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家族信託と成年後見制度との違いとは?

2023 10/09
家族信託と成年後見制度との違いとは?

家族信託と遺言、成年後見は、それぞれ趣旨が似ているため、どう違いのかが分かりにくい制度です。

ここでは家族信託と成年後見制度との制度の違い、費用の比較、それぞれ家族信託を選択した方が良い人、成年後見制度を選択した方が良い人についてご説明します。

目次

家族信託と成年後見の共通点と違い

家族信託と成年後見制度の共通点

本人以外が本人のために財産を管理する

家族信託は、「財産を管理しつつ、活用したり承継させる」制度で、信託された財産は託された人(受託者)がある一定の裁量で活用(使用)しながら財産を管理します。

成年後見制度は、「判断能力が低下した本人のために、財産を管理する」制度であり、後見人となった人が本人のために財産を管理します。

家族信託と成年後見制度どちらも「ご本人以外の人が代わりに財産を管理する」という点で共通する制度です。

家族信託と成年後見制度の共通点、違い

家族信託と成年後見制度の共通点、違いをまとめました。

 家族信託成年後見
認知症の方の制度利用×
制度の趣旨本人以外の人が財産を管理活用する本人の財産を守る
自由な財産の活用処分×
新たな不動産の購入×
制度利用を中止すること×
本人が死亡した時継続できる終了(相続へ)

認知症の方が制度を利用できるか

家族信託は、財産を託す人と託される人の「契約」ですので、託す人が既に認知症などで判断能力が低下してしまっている場合は、制度を利用することができません。

成年後見制度は、そもそもが「判断能力が低下してしまった人の財産を守る」趣旨ですので、認知症になった方のために制度を利用できます。

制度の趣旨

家族信託は、財産を託すご本人の財産を本人以外の人が管理活用しながら、財産を承継させていく制度です。

例えば、ご本人が元気なうちは本人が在宅生活をし、施設や病院に入ったら受託者(託された人)が任意のタイミングで不動産を売却したり、別の方に住まわせる(貸す)ことができます。

成年後見制度は、「判断能力が低下してしまった本人の代わりとなって、本人のために財産を管理する」制度ですので、原則として本人以外の人のために財産を活用することは認められません。

他人のために財産を処分、使用できるか

家族信託は本人の財産を本人以外のために処分、使用できます。

たとえば財産を託した本人の希望により、定期的に本人の孫や甥姪などに一定の小遣いを渡したり、本人が住んでいた自宅を誰かに貸したりできます。

成年後見制度は例えば「本人の施設費用捻出のために家を売る」などといった必要性がない限り、本人以外のために財産を処分することは基本的に認められません。

また、居住していた不動産を処分するときは裁判所の許可が必要になります。

新たな不動産の購入

家族信託は、信託の目的の範囲で、信託財産である現金を利用し収益不動産を購入したり、借入をすることが可能です。

この際、裁判所の許可等は不要です。

成年後見制度は、本人のために必要がある場合で、裁判所の許可を得れば居住用の不動産を購入できることがありますが、収益不動産などを購入することは認められません。

途中で利用をやめること

家族信託は契約ですので、途中で当事者がやめたいと考えればやめることができます。

ただし、契約を途中で解除してしまうとご本人や財産を託された人に不利益が生じることがありますので、契約の条文で解除できる条件について制限されていることもあります。

成年後見は認知症などで判断能力が低下してしまった本人のために財産を守る制度ですので、基本的に本人の判断能力が回復するか、本人が死亡するまで終了しません。

本人が死亡した時の効力

家族信託は特殊な契約で、本人が死亡した後にも効力を継続することができます。

これにより、本人が亡くなった後の財産の承継者や管理者などを何代にもわたって指定することができます。

成年後見制度は、本人が死亡した瞬間に終了し、相続人がいる場合は相続の手続きに移行します。

家族信託と成年後見制度の費用比較

家族信託、成年後見制度利用にかかる実費概算と、当事務所が依頼を受けた場合の報酬です。

 家族信託成年後見
実費  
公正証書作成費用3~10万円
信託登記の免許税 (不動産がある場合)不動産の0.3~0.4%
裁判所申立て1~2万円
鑑定5~10万円
   
専門家報酬  
契約書作成44万円~16万5000円
登記 (不動産を信託する場合)11万円  
報酬・後見報酬(月額)約2~3万円 (裁判所が決定)

※契約によっては、家族信託の受託者に月額で報酬を支払う場合があります。

家族信託と成年後見どちらを利用すべきか

家族信託がおすすめな人

財産を管理活用しつつ、託された人が処分できるようにしたい

家族信託は、信託の目的に合致する範囲で、財産を自由に活用することができます。

ご本人の状況にあわせて、例えば不動産を賃貸したり、土地を駐車場として活用したり、最終的には売却することも自由にできます。

使用用途が変化する不動産や、収益物件がある場合は、家族信託を活用する方が本人の利益に繋がることがあります。

また、信託財産である現金を利用して、新たな収益物件を購入したり、借入をすることも可能です。

何代にもわたって財産を承継させたい

家族信託は、自分が亡くなった後の財産の帰属先を何代にもわたって指定することができます。

これは、遺言書では実現できない方法で、家族信託だけの特別な制度です。

例えば、自分が生きている間は不動産の収益を自分が受け取り、亡くなった後は子ども、その次は自分の弟に・・・といった、相続人とは関係なく連続した財産承継が可能です。

何代にもわたって財産を承継させたい対象がいる場合は、家族信託を活用するメリットがあります。

成年後見がおすすめな人

財産だけでなく、本人の身上監護もサポートしてほしい

家族信託は財産の連続した承継、財産の有効活用が主な目的ですが、後見制度はご本人その人のサポートを行う代理人です。

財産管理だけでなく、身上監護(入院先や施設の選定など)も任せたい場合は、後見制度を利用する方が良いでしょう。

認知症や精神障害がある

家族信託は契約ですので、ご本人の判断能力がある状態でないと利用できません。

認知症や精神疾患などにより判断能力がない方は、そもそも家族信託を利用することができないため、後見制度を活用することになります。

財産管理を厳格にしたい

後見制度は家族信託と違い、裁判所への定期的な収支報告が義務づけられています。

親族の1人が本人の為に財産管理するけれど、金銭の流れを明確にし、横領などが起こらないように厳格に管理したい場合は、成年後見制度を利用した方が良いでしょう。

相続・遺言専門の当事務所では、成年後見の申し立て手続き、家族信託契約のご相談を数多くいただいております。

制度利用についてご相談したい方、お悩みの方はぜひご相談ください。

ご相談フォームはこちらこちらのフォームよりお気軽にご予約ください。

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