MENU

電話・メールでご相談
メール24時間受付中

お電話はこちらから WEBからのご相談はこちら

成年後見人ができること。保佐、補助との違い

2023 12/07
成年後見人ができること。保佐、補助との違い

成年後見人とは本人の代わりに法律行為などを行う法定代理人です。

成年後見人ができること、できないこと、保佐人や補助人との違いを説明します。

目次

成年後見人とは

成年後見人とは、認知症などで判断能力が低下した本人のために、財産管理や身上監護を行う法律上の代理人のことで、家庭裁判所に申し立てることで選任されます。

成年後見人は特別な資格が必要なわけではないので、弁護士や司法書士などの法律専門職のほか、親族がなることもあります。
成年後見人がいる状態の本人を成年被後見人と呼びます。

保佐人とは

保佐人とは、成年後見人と同様に認知症などで判断能力が低下した本人のために、財産管理や身上監護を行う法律上の代理人のことで、家庭裁判所に申し立てることで選任されます。

成年後見人との違いは、保佐は後見よりも本人の判断能力がしっかりしていて、ある程度の法律行為をご自身が行える状態に利用されます。
保佐人は成年後見人と違い本人のために代理できる行為が制限されています。

補助人とは

補助人とは、成年後見人や保佐人と同様に認知症などで判断能力が低下した本人のために、財産管理や身上監護を行う法律上の代理人のことで、家庭裁判所に申し立てることで選任されます。成年後見人、保佐人との違いは、補助は保佐や後見よりもさらに本人の判断能力がしっかりしている状態に利用されます。

成年後見人、保佐人、補助人の違い

成年後見人、保佐人、補助人は次のような違いがあります。

成年後見人保佐人補助人
本人の判断能力低い (事理弁識する能力を欠く常況)中 (事理弁識する能力が著しく低下)高い (事理弁識する能力が不十分)
代理権包括的一部のみ一部のみ
取消権日用品の購入以外重要な法律行為のみ一部のみ
同意権なし一部のみ一部のみ

成年後見人ができること

成年後見人は本人の行為に関する代理権と、日用品の購入を除く取消権を有します。

代理権

代理権とはその名のとおり代理する権限のことで、例えば本人の代わりに高額物品の購入(介護用ベッド、テレビ、壊れた給湯器の交換)を行ったり、病院や施設との入院入所契約をすることができます。

取消権

取消権とは本人が行った契約や法律行為を取り消す権限のことで、本人がサプリメントなどの定期契約を結ばされた場合に取り消すことができますが、日用品の購入は取り消すことができません。

一般的に頻度、回数の多い日用品の購入(お米、ティッシュ、野菜など)を取り消すことができるとなると、生活のすべてにおいて後見人への確認が必要になってしまい、本人の取引の安定性が大きく損なわれ、購入した後で取り消されるリスクを考えてスーパーやコンビニから取引自体を拒否される可能性があるため、日用品の購入だけは後見人であっても取り消すことができません。

身上監護

身上監護とは、本人の生活状況を見守り、本人の生活が安定するように配慮決定することです。具体的には、本人や本人をサポートする福祉関係者等と定期的に連絡を取り、面談等を行ったり、本人のために必要な介護医療サービスを導入したりします。

成年後見人が本人に代わってする具体的な法律行為

成年後見人が実際に本人を代理してする具体的な法律行為の例をあげます。

物品の購入

本人の家のテレビ、給湯器、冷蔵庫などの生活物品が故障したり交換する必要が生じたときに、本人に代わって購入することができます。

預貯金の管理

本人が有している預貯金の通帳やキャッシュカードを預かり、後見人として保管することができます。そのほか、必要であれば預貯金口座の開設や、反対に使用していない預金口座や定期預金の解約をすることができます。

年金等の収入の受け取り

年金や医療費還付金、コロナ禍になった臨時給付金などの収入の受け取りや申請をすることができます。

医療費、公共料金などの支払

本人について発生した医療費、施設費、公共料金などの支払や、滞っている債務の整理や弁済をすることができます。

病院、施設との契約

本人が病院や施設に行くことになった場合、病院や施設との入院入所契約、反対に退院退所手続きをすることができます。

生活保護の申請

本人が経済的に困窮している場合には、生活保護その他行政福祉サービスの申請をすることができます。

不動産の売却、管理、解約

本人名義の不動産について管理ができるほか、必要に応じて売却や解約引き渡しをすることができます。ただし、居住用不動産の処分については後見人が独断で出来るわけではなく、家庭裁判所の許可が必要です。

不用品の処分

本人が保有している家の中にある家財道具や動産など、不要なものを処分することができます。近年ではゴミ屋敷になっていることもあるため、処分業者と契約して動産を分別処分することも珍しくありません。

遺産分割

本人が相続人になっている場合、その相続手続きについて本人に代わって遺産分割をすることができます。後見人は本人の利益を最優先に考えるため、遺産分割といっても自由に後見人が協議するわけではなく、裁判所と連携して本人の法定相続分は最低下も確保します。

また、後見人自身も相続人になる場合、本人の立場と後見人の立場で利害が対立するため、遺産分割のためだけの一時的な代理人(特別代理人)を家庭裁判所に選任してもらうことになります。

相続放棄

遺産分割ができるように、本人が相続人となる相続で被相続人に多額の債務がある場合、本人のために相続放棄をすることができます。

成年後見人ができないこと

成年後見人は本人のために包括的な権限を有していると誤解されがちですが、できないこともあります。

以下で列挙する「成年後見人ができないこと」は、あくまで専門職の後見人(親族ではない弁護士や司法書士など)が行うことができない行為であって、親族の後見人が“後見人ではなく親族として”行うことは当然できます。

身の回りのお世話

成年後見人は身上監護を行いますが、一方で身上に関する日常的なお世話(介護する、買い物や通院の付き添い、家事代行)はできません。

身元保証、身元引受人

後見人は本人の法定代理人ですので、本人=後見人という構図になります。

身元保証や身元引受人は、本人に何かあったときに身元を保証する第三者のことですので、本人の代理人である成年後見人が身元保証や身元引受人になることはできません。

また、身元保証、身元引受といった行為自体が成年後見業務から大きく逸脱しているため、後見人が業務として引き受けることはできません。

医療行為の同意

成年後見人は本人の意思を尊重し、自己決定権をサポートする立場です。

成年後見人になっていても、本人の代わりに身分行為(結婚、養子縁組、離婚)をすることはできませんし、本人名義で遺言書を作成することはできません。

同様に、本人が同意しているか不明な医療行為に関して後見人が独断で決定することはできません。医療行為が必要な場合に備えて本人から聞き取りを行う、または本人が常に医療行為に対して明確な意思表示をしていた、あるいは本人が尊厳死宣言書などの書面で意思表示をしているなど、本人の意思が明確になっている場合でなければ、後見人は医療行為に同意せず、医師や医療関係者等に判断を委ねることになります。

死亡後の葬儀や死後事務

成年後見人は本人のための代理人であり、本人が死亡すると同時に後見人ではなくなります。そのため、本人が死亡したあとの遺体の引き取り、葬儀の執行や死後事務を行うことはできません。ただし、近年では身寄りがない方が非常に多いため、火葬に関しては裁判所の許可を得てすることができます。

本人のために金銭を立て替えること

成年後見人は本人のために金銭を立て替えることはできません。正確にはやろうと思えばできるかもしれませんが、銀行員やお店の店員が1円たりとも手数料や費用を立て替えないのと同様に、業務として行う成年後見人が本人のお金を立て替えることは公私混同にあたり、利害関係が生じてしまうために絶対に行うべきではありません。

成年後見制度のことは司法書士に相談

相談~申立てがスムーズ

司法書士は成年後見制度に精通している専門家ですので、ご相談から制度利用までをスムーズに行うことができます。

また、成年後見の申立は家庭裁判所に書類を提出しますが、裁判所への提出書類作成は司法書士か弁護士だけが行えますので、安心してご相談いただけます。

専門家として成年後見人になることができる

専門職の中で成年後見人になっている割合が最も高いのが司法書士です。
司法書士にご相談いただければ、申立てだけでなく専門職後見人として就任を依頼することができます。

相続や不動産手続も成年後見人として行える

後見人として業務を行う中で、相続手続や不動産の処分が必要になることがあります。

司法書士は相続手続きと不動産登記に関する専門家ですので、弁護士や他の専門家が後見人になるケースと異なり、別途相続や不動産登記を依頼することなくそのまま手続できます。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

目次
閉じる