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遺産分割調停とは?

2023 12/20
遺産分割調停とは?

遺言書のない相続手続きで相続人が複数いる場合は、相続人が話し合いで「誰が、どの財産を、どれだけ相続するか」を決めます。この話し合いを遺産分割協議と呼びます。

遺産分割協議がまとまらない場合、遺産分割調停という手続を経て相続手続きを行うことがあります。
遺産分割調停の手続き方法、注意点、審判との違いなどをわかりやすく解説します。

目次

遺産分割協議とは

誰かが亡くなり相続が発生すると、亡くなった方名義の不動産、預貯金、株式、自動車、債権など財産について相続手続きが必要になります。

相続は、遺言書がある場合は遺言書を用いて手続きを行っていきますが、亡くなった方が遺言書を作成していない場合は、相続人全員による話し合いで、財産の分け方について合意し、その合意内容に基づいて相続手続きを行います。
相続人全員による話し合いのことを「遺産分割協議」と呼びます。

遺産分割協議は法律上口頭でも成立しますが、実際に銀行預金の解約や不動産の相続登記の際には合意内容を書面にした遺産分割協議書に相続人全員が署名押印し印鑑証明書を添付して提出することで、相続手続きを進めていきます。

遺産分割調停とは

法定相続分で相続する場合を除いて、相続人全員による遺産分割協議がまとまらないと、実際に預貯金を解約したり不動産の相続登記手続を進めることができません。

相続人といえども決して良好な関係ばかりではなく、相続人同士の主張が異なっていたり、感情的になって話し合いができないことがあり、相続手続きがいつまでも解決しないこともありえます。

そこで、裁判所の調停委員が間に入って相続人から話を聞き、遺産分割協議を進めていく方法があります。これを遺産分割調停といいます。

遺産分割調停の申立方法

遺産分割調停は亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申し立てします。
法定相続人が他の法定相続人を相手方として申し立てを行います。

遺産分割調停後の流れ

(1)裁判所から法定相続人への通知

遺産分割調停が申し立てられると、裁判所から法定相続人全員に対して調停期日の連絡が入ります。

(2)調停期日

法定相続人が調停期日に家庭裁判所に集まり、調停委員を通じて遺産分割協議を進めていきます。法定相続人が同じ部屋で一堂に会するわけではなく、調停委員のいる部屋に交互に呼び出され、話を進めていくことになります。

(3)調停の終了

遺産分割調停が成立、または不調になると、遺産分割調停が終了します。

調停が成立した場合は調停調書が作成され、その調停調書を遺産分割協議書の代わりとして相続手続きに使用します。調停が不調に終わったときは自動的に「遺産分割の審判」に移行します。

遺産分割調停の注意点

裁判ではない

遺産分割調停は裁判のように白黒はっきりさせることが目的ではなく、あくまで相続人同士の話し合いが円滑に進むように調停委員が間を取り持ってくれるに過ぎません。
相続人はそれぞれの主張、考え方を調停委員に話し、調停が成立するように妥協点を探っていくことになります。

相続人の出頭は強制ではない

遺産分割調停の申し立てがされると法定相続人に対して裁判所から期日の通知がなされますが、法定相続人は裁判所の呼び出しに応じる義務はありません。
また、応じないからといって出頭しない相続人に不利な調停が勝手に成立することもありません。

調停が成立しない場合は審判に移行

家庭裁判所に申し立てをしても相続人同士の話し合いが成立しない、または相続人が出頭せず話し合いに応じない場合は、遺産分割調停が不調となり、自動的に遺産分割の審判に移行します。

遺産分割審判は裁判の判決と似た性質を持っており、各相続人が証拠書類を提出して自己の主張を展開する点で遺産分割調停と異なります。
遺産分割審判は、最終的に裁判所が各相続人の主張を聞いたうえで相続方法について決定をします。

遺産分割協議は必須なのか?

相続手続きにおいて遺産分割協議が必須かというと、必須ではありません。
遺産分割協議がいらない場合は以下のようなケースです。

遺言書がある

遺言書が存在する場合は遺言書に従って相続手続きを行います。

遺言書は「〇〇不動産をAに相続させる」「預貯金は法定相続人に法定相続分の割合で相続させる」といった、遺産の取得方法について指定がなされており、原則としてその内容に書かれたとおりに相続を進めていきますので、相続人が遺産分割協議で財産の取得方法について合意する必要がありません。

法定相続分で相続する

法定相続人は法律であらかじめ定められた法定相続分が存在し、法定相続分どおりに相続する場合は遺産分割協議を行わなくても相続手続きが行えます。

ただし、例えば相続人がABCの3名であるとき、「預貯金はAに」「不動産はBとCが半分ずつ」といった分割方法にする場合は、例えば分割した財産の金銭的価値が平等であったとしても法定相続分どおりの分割とはいわず、遺産分割協議書が必要になります。

法定相続分とは、すべての財産それぞれの相続分割合で共有取得することを意味しますので、物理的に分配可能な預貯金、株式だけでなく、物理的な分割が難しい不動産、自動車なども共有して取得することになります。

法定相続人が1名のみ

遺産分割協議とは、相続人がどの財産を取得するかについての話し合いですので、相続人が元々1名しかいない場合は遺産分割協議をすることはありません。

遺産分割がまとまらない原因

遺産分割協議は、主に次のような背景がある場合まとまりにくくなります。

(1)特別受益、生前贈与がある

亡くなった方が特定の子供に対してだけ生前に多額の贈与をしている、生活費や小遣いを渡しているなど経済的援助を行っているケースは、相続人同士で金銭的な不平等が生じており、援助を受けていない相続人が贈与などを受けている相続人のことを良く思っていないことがあります。

(2)身上監護、介護など故人への貢献度に差がある

故人が亡くなる前に、特定の相続人が長期間にわたり介護を行っているケースがあります。

よくあるのは、母親と同居する長男夫婦が母親の面倒を見ており、次男や他の子供たちはまったく面倒を見ていないケースです。
このような場合、長男夫婦は自分だけが親の面倒を見ているのだから、親の相続を全部、少なくとも多めに受け取る権利があると主張する可能性があります。

(3)長期間疎遠である

生前のわだかまりや価値観の相違から相続人同士が疎遠になり、親が亡くなったときに財産を巡って話し合いをする状況では、相続人同士がもめてしまうことが良くあります。

親が相続人である子供同士の懸け橋となって何とか関係を保てていたものの、親の死亡をきっかけに仲が悪くなることも良くあります。

(4)行方不明

相続人の行方が分からず、遺産分割協議をしたくても出来ないことがあります。

相続人調査の段階で相続人の住民票上の住所はつきとめることが出来ますが、その住所に相続人が居住していない場合は、居場所を突き止めることが難しくなります。
相続人が行方不明の場合は不在者財産管理人制度などを用いて遺産分割協議を行います。

(5)未成年者、認知症

遺産分割協議は相続人同士による話し合いで、財産を分割する方法を決定します。

相続人にとっては財産を取得、または取得しないことの重要な法律行為であり、遺産分割協議を行うためには成人しており、かつ一定の判断能力があることが前提です。

未成年者については一律で遺産分割協議を単独で行うことができないと規定されていますので、遺産分割協議について代理人を選任し、特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議を行います。また、認知症などで判断能力が低下した人に関しても、知らない間に不利な協議内容に誘導されたり、よくわからずに権利を手放してしまう可能性があるため、成年後見制度を利用したうえで成年後見人、保佐人、補助人など法定代理人が遺産分割協議を行うことになります。

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