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遺言書や遺産分割協議書に書いていない財産があるとき、どうなる?

2023 11/27
遺言書や遺産分割協議書に書いていない財産があるとき、どうなる?

遺言書や遺産分割協議書に書いていない財産が後から見つかった場合や、書き漏らしてしまった財産がある場合、遺言書や遺産分割協議書が全体として無効になることはありません。

しかし、書いていない財産は別途個別のケースに応じて対応をすることになります。

遺言書、遺産分割協議書に書いていない財産があるときの法的効果や対応について解説します。

目次

遺言書に書いていない財産はどうなるのか

遺言書に記載のない財産がある場合や後から見つかった場合、その財産については遺言書の指定を受けていないこと(遺言書がない状態と同じ)になるため、相続人による遺産分割協議などを経て相続手続きをすることになります。

遺言書に包括的な記載がある場合

「本遺言書に記載のない一切の財産」「~を含む、遺言者の有するすべての財産」「全財産」など、遺言書の中で財産を包括的に指定している場合は、遺言書に書かれていない財産も遺言書によって手続きができます。

遺言書作成時はあったが、今は存在しない財産

遺言書を作成した当時は保有していた財産で、遺言者が亡くなるときまでに遺言者が処分等をして保有しなくなった財産は、その部分が無効になるだけで、遺言書自体は特に問題になりません。

典型的な例は、遺言者が遺言書作成時に遺言書に書いた定期預金や銀行の預金そのものを解約したケースです。

そのほか、遺言者が遺言書に財産を記載した後に自ら違う方法で処分することも考えられます。

例えば、遺言書で不動産をAに相続させると記載しているものの、遺言作成後に遺言者がBに不動産を贈与した場合、遺言書に記載しているからといってBへの贈与が無効になるわけではなく、反対に遺言書の「Aへの不動産を相続させる部分」だけが後発的に取り消された状態になります。

遺言者が遺言書を作成した時点では存在していたけれど、その後処分等で存在していない財産が書いていても、その部分が無効となるだけで、遺言書は無効となりません。

遺言書作成時にはなかったが、相続開始時までに取得した財産

遺言書の作成時点では存在していなかったけれど、遺言書作成後に追加で取得した財産がある場合、遺言書に書いていない財産となってしまいます。

例えば、遺言書作成後に株式・投資信託・不動産を購入した場合や、新しい銀行口座を開設した場合の預金口座、親・祖父母・兄弟姉妹から相続した財産などがこれに当たります。

遺言書を作成した後に取得したり、遺言書作成時点で書き忘れてしまったために遺言書に書かれていない財産があるとき、原則は遺言書がない状態として相続人がその財産について遺産分割協議をすることになります。

ただし、先ほど述べたように「一切の財産」「すべての財産」といった包括的な記載をしていたり、「〇〇銀行に預託する預金、債権等のすべて」「〇〇証券会社に預託する金融資産すべて」といった特定をしていれば、万が一遺言書作成後に財産を取得しても網羅できているため、遺言書に従って相続手続きが可能です。

遺言書に記載ミス等をしている財産がある

遺言書に記載している財産と、実際に保有している財産に齟齬がある場合、その齟齬が明らかな書き間違いなのか、特定が不十分なのか、遺言書作成時から変わった事情によるものなのか等で結論が変わるため注意が必要です。例えば、次のようなケースです。

不動産を地番と家屋番号ではなく住所で記載している

不動産は住所ではなく、地番と家屋番号で特定しなければなりません。住所で特定している場合、地番と住所が同一でないかぎり「不動産の特定がされていない」ことになり、その部分について遺言書が無効になってしまいます。

証券会社や銀行名、口座番号を間違えている

証券会社や銀行名を書き間違えており、その誤記が一般的に明確である場合(三菱東京UFJ銀行を東京三菱UFJ銀行など)は、有効となる可能性があります。ただし、口座番号などは特定に重要な事項ですので、書き間違えている場合は特定ができていないものと考えられる可能性が高いでしょう。
具体的には、各金融機関に相談して対応を考えることになり、相続で争いがある場合は遺言に関する訴えで決着することになるでしょう。

株式の数や預貯金額が相続開始時と違う

株式は株式併合、株式分割といって保有株式数が増減することがあります。この場合、遺言書作成時点から保有株式数が併合や分割で変更されたことが明らかですので、変更後の株式数で手続ができます。
しかし、株式併合や分割がないにも関わらず株式数の記載を間違えている場合や、預貯金額が実際の相続時の残高と異なる場合、遺言書の方が記載が少なければ、余った部分は包括的な記載がない限り相続人の遺産分割協議によって手続きを行い、遺言書の方が記載が多ければ、足りない部分は遺言書の書き方に応じて他の財産から賄うか、貰えないことになります。

銀行名が合併する前の旧銀行名で記載されている
住所が前の住所で記載されている

遺言書を作成した当時の記載から、現在の住所や銀行名などが変わっていても、当時の記載方法で誤っていないのであれば無効にならず有効に手続きができます。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、「どの遺産を、誰が、どの程度相続するか」を相続人全員が話し合って合意した書面のことで、相続人の話し合いのことを遺産分割協議と呼びます。

遺産分割協議書には、合意に至った日付のほか、相続人の住所氏名、被相続人の住所氏名生年月日と死亡年月日、各相続人が取得する財産を特定し、相続人全員が署名のうえ実印で押印します。さらに、遺産分割協議書には相続人全員の印鑑証明書の原本を添付して初めて不動産や金融機関の相続手続に使用することができます。

遺産分割協議書に書いていない財産はどうなるのか

遺産分割協議自体は法律上書面で作成が義務付けられているわけではないので口頭でも成立しますが、金融機関や証券会社、法務局での相続手続きには書面で作成した遺産分割協議書が必須です。
仮に遺産分割協議書に記載のない財産が見つかった場合、その財産について新たに遺産分割協議書を作成することになります。

既にした遺産分割協議が無効になるわけではなく、見つかった財産についてのみ遺産分割協議をします。

遺産分割協議書に包括的な記載がある場合

遺言書と同様に、遺産分割協議書の中に「本遺言書に記載のない一切の財産」「〇〇を除く一切の財産」など包括的な記載がある場合は、具体的に財産が特定されていなかったり、後から見つかった財産もその協議書で手続することができます。

法定相続をする場合は遺産分割協議書を作成しなくても良い

遺産分割協議書を作成するのは、各相続人の取得財産が違う、取得割合が違うなど、法定相続分によらずに相続するケースです。

法定相続分とは、法定相続人に認められた潜在的な相続する割合のことで、相続人の属性や順位、数によって割合が民法に定められています。

子供兄弟姉妹
配偶者あり配偶者2分の1
子供2分の1
配偶者3分の2
親3分の1
配偶者4分の3
兄弟姉妹4分の1
配偶者なし子供100%親100%兄弟姉妹100%

亡くなった方の子供、親、兄弟姉妹はそれぞれ優先順位があり、子供>親>兄弟姉妹の順に相続権があります。つまり、兄弟姉妹が相続人になるのは、亡くなった方に子供がおらず、親も亡くなっているときのみです。

配偶者がいる場合は配偶者が常に相続人となり、子供・親・兄弟姉妹のいずれかとセットで相続人になります。

遺産分割協議書に書いていない財産を上の表にある法定相続分どおりに財産を取得する場合は、新たに遺産分割協議をすることなく相続手続きができます。

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