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亡くなった方の借金、債務を1人の相続人が引き受ける方法

2023 11/19
亡くなった方の借金、債務を1人の相続人が引き受ける方法

相続が発生したあとに相続人が承継する財産(遺産)は、プラスの財産だけではありません。
相続人は、亡くなった方が負っていた債務、借金などのマイナスの財産も承継します。

故人が負っていた借金、債務を相続人のうち1人だけが引き受けて相続する方法や、その注意点を解説します。

目次

故人の相続財産(遺産)とは

相続財産(遺産)とは、亡くなった方が持っていたプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含みます。

プラスの財産とは、不動産、預貯金、株式、自動車、貴金属などの動産、債権などです。
マイナスの財産とは、市民税固定資産税などの公租公課各種税金、銀行のローンや借入金、個人からの借金などです。

相続財産の分配の仕方

相続人がもともと1人である場合は、その方がすべての財産を受け取り、債務を返済することになるため、相続財産の分配(遺産分割)の問題は起きません。

相続人が複数人いる場合は、プラスの財産、マイナスの財産の分け方について次のような対応をします。

プラスの財産:法定相続か遺産分割協議

複数の相続人がプラスの財産を相続するときは、大きく次のどちらかを選択することになります。

法定相続分に基づいて相続する

民法では、相続する人の順位や取り分が決まっています。

法定相続分とは、法律で定められた相続人が潜在的に取得できる取り分の割合のことです。

例えば、亡くなったAの配偶者Bと子供C、Dがいるとき、相続人はB、C、Dの3名であり、配偶者のBは4分の2、CとDはそれぞれ4分の1ずつの法定相続分を有しています。

つまり、亡くなったAさんの財産について、Bは潜在的に4分の2(半分)受け取る権利があり、CとDは4分の1ずつ受け取る権利があるということになります。

この法定相続分に基づいてすべての財産を相続するときは、後述する遺産分割協議は必要ありません。

しかし、法定相続分に基づく相続は、「すべての財産をその法定相続分の割合で取得する」ことになるため、不動産、自動車、貴金属など物理的に分けることが出来ないものもすべて法定相続分の割合で持ち合う(共有する)ことになってしまう点に注意が必要です。

遺産分割協議をして相続する

先ほどの法定相続分によらずに、例えば「不動産についてはC、預貯金のうち〇〇銀行の分はB、残りはBCDで3分の1ずつ」のように、誰かが単独で財産を取得したり、法定相続分とは違う割合で相続したいときは、相続人全員が話し合いに合意した書面(遺産分割協議書)を作成します。

この遺産分割協議書を作成して初めて、プラスの相続財産を法定相続分以外の分け方で取得することができます。

借金、債務を相続人のうち1人だけが引き受ける方法

故人の債務、借金については、原則として相続人全員が法定相続分の割合で負担します。

法定相続分は先ほど説明したとおりで、例えば、亡くなったAの配偶者Bと子供C、Dがいるとき、相続人はB、C、Dの3名であり、配偶者のBは4分の2、CとDはそれぞれ4分の1ずつの法定相続分を有しています。

先ほど亡くなったAさんの財産について、配偶者Bは潜在的に4分の2(半分)受け取る権利があり、子Cと子Dは4分の1ずつ受け取る権利があるとお伝えしましたが、これは債務の負担についても同様で、配偶者Bは潜在的に債務を4分の2(半分)負担し、子Cと子Dは4分の1ずつ負担しなければなりません。
相続は権利の裏返しで義務も承継するのです。

もっとも、関係性の良好な相続人同士や、債務の金額が小さいときは、あまり問題になりません。

例えば、亡くなる直前の入院費、施設費、公共料金、電話代などは相続人のうち1人だけがすぐに弁済してしまい、後から清算している、もしくはそのまま他の相続人に請求しないことが多いかと思います。

厳密にはこれら少額の債務も法定相続分で相続人が按分負担となるのですが、債権者である病院、施設、電力会社、通信会社等は、支払がすぐになされるのであれば相続人のうち誰が支払おうが気にしておらず、相続人で調整を図るべき問題として関与しません。

債権者の同意がある

故人の債務、借金は、原則として相続人全員が法定相続分の割合で按分負担します。

遺産分割協議や話し合いで、特定の相続人だけがその債務を承継することに決めたとしても、債権者に対しては主張することができません。

ただし、債権者の承諾があるときは、特定の相続人だけが他の相続人の債務を引き受けたものとして扱うことができます。

相続人のうち1名だけが債務借金を引き継ぐことに債権者が承諾し、相続人が遺産分割協議でそのことを記載した場合は、遺産分割協議は「債務引受」を取り決めた書面ということになります。

相続放棄をする

相続放棄をした人はプラスの財産だけでなくマイナスの財産もすべて放棄し、相続人から外れることになります。
相続放棄は、相続が開始し自分が相続人になったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。

亡くなったAの配偶者B、子Cと子Dのうち、配偶者Bと子Cが相続放棄をした場合、法定相続人はDだけになります。

相続放棄の結果、相続人が1人となった場合は、その相続人のみがすべての借金債務を引き付けることになります。

相続放棄は相続人に認められた権利ですので、放棄する人が密かに財産を取得していたり処分しているなどの事情がないかぎり、債権者が異議を唱えることはできません。

銀行からの借り入れを相続人の1人だけが引き継いだとき

亡くなった方名義が債務者になっている抵当権が設定された借り入れについて、相続人のうち1人だけが引き継いだとき、抵当権に関する債務者相続の登記手続が必要です。

まとめ

借金や債務は法定相続人が法定相続分の割合で按分負担するのが外原則で、相続人の1人だけが債務を引き受けるためには、債権者の承諾が必要です。

債務の相続や遺産分割協議は司法書士に相談

債務の相続に関しては、一般的な相続手続きだけでなく、相続人同士の話し合い、債権者との連絡調整、遺産分割協議書への債務の正確な特定記載など、高度な知識が要求されます。司法書士は相続に強い法律の専門家ですので、様々な相続の相談に対応することができます。

また、銀行からの借り入れで不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権の債務者相続登記が必要となります。不動産登記の専門家は司法書士ですので、相続が起きた段階で早めに司法書士にご相談いただくことで、スムーズな相続手続きが可能です。

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