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相続分の譲渡とは?相続放棄との違いや注意点

2023 12/09
相続分の譲渡とは?相続放棄との違いや注意点

相続には「相続分の譲渡」という手続が存在します。
相続分を譲渡すると、譲渡を受けた方が法定相続人と同じような権利を持つことになります。

相続分の譲渡は上手に活用することでメリットがありますが、税金面や手続面、相続人同士のトラブルの観点からはデメリットがあります。

相続分の譲渡に関する正しい知識を身につけられるよう、わかりやすく解説します。

目次

そもそも相続分とは

相続分とは、法定相続人が有している相続に関する潜在的な持分(取り分)のことです。

法定相続分は民法に規定されており、亡くなった方の配偶者、子供、親、兄弟姉妹などに認められています。

相続分の譲渡とは

相続分の譲渡とは、相続人が有する相続に関する潜在的な持分を誰かに譲渡する行為を指します。
相続分の譲渡は譲渡する相続人と譲渡を受ける人の契約によって成立します。

相続分の譲渡は口頭でも成立しますが、相続手続きに関する重要な契約ですので、まず間違いなく書面を作成し、署名及び実印で押印して印鑑証明書を添付することになります。

相続分の譲渡の相手

相続分の譲渡の相手方に特に制限がありませんので、他の相続人でも全く見ず知らずの第三者に対しても譲渡できます。

相続分の譲渡は、一般的には他の相続人や、法定相続人ではない自分の配偶者や、自分の親が亡くなった場合の子(亡くなった方からみて孫)のために譲渡するケースが多いかと思います。

相続分の譲渡の期限

相続分の譲渡は、相続放棄の3か月や相続税申告の10か月のような期限がありませんので、相続人がいつでも自由に譲渡することができます。

ただし、自分の潜在的な相続する権利を譲渡するという法定相続分譲渡の性質上、相続財産が確定する遺産分割協議の前に譲渡しなければなりません。

遺産分割協議とは、法定相続人全員が話し合いで「誰がどの財産をどれだけ相続するか」を決定することを指します。

遺産分割協議が成立すると、各相続人の具体的な相続財産が確定するため、もはや潜在的な相続する権利を譲渡するという法定相続分譲渡はできなくなります。

相続分の譲渡の方法

相続分の譲渡は口頭でも成立しますが、金融機関や不動産の相続手続きのために「相続分譲渡証明書」を作成し、譲渡人である法定相続人と譲受人が署名押印します。押印は実印で行い、さらに印鑑証明書を添付することで、譲渡人及び譲受人がともに真正な意思によって確実に譲渡したことを証明し、後日の紛争防止や手続きのために活用します。

相続分の譲渡は一部を譲渡することも、全部を譲渡することもできます。

相続分譲渡の効果

自分の相続分を全部譲渡した相続人は遺産分割協議に参加できなくなります。
その結果、相続人同士の話し合いから外れて、不用な争いや手続きに関与せずにすみます。

相続分を譲渡された人ができること

遺産分割協議への参加

相続分は相続人以外の第三者に対しても譲渡することができます。
譲渡を受けた方は相続分の譲受人として、遺産分割協議に参加することになります。

相続財産を取得できる

相続分の譲渡を受けた譲受人は、その相続分の割合に応じて、相続財産を取得することができます。

相続分とは全ての財産に対する相続割合を指しますので、不動産、預金、株式などがある場合はそれぞれの財産を相続分割合に応じて取得します。

相続放棄との違い

相続分譲渡と相続放棄の違いは、簡単にいうと「確定的に相続人ではなくなるか否か」です。

相続分譲渡は、自らが潜在的に有していた財産を相続する権利を第三者に譲り渡す行為であって、相続人であることに変わりはありません。

しかし、相続放棄は家庭裁判所に3か月以内に申述をしないといけない期間制限があるものの、放棄が受理されると放棄をした人は法律上相続人ではなくなります。

相続分譲渡のメリット

遺産分割協議から外れることができる

相続分譲渡をすると、その後の遺産分割協議に参加する必要がなくなるため、多くない財産を分け合うために煩雑な手続きに参加したり、話し合いのために時間を設ける必要がなくなります。

相続人同士のトラブルから抜けることができる

相続で起こる紛争は、遺産分割がまとまらない、つまり相続人同士の話し合いが成立せずにトラブルになることが圧倒的に多数を占めており、兄弟間、親子間での対立に巻き込まれて疲弊してしまうことも珍しくありません。
相続分譲渡をすることで相続人同士の争いから強制的に離脱できるので、精神的な負担が減ります。

相続手続きをシンプルにできる

相続分を他の相続人に譲渡することで登場人物が減ります。

相続手続きでは、相続人の数が多ければ多いほど煩雑になり、時間や費用がかかりますが、相続分の譲渡をすることで預貯金の解約、不動産登記などの相続手続きを簡潔にすることができます。

本来相続人ではない人に財産を引き継がせることができる

相続でよくあるご相談が、「祖父母から孫に直接名義を移転させたい」といった、本来相続人ではない人への財産の移転の相談です。

相続分譲渡は相続人以外への第三者に対してもできるため、孫や甥姪、お世話になった人など、第三者に財産を承継させることができます。

相続分の譲渡に関する注意点、デメリット

債務の弁済義務は残る

相続分の譲渡をしても、相続分譲渡をした相続人は被相続人の債務を弁済する義務を負います。相続債務は相続放棄を除き、債権者の同意がない限り遺産分割協議や相続分譲渡をしても債権者から逃れることができません。

他の相続人からの取り戻し請求

相続分を第三者に譲渡すると、第三者が遺産分割協議やその後の相続手続きに関与することになります。相続分譲渡をした相続人は無関係になるかもしれませんが、他の相続人からすると第三者が相続人と同じ立場で権利を主張するため、紛争になる可能性が非常に高くなります。

この事態を避けるために、相続分譲渡が第三者になされたことを知った相続人は、費用を支払って強制的に権利を取り戻すことができます。

法定相続分に相当する金銭は支払う必要がありますが、第三者が遺産分割協議に参加したり、悪意を持って相続手続きを遅延させるなどといったリスクを回避することができます。
相続分譲渡をした相続人からすると、相続分を譲渡した第三者に不動産などの財産を承継させることができない可能性があります。

税金がかかる

相続分の譲渡は、相続分の売買と相続分の贈与の総称です。
つまり、相続分を譲るには、相手に売るか無償で渡すことで移転するになります。

相手に無償で贈与した場合、受け取った相手に贈与税がかかります。
相続分を有償で売り渡した場合は、譲り渡した相続人が譲渡所得税を支払う可能性があります。

相続分の譲渡は税金がかかる可能性があるため、必ず税理士に相談しながら進めていくことが推奨されます。

相続手続きを司法書士に相談するメリット

書類集めから相続手続まですべて行える

相続手続きは、相続人調査(戸籍集め)、財産調査(不動産や預金の調査)、不動産の相続登記、預貯金の解約など多岐にわたる手続きが必要です。

相続に特化した法律の専門家である司法書士であれば、相続に必要な書類集めから実際の相続手続まですべてを行うことができます。

相続分譲渡証明書、遺産分割協議を作成できる

相続には相続分譲渡証明書や遺産分割協議書など、専門性の高い書類を作成する場面が多々あります。これらの書類は法律の知識がないと作成することが難しく、作成しても不備があり手続きが出来ないことがあります。

司法書士にご相談いただければ、これらの書類を法的に問題のないように作成することができます。

不動産の相続登記を行えるため、費用が安く、時間が早い

亡くなった方名義の不動産がある場合は相続登記、つまり不動産の名義変更が必要となります。
相続登記を行えるのは司法書士か弁護士のみであり、行政書士や税理士が登記をすることは違法です。

さらに、弁護士は訴訟などには精通していますが、実務レベルで登記を扱える事務所は多くありません。
司法書士は不動産の相続登記を行える専門家ですので、他の専門家に依頼するよりも総合的な費用が安くなり、かつ窓口が1つで済むため時間も早くなります。

裁判所の手続きを行える

相続人の中に未成年者がいる、相続放棄を希望している人がいる、認知症などで判断能力が低下している人がいる場合、裁判所の手続きが必要になることがあります。

また、遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所に調停申し立てをすることもありますが、裁判所の手続きは司法書士か弁護士にしかできません。

司法書士であれば裁判所手続以後の不動産登記や預貯金解約まで行い、弁護士よりも安価になることが多いため、ご依頼いただく方の経済的、身体的、精神的負担が減ります。

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