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不動産を共有名義で相続することのメリット、デメリット

2023 11/23
不動産を共有名義で相続することのメリット、デメリット

相続や売買、贈与など、不動産の名義を変更する際に、共有で登記をすることができます。

しかし、不動産を共有名義で登記することは様々なデメリットが存在します。よく検討してからでないと、後から費用や手続が余分にかかることもあります。

この記事では不動産を相続で取得する場合を例に挙げながら、不動産を共有名義で相続することのメリット、デメリットを解説します。

目次

相続登記とは?

自宅、家、土地など不動産を所有していた方が亡くなった場合、相続人の名義に権利(所有権)を移転することになります。不動産を相続人等に名義変更(移転)させる手続を、相続登記と呼びます。

不動産を共有名義にする方法

不動産を共有名義にする方法はいくつかあります。

法定相続分どおりに登記

相続人が複数いて、その法定相続分どおりに登記する場合、不動産が共有名義になります。

法定相続分とは、法律で定められた相続人が財産を取得する割合のことで、亡くなった方との関係や相続人の数等により法定相続分が変わります。

例えば、亡くなった方に配偶者と子供2人がいる場合、配偶者の法定相続分は4分の2、子供はそれぞれ4分の1ずつの法定相続分を有しています。

法定相続分どおりに不動産を共有で取得すると、不動産の権利の欄に、配偶者の法定相続分は4分の2、子供はそれぞれ4分の1ずつで登記され、不動産に対してそれぞれ共有持ち分の権利を持っていることになります。

遺産分割で共有にすることに合意

法定相続分とは違い、相続人の話し合いによって取得する財産をそれぞれ指定することができます。

先ほどの例のように、亡くなった方に配偶者と子供2人がいる場合、配偶者の法定相続分は4分の2、子供はそれぞれ4分の1ずつの法定相続分を有していますが、この相続人が話し合いによって「子供2人が2分の1ずつ共有する」という合意をすることができます。

このように、遺産分割(相続人の話し合い)によって不動産を共有することに決めた場合は、その割合に従って相続人が不動産を共有します。

不動産を共有名義で相続するメリット

相続税の課税財産を分散できる

不動産を単独で所有している場合、その方が亡くなると所有不動産がそのまま相続税の課税対象財産になり、相続税がかかる可能性が上がりますが、共有名義にしておくと、それぞれ不動産の持分だけしか課税対象にならないため、相対的に相続税がかかる可能性が下がります。

銀行からの借入金額が上がる

不動産を修繕、増築などするために銀行から融資を受けようとするとき、不動産が単独名義だとその方の信用力のみが審査の対象になりますが、共有名義の場合はそれぞれの信用力が審査の対象になるため、融資を受けられる金額が増える可能性があります。

不動産を共有名義で相続するデメリット

不動産を共有名義で相続するメリットを紹介しましたが、不動産は共有名義にすることのデメリットの方が圧倒的に大きく、専門家として共有名義にすることはおすすめできません。
不動産を共有名義で相続すると次のようなデメリットがあります。

全員が協力しないと売却ができない

不動産を売却したり、大規模な修繕のために融資を受けたいと考える場合、共有者全員が協力して契約、署名押印しなければこれらの手続きができません。

たとえ共有するAとBの持分割合が1:99だとしても、ABがともに協力しなければ不動産全体として売却することができません。

不動産は共有者がそれぞれ独立した権利を持っているため、登記手続的には自分の共有持分だけを売却や贈与することができます。

しかし、不動産を新たに購入したい方や融資をする銀行にとっては、共有持分だけを取得したり、不動産の一部分だけに抵当権を設定しても何の意味もないため、ほとんどのケースは共有者が全員で協力して売却や抵当権を設定することになります。

後見や相続が発生するリスクが高くなる

共有者が亡くなると、その方についての相続登記手続きが必要になります。

また、共有者のうち誰かが認知症などで判断能力がなくなり成年後見制度を利用すると、その方の共有持分については家庭裁判所から選ばれる後見人が管理することになります。

後見人は本人の利益を最優先に行動するため、他の共有者が売却したいと考えていても売却に反対したり、不動産を自由に賃貸することが難しくなる可能性があります。

管理費、固定資産税など固定費のトラブルになりやすい

不動産を共有名義で相続すると、以後はその相続人の共有持分割合に応じて管理費や固定資産税も負担することになるのですが、これらの固定費は共有者の内の1名に対して通知や請求されることが多く、誰かが代表して支払うことが常態化し、実質的に負担が1人に集中してトラブルになってしまうことがよくあります。

使用している共有者を追い出せない

不動産は共有者であれば使用する権利があります。

不動産を共有持分の割合で使用することは難しく(例:トイレや階段の4分の1だけ使用するなど)、共有者の1人が住居として使用している場合に他の共有者が強制的に追い出すことは原則として難しくなります。

そうすると、他の共有者にとっては事実上不動産が活用できない死んだ状態となり、固定費だけを支払い続ける「負動産」となってしまいます。

不動産の共有状態を解消する方法

遺産分割協議、相続放棄

法定相続によって相続登記をして共有状態となって場合には、その後に相続人の話し合い(遺産分割協議)、相続放棄、遺言の発見などで誰か1名の単独名義にすることが可能です。

この場合は、不動産の共有状態を解消することができます。

共有物分割

共有状態を解消するために、共有物の分割という手続があります。

簡単にいうと共有持分を金銭で買い取ってもらうことが多く、この方法により一方の共有者は完全な不動産、他方の共有者は共有持分に見合う金銭を手に入れることで共有状態を解消できます。

共有持分放棄

不動産の共有者は、共有持分を放棄することができます。

これはもらう人の意思表示が必要な贈与契約と違って共有者が意思表示するだけで有効に成立し、他の共有者に帰属するため非常に強力な手続です。近年では、共有者が多数にのぼる田舎の山林や畑など、いわゆる負動産(資産価値のない不動産)で良く見かける登記です。

共有者が持分を放棄すれば当然に他の共有者に権利が行きますが、登記自体は他の共有者と持分放棄をした人が協力して登記申請しないといけませんが、持分を取得する人が非協力的な場合もあります。

この場合は、訴訟によって強制的に持分を他の共有者に譲ることができます。

持分放棄は無償で他の共有者に権利を譲る行為のため、贈与と同じように持分を取得する人に贈与税がかかる可能性があります。

不動産の相続や共有名義のことなら司法書士に相談

不動産を扱う仕事は司法書士、弁護士、土地家屋調査士、不動産業者などがいますが、相続や権利に関する登記手続に精通する法律のプロは司法書士です。

司法書士にご相談いただければ、不動産の状況、相続の状況に応じて最適な解決をご提案できます。

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