作成できます。

未成年者であっても、自分自身の遺言書を作成できるのです。

遺言能力とは、善悪を判断し、遺言を書いた結果がどうなるかを理解する能力のことですので、成年後見制度で用いられるような「行為能力」「事理弁識能力」よりも緩いものとされています。

また、被保佐人や被補助人といった後見制度を利用していている人も、行為能力は制限されているものの遺言能力(物事の善悪や、その遺言を書いた結果がどうなるかを理解する能力)があるなら、問題なく遺言書を作成することができます。

被後見人の方は、法律上は事理弁識能力を欠くとされますので、状態が回復し、かつ医師2名以上が回復を認めている状態であれば、遺言書を作成することができます。

遺言書の作成要件は?

自筆証書は次の内容を充足していれば遺言書として成立します。

裏を返せば、この要件は確実にクリアしていないと、自筆証書遺言書として無効となってしまいます。

本文(遺言書の内容)

本文とは、遺言書の具体的な内容の部分です。

「私の財産はすべて妻○○に相続させる。」といった内容が本文にあたります。

財産目録と異なり、本文については必ず自署(手書き)する必要があります。

PCで作成した本文や、誰かに代筆してもらった本文は無効です。

日付

遺言書を作成した日付を記載します。

西暦でも和暦でもかまいませんが、「○月吉日」のように日が特定できない書き方は認められません。

氏名

氏名を署名します。遺言書作成時の氏名ですので、その後婚姻、離婚、改名で氏名が変わっていても遺言書を作成し直す必要はありません。

押印

氏名の横に押印します。認印、実印どちらでも問題ありませんが、実印の方が文書としての信用力があがりますので、抵抗がないなら実印で押印しましょう。

訂正

遺言書を書き間違え訂正する場合、書き間違えた箇所を二重線で消し、その箇所に「○字削除 △字加入」と記載し押印をします。

訂正の仕方を間違った場合、訂正されていないものとみなされてしまうほか、最悪の場合は遺言書そのものが無効になる可能性があります。

自筆証書遺言は封をする必要がある?

遺言書は封をすることは要件ではありませんので、封をしなくても有効です。

ただし、封をした場合は、見つけた相続人は裁判所で検認をするときまで封を開けることができなくなります。

自筆証書遺言はすべて手書き?

最近の民法改正により、財産目録についてはPCで作成したものを添付して署名押印する方法でもOKとなりました。

財産目録とは、遺言者の財産を一覧にしたものです。

財産目録を作成すると、相続人が財産を把握しやすいメリットがあります。

自筆証書遺言書のメリットデメリット

自筆証書遺言のメリット

紙とペン、ハンコがあれば自宅でもどこでも気軽に作成できる

自筆証書遺言書は思いついた時すぐに作成できることが最大のメリットです。

要式さえ満たせば、チラシの裏やティッシュに書いたものも遺言書になります。

作成費用がほぼかからない(紙代、ペン代)

すぐに作成できるので費用はほぼ0円です。

公正証書遺言は最低でも公証人の手数料がかかるため、自筆証書遺言書は非常に安価に作成できます。

遺言書を作成していることを知られずにすむ

遺言書を金庫や押し入れに隠せば、作成したことを相続人に知られずに済みます。

すぐに書き直せる

気が変わったり、遺言書の作成当時と財産状況など環境が大きく変わったときに、すぐに書き直すことができます。

自筆証書遺言のデメリット

要件を満たしていないと無効

せっかく作成しても要件を満たしていないと無効になり、相続人全員が話し合いをしなければいけなくなります。

遺言書を作成した当の本人は亡くなっているので、相続人のショックも大きくなります。

亡くす(紛失)、書き換えられる(改ざん、変造、偽造)、捨てられる(破棄)、忘れる(失念)のリスクがある

この世に1つしか存在しない遺言書なので、紛失、破棄などのリスクがあります。

また、実際に発見した相続人が自分に不利な内容の遺言書を書き換えたり、捨てることもあり得ます。

相続人が遺言書を見つけられない可能性がある

タンスなどに入れていると、相続人が気付かずに捨てたり、発見できないことがあります。

相続人が遺言書を発見したあと、裁判所で手続しなければならない

自筆証書遺言書は、相続人が裁判所で「検認」手続をしなければばならず、相続人の負担が大きくなります。

自筆証書遺言書の検認とは?

相続発生後のリスク、二次相続、相続税などの問題点をしっかり確認、対策できていない可能性がある

専門家に相談せずに作成する遺言書は、相続発生後の手続や相続人同士の紛争リスク、税金対策などに対応できていない可能性があります。

自筆証書保管制度とは?

法務局で自筆証書遺言書を保管してもらう制度です。

この制度により、

・亡くす(紛失)、書き換えられる(改ざん、変造、偽造)、捨てられる(破棄)、忘れる(失念)のリスクがある

・相続人が遺言書を発見したあと、裁判所で手続しなければならない

を回避することができるようになり、相続人が遺言書を見つけやすくなりました。

詳しくはこちらで自筆証書遺言書の法務局保管制度を解説しています。

遺言書の具体的な記載方法

遺言書は要件さえクリアしていれば、どのような書き方でも基本的には問題ありません。

特定の1名だけに全財産を渡したい(相続させたい)場合

一番シンプルな記載方法として、「妻Aに私の全財産を相続させる。」といった一文だけでも有効に成立します。

ただし、相続人ではない人が受け取る場合は、「相続」という用語は使えないので、正確には「遺贈する。」という表現となります。遺贈とは、「遺言によって贈与」することです。

特定の財産を特定の人に渡したい場合

「X銀行とY銀行の預金をすべて妻Aに相続させる。」

「X銀行とY銀行の預金を除き、株式会社Zの株式を含む全ての財産を子Bに相続させる。」

といった書き方になります。

この書き方だと、X銀行、Y銀行が潰れてしまったり、何らかの事情でX銀行、Y銀行の預金を解約(あるいは預金の引き出し)をすると、妻Aに相続させる財産が大きく減ったり、最悪の場合はなくなってしまうことに注意が必要です。

財産は記載しなくても良いの?

先の「妻Aに私の全財産を相続させる。」書き方であれば、全財産が妻Aにいくことになりますので、財産目録を作成したり、添付しなくても、目的は実現することができます。

ただし、妻Aが遺言者の財産を正確に把握できているとは限りませんので、財産目録は作成して遺言者の所有する財産をリスト化してあげると、残された妻Aにとっての負担はとても減りますし、安心にも繋がります。

財産の記載方法

銀行の預貯金

特定の銀行の口座にある預金を全部渡すなら「○○銀行○○支店普通預金口座番号○○」のように特定します。金額を書く必要はありません。

特定の銀行の口座にある預金の一部を渡すなら「○○銀行○○支店普通預金口座番号○○の預金債権のうち、金△△円」と書きます。

ただし、この書き方は○○銀行を解約したり、死亡時の残高が△△円に満たないときに問題になります。

不動産

不動産は地番と家屋番号で特定します。

地番とは住居表示とは違い、固定資産税納税通知書に記載されています。

地番と住居表示が同一のこともありますが、異なることもあります。

住居表示で記載した遺言書では不動産の相続登記(名義変更)ができない可能性がありますので、必ず地番と家屋番号で特定しましょう。

付言事項とは?

遺言書には付言事項といって、遺言書を作成する本人が、将来その遺言書を見ることになる相続人たちに対して気持ちを書くことができます。

遺言書と別に手紙として残す方法もありますが、あえて遺言書の中に記載することで、遺言書に書かれた財産の分け方にした理由を説明したり、遺言書に付言事項を盛り込むことで揉めそうな相続人同士に自制してもらうなど、遺言書に関連する気持ちを理解してもらうことができます。

自筆証書遺言書の費用は?

自筆証書遺言書の費用はほぼ0円です。

法務局での自筆証書遺言保管制度を利用する場合は、1通につき3900円がかかります。

公正証書遺言書と比較して作成時のコストは大幅に抑えることができます。

自筆証書遺言書の注意点

デメリットを理解する

自筆証書遺言書のデメリットである、無効になる可能性、書き損じの訂正は確実に行うこと、紛失、改ざんなど保管場所や保管方法に注意することをしっかり理解した上で利用しましょう。

残された相続人が裁判所で手続しないといけない

公正証書遺言書と異なり、相続人が裁判所で検認手続をすることになります。

親族間が疎遠になった相続人同士が接触し、紛争になることもあります。

相続人同士に問題がなくとも、裁判所の手続は複雑で面倒です。

夫婦が共同で遺言書を残すことはできない

遺言書は人ごとにそれぞれ作成する必要があります。

夫婦が一緒に(連名で)遺言書を作成すると、無効になってしまいます。

財産はなるべく特定する

相続人が遺言者の財産を把握できていないことがあります。

財産はなるべく目録を作成し、特定しましょう。

遺留分に配慮する

兄弟姉妹を除く相続人には、遺留分という権利があります。

全財産を特定の相続人だけに渡す遺言書は、相続人同士が遺留分を主張してトラブルになることもあります。

遺言執行者の選定

遺言の内容を実現する人間として、遺言執行者を選定することができます。

財産を受け取る相続人自身が遺言執行者になれるか、よく検討しましょう。

遺言書を法律家に相談するメリット

遺言書作成を弁護士や司法書士の専門家に依頼することは様々なメリットがあり、安心に繋がります。

法的に有効な遺言書を作成できる

法律の専門家に相談することで、法的に有効な遺言書を確実に作成できます。

二次相続やリスクなど法律相談を受けられる

残される相続人の負担、相続人同士の紛争、思わぬ税金のリスクなど、専門家が様々な観点からアドバイスします。

遺留分や相続関係の説明を受けられる

相続人の相続分、遺留分に該当する財産や計算方法など、遺言書で恩恵を受けられない相続人への配慮の仕方も考えることができます。

遺言執行者になってもらえる

専門家が遺言執行者となり、遺言書の内容を実現することができます。

財産を受け取る相続人が銀行や法務局で手続する必要がなくなります。

遺言書を保管してもらえる

遺言執行者となる専門家が、事務所で遺言書を保管しておくことができます。

相続人による改ざんや、発見できないリスクを回避できます。

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