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成年後見人の業務内容と報酬は?後見業務は大変?

2024 10/04
成年後見人の業務内容と報酬は?後見業務は大変?

認知症など判断能力が低下した人の法定代理人として家庭裁判所から成年後見人(保佐人、補助人)に選任された人は、どのような業務(仕事)をするのか、また後見人の報酬相場がどの程度なのかについてご説明します。

目次

成年後見制度とは?

登記について勉強をする司法書士

成年後見制度とは、認知症、アルツハイマー、統合失調症、精神疾患など判断能力が低下した人の権利と財産を守るために利用される制度のことで、本人の法定代理人が裁判所から選任されます。

法定代理人は、本人の判断能力の程度に応じて成年後見人、保佐人、補助人の3つの類型に分類されます。

成年後見人は裁判所から選ばれますが、司法書士や弁護士などの法律の専門家だけでなく、親族がなることもあります。

成年後見人の業務内容とは

家庭裁判所から成年後見人(保佐人・補助人)に選ばれた人は、本人の代理人として、本人のために様々な業務を行いますが、業務内容は大きく分けると「生活、療養看護」と「財産管理」の2つに分類されます。

生活、療養看護

本人との面会

おおよそ1か月に1回程度、本人と面談するなどして心身の状態や生活を確認することが推奨されています。
特に在宅独居生活や寝たきりの生活だと本人の安否確認のため面談の必要性があります。

そのほか、本人が後見人の知らない間に怪しい業者と契約を締結させられたりしていないか、金品や物品の盗難などの被害にあっていないか、ゴミ屋敷になっていないかなどの確認の意味もあります。

本人の生活費や食費の手渡し

本人が在宅生活で預貯金の管理や引き出しが上手く行えない場合、本人に生活費を渡すことがあります。
本人がキャッシュカードを紛失する、暗証番号がわからない、銀行ATMまで行くことができない、浪費してしまうなどのケースでは、一定の間隔で本人に生活費を渡す必要があります。

介護福祉サービスの導入など

本人が在宅生活の場合、介護サービスや福祉サービス、訪問看護などの医療サービスを導入することがほとんどですが、その頻度、時間帯などについて、関係各者と連絡を取ったり、書類のやり取りが必要になります。

また、介護福祉サービスではありませんが、本人が自炊できない状態の場合、宅配弁当を契約することもあります。

家の修繕、物品の手配

居住する家の給湯器、水道などが故障した場合は取替、交換、新しい物品の購入手配が必要になります。
また、冷蔵庫、テレビ、洗濯機など生活家電が故障したり、布団、衣類の購入手配を行うこともあります。

病院、施設、不動産の契約

本人が入院したり、施設入所、短期入所サービスなどを行う場合、本人の代理人として契約内容を確認し、契約書に署名押印を行います。

不動産が賃貸の場合は解約と残置物撤去業者の手配、鍵の引き渡しなどを行い、持ち家の場合は管理を行います。本人が持ち家に戻る可能性が低い場合や経済的な余裕がない場合は、入院、施設費用捻出のために不動産を売却する契約を行うこともあります。

財産管理

預貯金口座、入出金の管理

本人名義の預貯金口座の管理を行います。使用していない口座は解約し、入出金口座を1つに統合するなど、なるべく一元管理できるように預貯金を管理することで、後見人にとっても負担軽減となり大切な業務です。

また、テレビがないのにNHK受信料を支払っている、読んでいないのに新聞購読をしているなど、本人にとって明らかに不要な支出は削減し、現在の本人に即した支出ができるよう資金確保も行います。

必要費の支払い、受け取り

固定資産税、市民税、介護保険料、光熱費、家賃、入院費、施設費など本人に必要な費用の支払いを代理するほか、年金、個人年金の受け取り、生存保険金の請求、株の配当金受け取りなど、本人の収入も管理します。

臨時給付金の申請、申告、各種行政申請

介護保険の負担限度額認定申請や介護保険認定の更新など、定期的に行政に対して申請しなければならない書類を提出したり、市区町村から住民税非課税世帯に給付される臨時給付金の申請、必要に応じて確定申告を行うこともあります。

取消権の行使

本人が明らかに不要で高額な契約を締結してしまったり、騙されて物品を購入してしまったような場合には、後見人として取消権を行使することがあります。

成年後見人は本人の行った行為について広範囲で取り消すことが出来ますが、保佐人や補助人が就任している場合は、ある程度本人が判断能力を有しているといえますので、取消権が行使できる範囲は限定されます。

成年後見人の業務で注意すべき点

成年後見人(保佐人、補助人)は、業務を行うにあたり次のような点に注意が必要です。

日用品の購入、日常生活で必要な行為は取り消せない

後見人、保佐人、補助人が本人のした行為を何でも取り消せるようになると、取引相手は本人と何も契約、取引をしなくなってしまいます。

本人にとっても、自由に生活する権利を奪われることにもなりますので、大前提として本人がした「日用品の購入、日常生活で必要な行為」については取り消すことができません。
具体的には、生活用品の購入、少額な金銭の支払いや引き出し、振込などです。

金銭の分別管理

当然ながら、後見人と本人は別人格です。
後見人が本人にとって唯一の相続人や親族だったとしても、金銭は別々に管理しなければなりません。

生活を共にしている場合は、日用品や食材の購入、公共料金の支出などを完全に分離することが難しいため、およそ本人が負担すべき割合を一定の根拠をもって算定した上で按分負担することになります。

親族が後見人になることもありますが、親族ではなくあくまで後見人の立場で業務を行うため、単なる親族間の曖昧な管理ではなく、金銭について厳格な分別管理が求められます。

裁判所への定期的な報告

後見人、保佐人、補助人は、家庭裁判所から選任された法定代理人です。
一定期間(通常は1年に1回)ごとに、本人の収支状況、生活状況、報告時点の財産を書面で報告する義務があります。

また、定期的な報告以外にも、本人の心身の状態や生活環境の変化、後見人では判断が難しい契約や行為について、あらかじめ裁判所に報告、相談することもあります。

裁判所への連絡ができていないと、追加で報告を求められたり、後見人の交替を命じられることもあります。後見人として、常に裁判所に報告、相談、連絡を欠かさないようにして、業務を適切に行っていることを客観的に示しましょう。

結婚、離婚、養子縁組、本人のための手術の同意などはできない

本人にしか出来ない行為、結婚や離婚、養子縁組などは後見人、保佐人、補助人が代理で行うことができません。また、本人の代わりに遺言書を作成する事もできません。

医療行為の同意についても後見人、保佐人、補助人が代理で同意することはできませんが、親族が後見人になっている場合は親族としての立場で同意することがあります。

後見人の義務とは

後見人、保佐人、補助人になった人は、本人の代理人として上で解説したような業務にあたることになりますが、これらの業務には「身上配慮義務」と「善管注意義務」が生じます。

身上配慮義務

身上配慮とは、本人の意思を尊重し、心身の状態や生活の状況に配慮することを指します。

民法858条は「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」 と規定しており、後見人は本人の意思を尊重しながら、本人がより良い生活を送れるように配慮する義務があります。

善管注意義務

善管注意義務とは「善良な管理者の注意義務」の略称であり、高度な注意をもって業務にあたる義務のことを指します。

善管注意義務と比較される義務として、自分の財産を管理する場合には「自己の財産におけるのと同一の義務」という言い方を用いり、注意義務の程度としては善管注意義務の方が重くなります。

不注意や過失によって損害が生じた場合、後見人は本人の損害を賠償する責任が生じます。

成年後見人の報酬

成年後見人の報酬は裁判所が決定し、本人の財産から受け取ります。

金額は裁判所が決めるので断言できませんが、おおよそ月額2~3万円となることが多いように思われます。

ただし、本人が経済的に困窮している場合や支払い能力がない場合は、後見人の報酬が認められないこともあります。

通常の成年後見人業務を超えるような特別な業務(不動産の処分や相続手続)をした場合には、裁判所にその旨を申し立てれば報酬が加算されることがあります。

親族が成年後見人になった場合、報酬を受け取れるのか

後見制度を利用する前から本人のために身上監護、財産管理をしていた親族が後見人となっている場合に、「親族だから」という理由で請求しないこともありますが、親族も後見人として業務を行っているので、報酬を請求する権利はあります。

後見人の業務は「仕事の対価」です。裁判所に請求し認められれば、親族でも報酬を受け取ることができます。

まとめ

成年後見人となった人は本人のために様々な業務を行う必要があり、裁判所に定期的に報告しないとならないため、成年後見人自身の負担がかなり大きい大変な仕事です。
本人に何かあったとき、時間場所問わず駆けつけないといけない場面もあります。

もし成年後見制度を利用したいけど、後見人になる人がいない場合は、当事務所にご相談ください。

当事務所は相続生前対策専門の事務所として、成年後見を数多く行っています。

ご相談フォームはこちら初回相談料無料。お気軽にご予約ください。

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