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もめやすい遺言書の内容や特徴

2023 12/01
もめやすい遺言書の内容や特徴

遺言書は亡くなった方の最期の法的な意思表示であり、有効な遺言書があれば相続手続きは遺言書に従って行います。しかし、遺言書は内容によっては相続人同士がもめてしまうきっかけになることがありますので、書き方には注意が必要です。

相続専門の司法書士が、特にもめやすい遺言書の内容や特徴を解説します。

目次

遺言書の形式

自筆証書遺言書

全文、日付、氏名を自署して作成する遺言書です。ただし財産目録は手書きでなくても有効です。
もっとも簡単に作成でき、費用がほぼかかないことがメリットですが、法律上の要件不備で無効になるリスク、紛失改ざんのリスク、遺言者の死亡後に家庭裁判所で手続をしないといけないデメリットがあります。

公正証書遺言書

公証役場で公証人と証人立会のもと作成する遺言書です。
公証人手数料がかかりますが、法律上の要件不備で無効になることがなく、遺言者の死亡後に裁判所で手続をすることなく直ちに相続手続ができるメリットがあります。

もめやすい遺言書の特徴

遺言書は法律上の要件さえ具備していれば有効ですので、内容は遺言者が自由に作文できます。
反面、法律の専門家に相談せずに作成した遺言書は、何かしらの不備などがあり、相続人同士のトラブルになってしまうことがあります。

もめやすい遺言書の特徴や内容を具体的に紹介していきます。

自筆証書遺言書

遺言書の内容ではなく形式的な観点からみると、公正証書遺言書よりも自筆証書遺言書の方がトラブルになってもめてしまう可能性が高いと言えます。

自筆証書遺言書がトラブルになってしまうのは以下のようなケースです。

文字が判別できない

自筆証書遺言書は財産目録を除く全文を自署することになりますが、高齢の方が自署される文字が達筆、あるいは続け字などで判別できないことがあります。

そのほか、インクが滲んでいる、年数の経過とともに文字が消えてしまっていることがあります。

当事務所が実際にお引き受けしたケースでは、
財産の特定や相続人など重要な箇所の文字が判別できないケース
消えるペンで書いていたために文字がほとんど消えてしまっていたケース
がありました。これらは無効となり、遺言書によらず相続人全員の協力が必要となってしまいました。

家庭裁判所の検認がいる

自筆証書遺言書は、遺言者の死亡後に家庭裁判所で検認手続きをすることになります。この検認手続きは基本的に申立人が費用を負担して行うため、相続人のうち誰が行うかでトラブルになることがあります。

また、家庭裁判所の検認手続きのために法定相続人を調査して相続人全員に裁判所から通知をする必要があります。

遺言書は特定の相続人に知らせたくない、あるいは財産を渡したくないという消極的な感情から作成することも多いのですが、相続人全員に通知をすることまでは知らず、財産をももらえない相続人との間でもめてしまうことがあります。

紛失改ざんの恐れがある

自筆証書遺言書は法務局保管の形式で作成しないかぎり、自宅などで保管することになります。

遺言書の存在を知らされていた相続人が、自らに不利な遺言書を破棄してしまう危険性もありますし、改ざんするリスクもあります。

また、相続人同士が「本当は遺言書があったのに捨てたのではないか」「遺言書があると聞かされていたのに見つからないのは隠したからだ」といったことでトラブルに発展することもあります。

曖昧な表現がある

自筆証書遺言書でよくあるのが「すべて任せます」「〇〇に預けます」といった表現です。

一般的に遺言書で財産を承継させる場合は「相続させる」「遺贈する」という表現を用いるのですが、専門家に相談せずに作成した遺言書はこのような表現が多用されます。

また、「〇〇は家と先祖代々の墓を守ること。」といった表現がされていたり、「(子)は(遺言者の妻、子の母)の世話をして、(遺言者の妻、子の母)と仲良く住むこと」と書かれていることがあります。

これらは誰に財産を帰属させるのかが明らかではないため、遺言書自体が無効になる可能性や、遺言書の解釈で争いになることがあります。

財産の特定ができていない(誤っている)

当事務所の経験上、自筆証書遺言書でもっとも多い特徴が、財産の特定が不完全あるいは誤っているケースです。
具体的には、次のようなケースです。

不動産を地番と家屋番号ではなく住所で記載している

不動産は住所ではなく地番と家屋番号で表示するのが正確な記載方法ですが、住所で記載してしまっていることがあります。そのほか単に「自宅」という表現を用いていることもありますが、自宅という表現は不動産の特定としては不十分です。
実際に自筆証書遺言書に「自宅」と記載して無効になってしまったケースが何度もあります。

銀行や証券会社の口座番号が誤っている

証券会社や銀行の口座番号を記載しているものの、その番号が異なる場合は違う口座として扱われます。

財産を具体的に記載していない

「預金を〇〇と△△に相続させる」「全財産を〇〇に相続させる」という表現の遺言書それ自体は有効ですが、財産を具体的に記載していないため、どこにどんな財産があるのかを相続人が調査したり、財産の所在でトラブルになることがあります。

保有している金融機関の口座を相続人がしっかりと把握していることは少なく、財産の調査をするだけでも労力がかかります。さらに、口座を網羅的に検索調査する方法がないため、多額の金融資産がある口座を見落としてしまるリスクがあります。

一部が無効になっている

遺言書に記載した内容が事実上無効になってしまっていることがあります。
具体的には次のケースです。

先に死亡している

遺言書に記載された財産の相続人が遺言者よりも先に死亡している場合は、その部分が無効になります。

例えば遺言者が遺言書に「△不動産を〇〇に相続させる。」と記載したものの、〇〇が遺言者よりも先に死亡している場合は、△不動産は遺言書に記載のない財産ということになり、相続人が複数いる場合は相続人全員の遺産分割協議が必要になります。

遺言書作成後に処分している

遺言書を作成した後に財産を処分した場合、その財産については生前の処分が優先しますので、遺言書は部分的に無効になります。

例えば遺言者が遺言書に「△不動産を〇〇に相続させる。」と記載したものの、△不動産をAさんに売却した場合は、〇〇が△不動産を取得する部分について遺言書は撤回されたもんとなり、〇〇は△不動産を取得することはありません。

作成時の判断能力に疑いがある

遺言書の作成には遺言能力が必要とされています。

遺言能力とは遺言書を作成する能力のことで、具体的には「物事の善悪を判断する意思能力に加えて、遺言書を作成することで起こる法的な結果を推測できる程度の判断力」のことです。

遺言書は高齢者の方が自分の判断力や今後に不安を覚えて作成することがありますが、特に問題になりやすいのがその当時の判断能力です。

周囲から見て判断能力が低下している、あるいは認知症が発症している疑いがある中で遺言書を作成すると、その有効性をめぐってトラブルになることがあります。

全財産を相続させる遺言

全財産を特定の相続人だけに相続させる遺言書を作成することも有効ですが、財産を受け取れない相続人が遺留分の主張をすることが考えられます。

遺留分は金額の算定で解釈がわかれ、相続人同士がもめてしまうことがあります。

何度も作成し直している

遺言書は自筆証書遺言であっても公正証書遺言書であっても、何度でも作成し直すことができます。ただし、作成し直すたびに費用がかかるほか、内容が今まで作成したものと大きく変わると、第三者や相続人によって誘導されたのではないかという疑念が生じることがあります。また、前に作成した遺言書を撤回(なかったことに)していない場合は複数の遺言書が同時に有効になることがあり、権利関係が複雑になるほか、後から作成した遺言書を発見できず、前に作成された遺言書をもとに手続きを進めてしまい、トラブルになることもあります。

もめない遺言書を作成するには司法書士や弁護士に相談

遺言書は亡くなる方の最期の法的な意思表示であり、作成できれば良いというものではありません。

遺言書は、遺言者が亡くなったあと、相続人が紛争やトラブルになることなくスムーズな財産承継ができて初めて意味を持ちます。

遺言書が無効になったり、遺言書が原因でトラブルにならないように、遺言書作成の専門家である司法書士や弁護士に相談しながら遺言書を作成することが大切です。

遺言書を司法書士に相談するメリット

法的に有効な遺言書ができる

相続に特化した司法書士であれば、法的に有効な遺言書を作成することができます。
また、公正証書で遺言書を作成しますので、改ざん紛失などのリスクがありません。

二次相続や財産変化に対応した遺言書ができる

遺言書を作成する際は、二次相続が起きた場合や、財産を受け取る相続人が先に死亡している場合を想定して作成することが重要です。

また、遺言書を作成したあとに、不動産を購入する、不動産を処分する、預貯金を解約する、親の不動産を取得するといった財産状況の変化が起こることがありますので、財産状況の変化まで想定して作成すれば、作成し直すことがなくなります。

相続専門の司法書士に相談いただくことで、二次相続や財産状況の変化を考慮した遺言書が作成できます。

遺留分に配慮した遺言書を作成できる

兄弟姉妹を除く法定相続人には遺留分があるため、遺言書の内容によっては遺留分の請求をされることを前提とした相続対策が求められます。

相続に強い司法書士であれば、遺留分を考慮した遺言書の作成や、相続対策を相談することができます。

死亡後の相続手続きも依頼できる

遺言書は作成して終わりではなく、実際に遺言者が死亡して初めて効力が発生し、手続きを進めていくことになります。遺言書に基づいて相続手続きを行う人を遺言執行者と呼びます。

相続の手続きは相続人への連絡、戸籍の取得、金融機関、証券会社、法務局での相続手続きなど、平日に様々な手続きが求められます。

相続に特化した司法書士にご相談いただくことで、遺言書作成段階から遺言執行者も任せることができ、相続が起きた後のスムーズな相続手続きが可能です。

また、不動産の相続登記手続は司法書士が専門家ですので、司法書士を遺言執行者にすることで、弁護士や行政書士を遺言執行者にする場合に比べ、登記手続きを別途依頼する必要がなくなり、その分費用が安くなります。

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