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あなたの遺産を守る、特殊な相続ガイド

2023 10/11
あなたの遺産を守る、特殊な相続ガイド

相続ガイドでは、特定の状況に関する概要をご紹介します。
未成年の相続人や遠隔地の相続手続き、国際相続など、様々なケースに対応する方法を解説しています。それでは早速見てみましょう。

目次

ケース1:相続人が未成年の場合

相続人が未成年の場合

相続人が未成年の場合、遺産の分割に際して特別代理人などの手続きが必要です。

法定代理人の役割と責任

未成年者は、自分自身で法律行為をする能力が備わっていないとみなされるので、法律行為をする際は法定代理人が必要です。

日常的な法律行為は親権者が法定代理人になるのですが、相続に関しては事情が変わります。

相続が起きて親権者と子がともに相続人になることがあります。典型的な例は夫婦の夫が死亡し、配偶者とその子ども(未成年者)が相続人になるケースです。

このとき、相続人同士が話し合い(遺産分割協議)をしなければならないのですが、親権者は自分自身の相続人としての立場と、子どもの代理人としての立場で形式的に利害が対立することになります。

このように、未成年者の親は二重の立場から利益相反になるため、親が子の代理人として遺産分割協議をすることが出来ません。

母が子どもの法定代理人として認められることがあれば、母は子どもの意思に関係なく遺産を取得出来てしまいます。

この問題を解決するために、子どもの代理人となる人(特別代理人)を選任する必要があります。

特別代理人は子どもに代わり、親との間で遺産分割協議をすることになります。
特別代理人は、司法書士など専門知識を持つ専門家に依頼するのが良いでしょう。

特別代理人の選定方法

申立の方法
特別代理人を選任するには、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所で申立てをします。
申立人となれるのは、親権者か利害関係人(親権者と未成年者以外の相続人など)です。

必要書類は、以下の通りです。

  • 特別代理人選任申立書
  • 未成年者の戸籍謄本
  • 親権者(または未成年後見人)の戸籍謄本
  • 特別代理人候補者の住民票か戸籍の附票
  • 遺産分割協議書案
  • 利害関係を示す資料(利害関係人が申し立てる場合)


これらを作成して提出すれば、裁判所で審判をして特別代理人を選任してもらえます。
相続人の中に未成年者がいると、手続きが特殊になります。早めに専門家に相談されることをおすすめします。

ケース2: 遠隔地の相続手続き

遠隔地の相続手続き

まずは一般的に必要な書類と手続の順番について見ていきましょう。

相続人調査、財産調査

まずは相続人調査、財産調査を行います。
具体的には、次のような書類を取得します。

亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍
亡くなった方の死亡時の住所を証明する住民票または戸籍附票
相続人全員の現在の戸籍
相続人全員の住所を証明する住民票または戸籍附票
預貯金の残高証明書や入出金明細
不動産の名寄せ台帳、評価証明書

相続人による話し合い(遺産分割協議)

預貯金や土地建物の名義変更に関する基礎知識として、被相続人が亡くなり相続人全員の遺産分割協議が成立するまでの間、亡くなった人の預貯金や不動産は相続人全員の共有財産になります。

預貯金の場合、一部の相続人が勝手に亡くなった人の口座からお金を引き出したり使用しないようにするために、金融機関は預貯金口座の名義人が亡くなったことを知ると、その口座を凍結して取引を停止させます。

凍結された預貯金を契約するためには、相続人の話し合いが成立したことを証明する遺産分割協議書を提出するか、相続人全員がそれぞれ法定相続分で相続するものとして手続をすることになります。

相続登記、預貯金の解約

遺産分割協議が成立し、遺産分割協議書を作成してはじめて相続登記や預貯金の解約ができるようになります。

遠隔地での遺産の管理と評価

遠隔地に不動産や預貯金口座がある場合、どういった点に注意がいるかみていきます。

遠隔地に不動産がある

遠隔地に不動産があるケースでは、遠隔地の不動産を管轄する法務局に対しても登記申請をする必要があります。

また、相続した不動産を売却するケースや、相続土地国庫帰属寶により土地を国に返還するケースでは、契約や不動産詳細調査のために遠隔地の不動産まで行かなければならないこともあり得ます。

さらに、相続税が発生する場合は、不動産の相続税評価をするために税理士が現地に赴くこともあります。

他には、遠隔地の不動産内に動産(遺品など)が残っている場合、その遺品整理業者に依頼することもありますが、その際鍵の引き渡しや内覧のために現地で立ち会う必要があります。

遠隔地に預貯金がある

遠隔地に預貯金がある場合で厄介なのは、地元の信用金庫や信用組合のケースです。

支店を各地に展開している金融機関であれば相続手続を郵送で行ってくれるため、遠隔地に預貯金があるかどうかはあまり問題になりません。

しかし地元の信用金庫や信用組合の場合、郵送でのやり取りを嫌うこともありますし、そもそも対応していないこともあります。

また、地元の信用金庫や信用組合から金銭を借りている場合、その契約の変更手続や書類受け取りのために窓口に来店してくれ、と言われることもあります。

ケース3: 国際相続手続き

国際相続手続き

国際法と各国の相続法の違い

国際相続(こくさいそうぞく)とは、相続財産や被相続人が国をまたぐ相続のことを指します。

外国人が日本で亡くなった、被相続人が外国に暮らしていた、相続人が外国に暮らしている、相続財産が外国にあるなど、国際的な要素がかかわる相続で、渉外相続とも呼ばれます。

相続手続きは国際的な要素を含む場合、国際法と各国の相続法の違いを理解することが重要です。

異なる国の法律の違いは、相続財産の評価と分割、税務問題と申告、および司法書士などの法律家との連携に影響を与える可能性があります。
そのため、円滑な手続きを進めるためには、以下のポイントを考慮する必要があります。

1.適用される法律の確認

国際相続、渉外相続については次のように大別することができます。

(1)亡くなった人が日本国籍/外国籍
(2)相続財産が日本にある/外国にある
(3)相続人が日本国籍(日本にいる)/外国籍(外国にいる)

日本では、法の適用に関する通則法(通則法)第36条という法律により、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定されていますので、被相続人の国籍の法律がまず適用されます。

つまり(1)日本国籍/外国籍のいずれかが、適用される法律を考えるうえでまず重要になります。

例えば、被相続人が日本国籍の場合、海外に住んでいるかに関わらず、その相続については日本の法律が適用され、相続人の範囲や相続財産の範囲については、日本の法律によって決まることになります。

逆に、被相続人が外国籍の場合、適用されるのは被相続人の本国法となります。

2.反致の確認

亡くなった方が外国籍の場合、日本法ではなく本国法(その方の国の法律)が適用されます。

しかし、例えば、亡くなった方の法律を確認すると「不動産については、不動産所在地の法律に従う。」と規定されているケースがあります。

そして、日本では「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。(以下割愛)」という法律があります。これを反致といいます。

この結果、遺産のうち日本にある不動産に関しては、日本の法律を適用することとなります。

ややこしいことに、不動産については不動産所在地の法律に従うものの、預金口座などの手続は本国法によることがありますので、財産によって適用される国の法律が変わることがあります。

3.法律家との連携

いくつもの国の法律が適用される相続では、各国で法律の専門家と連携することが必須です。

現地の弁護士や税理士などの専門家と協力し、正確な情報を得ることで、進行中の手続きにおける法的な問題や疑問点に対応することができます。

外国での財産の評価と分割

被相続人が海外に住んでいた場合

海外に住んでいた場合でも、被相続人の国籍が日本であれば、基本的には日本の法律に従って相続手続きが進むことになります。

亡くなってから速やかに、滞在国の在外公館や本籍地の役所に対し、死亡届や現地の死亡診断書及び和訳文など、必要書類を提出する必要があります。
具体的な手続きについては、在外公館や本籍地の役所に確認するようにしましょう。

相続人が海外に住んでいる場合

相続人が海外に住んでいる場合でも、亡くなった方が日本人であれば、相続手続きは日本の法律に従って行われます。遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。

通常、遺産分割協議書を作成する際には実印や印鑑証明書を使用します。
一時的に海外にいるだけで、日本に住民票がある場合は大きな問題にはなりにくいですが、海外に住民票を移している場合は印鑑証明書を取得できません。

その代わりに、署名が本人のものであることを証明してもらい、その証明書を提出する必要があります。
一般的には、在外公館で遺産分割協議書に署名し、証明してもらいます。

財産が海外にある場合には、注意が必要です。
海外の不動産は、日本の「路線価」のような指標が存在しないため、評価額の算出は非常に難しくなります。市場価格や現地の不動産業者の査定などから評価額を算出します。

また、海外に遺産がある場合は、「プロベート」という手続きが必要となることにも注意が必要です。
アメリカ、イギリス、シンガポールなどの英米法系の国々では、相続財産の管理清算手続きが裁判所の監督下で行われ、残りが相続人に引き継がれる仕組みになっており、相続の手続自体が根本的に日本と異なります。プロベート手続きは、かなりの期間がかかる可能性があります。

国際相続手続きにおいては、国際法と各国の相続法の違い、外国での財産の評価と分割、国際的な税務問題、および外国の法律家との連携が重要です。これらのポイントを考慮し、適切な専門家と連携しながら進めることで、円滑な国際相続手続きを行うことができます。

まとめ

特別な事情を抱える方々のために、具体的な手続きや解決策を見てきました。相続は複雑な問題であり、一人で解決するのは困難なこともあります。どのようなご質問やご相談でもお気軽にご連絡ください。

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