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相続登記手続きや遺言作成に欠かせない名寄せとは?

2023 10/31
相続登記手続きや遺言作成に欠かせない名寄せとは?

亡くなられた方名義の不動産がある場合、相続人に移転させるための相続登記手続が必要です。
その相続登記手続は、単に固定資産税がかかっている土地や建物、マンションについてのみ手続すれば良いわけではありません。

相続登記手続や遺言作成において重要な「名寄せ」について、取得方法、請求先、名寄せを取るメリット、名寄せをしないデメリットなどを解説します。

目次

名寄せとは

名寄せ(なよせ)とは、一般的に同一の氏名、住所、生年月日などのデータから同一人物に関する情報を1つにまとめることを指し、不動産だけでなく証券会社や金融機関などでも使用される用語です。

相続登記手続きにおける名寄せとは、亡くなられた方の名前が登記されている不動産を一覧にした書類(名寄せ台帳)を請求することを指します。専門家は「名寄せを取る」などと表現します。

不動産の登記簿には氏名と住所が記載されており、毎年役所が不動産の情報を調査、管理しています。

名寄せは相続手続きに必須?必要?

結論からいうと、相続手続きで名寄せは必須です。

名寄せは取ること自体が容易でかつ安価である一方、取らないことで起こりうるリスクがあまりにも大きいため、司法書士が相続登記を依頼されたときは確実に取得します。

また、遺言書作成の際にも遺言書の内容によっては取得することがあります。

名寄せはどうやって取る?請求方法

名寄せは役所に対して請求することで取得できます。

ただし、例えば神戸市に名寄せを請求すると神戸市内の不動産が一覧となって出てきますが、他市のものは出てきませんので、各市区町村単位ごとに請求する必要があります。

名寄せは該当者の「住所」「氏名」「生年月日」を記載して請求します。

氏名や住所が異なると役所のデータ上は別人として扱われることがありますので、婚姻や帰化で氏名が変わっていたり、住所が変わっている場合は旧姓や旧住所でも名寄せを請求することが有効です。

また、不動産を単独で所有している場合だけでなく共有していることもあります。(田舎の山林や田畑など)必ず共有名義でも不動産がないか調査しましょう。

さらに、時には数代前の方の不動産が見つかることもあります。亡くなられた方の父母や祖父母の氏名で名寄せを行うことも検討しましょう。

相続手続きや遺言で名寄せを請求するメリット

故人名義の不動産を漏らさず把握できる

名寄せを行うことで、亡くなられた方名義の不動産を確実に把握することができます。

特に遺言書を作成する際には、遺言書に記載のない財産があると相続人の協議が必要となってしまうため、財産を漏らさずに把握することは非常に重要です。

私道、公衆用道路など、固定資産がかからない不動産を見つけられる

多くの方が「所有する不動産=固定資産税がかかる」と思っておられますが、誤解です。

実は「私道、公衆用道路」やマンションの「集会所、ゴミ置き場」などはその方の名義が入っている(近隣所有者と共有している)にもかかわらず、固定資産税がかかっていないことがあります。これらの不動産は固定資産税がかからないため、役所から毎年贈られる固定資産税納税委通知書には記載されません。他には「墓地・境内地」も同様です。

名寄せを行うことで、これらの不動産のあぶり出しをすることができます。

未登記家屋などの築年数などを把握できる

未登記建物がある場合、登記簿謄本が存在しないため、正確な築年数や構造が把握できないことがほとんどです。しかし、役所は毎年土地建物を現地調査しているため、未登記建物であっても築年数や構造をある程度把握しており、名寄せを請求することで未登記建物の築年数などの情報を取得できることがあります。この情報は相続税の申告などで役に立ちます。

名寄せを請求するデメリット

名寄せを請求することのデメリットはほとんどありません。

名寄せ台帳の発行時に役所に対して手数料を支払いますが、郵送料を入れても数百円程度で済みます。
役所が把握している情報を役所に請求するだけですので、名寄せの請求によって税金などのデメリットも一切ありません。

名寄せを請求しないことのデメリット

名寄せを請求しないでいると、次のようなデメリットがあります。

(1)不動産の把握漏れが生じるリスク

名寄せを請求しないと不動産の把握漏れが生じるリスクがあります。

先ほど説明した公衆用道路や私道は固定資産税納税通知書に記載されないため、名寄せを請求する以外では権利書を確認する方法ぐらいしかありませんが、不動産の調査に不慣れな方は名寄せを請求せずに相続登記をしてしまい、公衆用道路や私道が相続登記から漏れてしまうことがあります。

これによってさらに
相続登記のやり直しで専門家費用が追加で発生する
不動産の売却手続が遅れる
といったデメリットが発生します。

(2)遺言書のみで相続手続できない

遺言書が「すべての財産を〇〇に相続させる」といった包括的な記載でない場合、もし遺言書から不動産が漏れてしまっていると、その不動産については「遺言書のない」状態と同じとみなされます。

つまり、一般的な相続と同じく、相続人の全員が遺言書から漏れた不動産をどう相続するかについて話し合いをしなければなりません。

相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合、裁判所の手続きを経ることになり、時間、費用、労力がかかってしまいます。

不動産登記法の改正により法務局で名寄せを取れるように

これまでの名寄せは、各市区町村町に名寄せを請求することになっていたため、どうしても把握漏れが生じる可能性があったこと、不動産の数が多ければ多いほど労力が大きい問題点がありました。

この度の法改正により、法務局で「所有不動産証明制度」が始まることになりました。
この所有不動産証明制度により、法務局で名寄せと同等のものを請求できるようになりました。

所有不動産証明制度のメリット

所有不動産証明制度は、法務局でデータベース化された情報の中から、「住所と氏名」で一致する人の所有不動産を一覧で取得できる制度です。

所有不動産証明制度を利用するメリットは全国の不動産を照会できる点です。
これまでの名寄せは各市区町村に対して請求するしかありませんでしたが、これは法務局に対して請求し、法務局が管理する不動産のデータベース情報から検索するため、日本における不動産をすべて照会することができます。

所有不動産証明制度の注意点

住所・氏名が一致しないと証明されない。

所有不動産証明制度は、あくまで不動産登記簿上の住所や氏名を検索するため、登記してから住所や氏名が変更している場合は所有不動産証明書に記載がされません。

昔の住所や氏名で登記している可能性が高い不動産は、従前と同じく市区町村に対して名寄せを請求する方が確実でしょう。

名寄せや相続登記手続、遺言を司法書士に相談するメリット

不動産に特化した専門家である

司法書士は不動産登記に精通した法律の専門家であり、不動産登記法については弁護士よりも司法書士の方が知識を有しています。
名寄せ台帳の請求や相続登記手続については司法書士に相談することで、短期間に有益かつ確実なアドバイスを受けることができます。

法務局への書類作成や申請ができる

法務局に提出する書類(所有不動産証明制度や登記申請)ができるのは司法書士と弁護士です。

その中でも、先ほど紹介したように不動産に関しては弁護士より司法書士の方がより詳しい知見を有していますので、司法書士に相談する方が安心です。

名寄せ後の遺言書作成、相続関係も相談できる

名寄せを請求する目的は不動産の相続登記手続や遺言書作成のためだと思います。
相続に精通した専門家は司法書士ですので、司法書士に相談いただくことで不動産だけなく相続遺言に関するあらゆるリスクや注意点を相談することができます。

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