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相続分の放棄とは?相続放棄との違いや注意点など

2023 12/10
相続分の放棄とは?相続放棄との違いや注意点など

相続には様々な手続がありますが、その中に「相続分の放棄」という手続があります。

相続分の放棄をすると、自分の相続分を他の相続人が取得することになりますが、相続放棄とは法的な効果や手続き方法、注意点が異なりますので、よく理解したうえで手続きを進めなければなりません。
相続分の放棄をする方法、相続分譲渡や相続放棄との違い、注意点などを解説します。

目次

そもそも相続分とは

相続分とは、法定相続人が有している相続に関する潜在的な持分(取り分)のことです。

法定相続分は民法に規定されており、亡くなった方の配偶者、子供、親、兄弟姉妹などに認められています。

相続分の放棄とは?

相続分の放棄とは、その名のとおり自分が有する「相続分」を放棄してしまうことです。
相続分を放棄できるのは当然ながら相続分を有している相続人に限られます。
相続分を放棄することで、他の法定相続人全員の相続分が増加します。

相続放棄との違い

相続放棄は、相続が開始したことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し立てをする手続のことで、相続放棄をした結果、初めから相続人ではなかったことになります。

相続放棄をすると、被相続人が有している一切のプラスの財産、マイナスの財産を相続人として引き継ぐ権利を失います。
相続放棄は、マイナスの財産を相続したくない場合に行うことがほとんどです。

一方で相続分の放棄とは、“相続分”を放棄するだけですので、相続人であることには変わりありません。相続分を放棄したからといって債務を免れるわけではないため、被相続人に債務がある場合に債権者から請求をされてしまうと、債務を弁済することになります。

「相続分の放棄」と「相続放棄」はよく似た用語ですが、その法的効果が大きく異なり、特に債務から免れるか否かに違いがあります。

相続分の譲渡との違い

相続分の譲渡とは、自分が有する相続分を他人に譲渡することを指します。
譲渡とは売買(有償)か贈与(無償)で行い、譲渡をする相手は相続人に限られず第三者に対してもできます。

相続分の譲渡を受けた人は、譲渡を受けた分だけ相続分が増えることになりますが、相続分譲渡をした相続人以外の相続人は、譲渡された権利を金銭で取り戻すことができるため、譲渡先の相手が常に相続分を取得できるとは限りません。

相続分の放棄は、放棄の相手方を選択することはできず、一方的に放棄の意思表示をすることで他の法定相続人の相続分が増加します。

相続放棄相続分の放棄相続分の譲渡
方法家庭裁判所に申立意思表示意思表示
相手方の選択××
手続きの期限自分が相続人になったことを知って3か月以内遺産分割協議終了まで遺産分割協議まで
債務の弁済義務なしありあり
遺産分割協議への
参加の必要性
なしありなし
税金がかかる可能性なしなしあり

相続分の放棄をするとどうなる?

相続分の放棄をすると、相続分放棄した相続人の法定相続分はなくなり、他の法定相続人の法定相続分が増加します。簡単にいうとプラスの財産を相続する権利を失います。

一方で、相続人としての立場は残るので、被相続人の債権者から請求を受けた場合には債務の弁済に応じなければなりません。

相続分放棄をした場合の具体的な相続分の計算方法

例)父が亡くなり、配偶者であるA、子Bと子Cがいるケース

(1)通常の相続分

民法により相続分は決まっていますので、配偶者は4分の2、子Bと子Cは4分の1ずつの法定相続分を有することになります。

(2)相続放棄をした場合

子Bが相続放棄をした場合、子Bは初めから相続人ではなかったことになります。
その結果、相続人は配偶者Aと子Cだけですので、配偶者Aが2分の1、子Cが2分の1の相続分を有することになります。

(3)相続分の放棄をした場合

子Bが相続分の放棄をした場合、子Bの持つ4分の1の法定相続分を、配偶者Aと子Cが按分して取得します。

配偶者A:子C=2:1の関係ですので、配偶者Aは3分の2、子Cは3分の1の割合で子Bの法定相続分4分の1を受け取ることになります。

配偶者A

子Bの法定相続分4分の1×3分の2(配偶者Aの割合)=12分の2
配偶者Aの元々の法定相続分4分の2+12分の2=3分の2

子C

子Bの法定相続分4分の1×3分の1(子Cの割合)=12分の1
配偶者Aの元々の法定相続分4分の1+12分の1=3分の1

つまり、相続分の放棄がなされると、相続分放棄をした相続人を除く法定相続人の法定相続分は、元々の法定相続分を通分した状態の分子の割合と同一(配偶者A:子C=2:1)の関係になります。

相続分の放棄のメリット

相続人の話し合いから事実上外れる

相続人同士の話し合い(遺産分割協議)にあまり積極的ではない場合、相続分の放棄をすることで遺産分割協議から実質的に離れることができますので、精神的な負担から解放されます。

債務がなく、権利もいらない

被相続人に債務がなく権利もいらないという場合には、相続放棄ではなく相続分の放棄をすることで相続放棄と実質的に同じ効果を得られます。

相続放棄は期間制限があるうえに裁判所への手続きで費用がかかりますが、相続分の放棄は「相続分を放棄します」という書面を作成するだけですのでほとんど費用がかかりません。

相続分の放棄のデメリットや注意点

債務の弁済義務は残る

相続分の譲渡をするとプラスの財産を取得する権利は失いますが、相続人であることには変わりません。
また、相続分の放棄は債権者の同意がない限り債務の弁済義務から免れるわけではないので、債権者から債務の請求をされた場合に応じる必要があります。

一切の債務を負いたくない、相続人として関わりたくないという場合には、相続分の放棄ではなく相続放棄を検討しましょう。

他の相続人全員の相続分が増加する

相続分の放棄をすると、他の相続人全員の法定相続分が増加します。

特定の相続人にだけ相続分を与えたい、相続人ではない人に相続財産を渡したいという場合には、相続分の放棄ではなく相続分の譲渡を検討しましょう。

相続手続きを司法書士に相談するメリット

書類集めから相続手続まですべて行える

相続手続きは、相続人調査(戸籍集め)、財産調査(不動産や預金の調査)、不動産の相続登記、預貯金の解約など多岐にわたる手続きが必要です。

相続に特化した法律の専門家である司法書士であれば、相続に必要な書類集めから実際の相続手続まですべてを行うことができます。

相続分譲渡証明書、遺産分割協議を作成できる

相続には相続分譲渡証明書や遺産分割協議書など、専門性の高い書類を作成する場面が多々あります。これらの書類は法律の知識がないと作成することが難しく、作成しても不備があり手続きが出来ないことがあります。

司法書士にご相談いただければ、これらの書類を法的に問題のないように作成することができます。

不動産の相続登記を行えるため、費用が安く、時間が早い

亡くなった方名義の不動産がある場合は相続登記、つまり不動産の名義変更が必要となります。
相続登記を行えるのは司法書士か弁護士のみであり、行政書士や税理士が登記をすることは違法です。

さらに、弁護士は訴訟などには精通していますが、実務レベルで登記を扱える事務所は多くありません。
司法書士は不動産の相続登記を行える専門家ですので、他の専門家に依頼するよりも総合的な費用が安くなり、かつ窓口が1つで済むため時間も早くなります。

裁判所の手続きを行える

相続人の中に未成年者がいる、相続放棄を希望している人がいる、認知症などで判断能力が低下している人がいる場合、裁判所の手続きが必要になることがあります。

また、遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所に調停申し立てをすることもありますが、裁判所の手続きは司法書士か弁護士にしかできません。

司法書士であれば裁判所手続以後の不動産登記や預貯金解約まで行い、弁護士よりも安価になることが多いため、ご依頼いただく方の経済的、身体的、精神的負担が減ります。

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