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銀行の遺言信託は高い?本来の遺言信託との違い、手数料、解約方法、メリットデメリット

2023 11/26
銀行の遺言信託は高い?本来の遺言信託との違い、手数料、解約方法、メリットデメリット

最近、銀行をはじめとする金融機関が店頭やCMなどで「遺言信託」と謳ったサービスを案内していることが増えました。

しかし、銀行が案内している遺言信託は、法律上の意味でいう遺言信託とはまったく異なるサービスであり、誤解を生む表現ですので注意が必要です。

銀行の提供する遺言信託と、法律上の正しい遺言信託との違い、手数料や注意点などを解説します。

目次

法的な意味での正しい「遺言信託」

法律上の用語で表現される「遺言信託」とは、文字通り遺言書によって始める信託を指します。

遺言信託とは、遺言者の死亡と同時に財産を特定の方に託し、託された方が遺言者の意思に従って財産を管理、活用していく手続のことです。

例えば、遺言者(亡くなった方)に未成年の子供がおり、金銭を一律で相続させてしまうと管理や浪費に不安があるといった場合に、遺言信託で親族や信託会社に管理を託すことで、子供の安定した財産管理を可能にするといった活用方法があります。

銀行が提案する遺言信託サービス

銀行が店頭やCMで謳う遺言信託とは、正確には「遺言書の作成補助、保管、遺言執行サービス」のことを指します。

つまり、銀行のいう遺言信託とは、信託法に基づく信託手続ではなく「遺言書を保管し、万が一遺言者が亡くなったら遺言書に基づく相続手続きの代行者になります」というサービスの名称を指しています。

なぜ銀行が遺言信託という表現をするのか

法律上正しい意味での遺言信託による受託者(管理を任される人)は、通常は信託銀行か遺言者の親族です。(親族に託す信託を特に家族信託と表現します)

業として金銭を受領し信託の受託者になるには、信託業法に基づく許可を受けなければならず、信託業法の許可を受けていない銀行は法律上の正しい意味での遺言信託を受けることができません。

一方で「遺言書の保管、遺言執行手続」は特別な資格や知識がいるわけではなく、それこそ遺言者の親族でもできます。
誰でもできる「遺言書の作成補助、保管、遺言執行サービス」では消費者側が銀行に対して依頼する必要性を打ち出せないため、「遺言信託」と表現することで、専門的なサービスであるかのように見せているのだろうと思います。

銀行が提案する遺言信託サービスのメリット

銀行が提案する遺言信託(遺言書の作成補助、保管、遺言執行)には次のようなメリットがあります。

銀行に遺言書を預ける安心感

昔ほどではありませんが、銀行といえば潰れる心配がない、お堅い職業だから安心感があるといったイメージをもっている高齢者の方は多いと思います。
銀行に遺言書を預けることで、精神的な安心感を得られる人にはメリットです。

窓口が多い

ある程度展開している銀行であれば、万が一自分の住居が移ったとしても近くに支店や窓口があり、何かあったときは最寄りの支店に相談すれば対応してもらえるメリットがあります。

銀行が提案する遺言信託サービスのデメリット

銀行が提案する遺言信託サービスは、「遺言書の作成補助、保管、遺言執行サービス」であり、これらは司法書士や弁護士など法律の専門家が従来から行ってきた業務を銀行が近年になって打ち出してきたものです。

銀行に依頼するメリットも当然ありますが、専門家から言わせるとデメリットの方が圧倒的に大きいため、銀行の遺言信託サービスを利用するのはあまりおすすめできません。

手数料が高い

遺言書の保管を開始するときに保管事務手数料などといった名目で30万円程度の手数料を支払うほか、遺言書保管にかかる年間手数料が6000円程度かかります。

また、遺言を執行する(遺言書に基づいて相続の手続きをする)ときの執行報酬として最低100万円程度を支払うことになります。

これは、初めから司法書士や弁護士などの法律の専門家に相談するときと比べても高額です。

参考までに当事務所が「遺言書作成、遺言書保管、遺言執行」の依頼を受けた場合の報酬と、銀行の手数料を比較します。相続財産は自宅不動産と預貯金で合計3000万円とします。

司法書士A銀行B銀行
遺言書作成補助約13万円約20万円約30万円
遺言書保管0円(無料)5500円/年6600円/年
遺言執行33万円110万円165万円
不動産の相続登記が含まれるか含まれる別途司法書士に依頼 15万円程度別途司法書士に依頼 15万円程度
合計46万円130万円 +遺言保管料 +司法書士報酬15万円程度195万円 +遺言保管料 +司法書士報酬15万円程度

相続手続の結果は同じであるにも関わらず、専門家である司法書士に直接依頼するときと比べて、銀行に依頼して手続きを進めると150万円ほど(あるいはそれ以上)費用が高くなります。

銀行にしかできない業務はない

銀行の謳う遺言信託サービスは「遺言書の作成補助、保管、遺言執行」のことですが、このサービスの中に銀行だからこそできる、あるいは銀行にしかできないサービスはありません。
司法書士や弁護士が従来から当然のように扱ってきた業務ですし、むしろ遺言書の作成補助は高度な法的知識を要し、一従業員である銀行員に法律の相談するのはリスクでしかありません。銀行員が法律相談に応じることは弁護士法で禁止されていますので、銀行が提携している司法書士や弁護士が回答した内容をそのまま伝えているだけです。

であれば、銀行をわざわざ介して高い手数料を支払うメリットはありません。

別途専門家報酬がかかる

先ほどの表に記載しましたが、銀行のサービスの中に不動産の名義変更(相続登記)は含まれていません。なぜなら、相続登記は法律で司法書士か弁護士しか業務として行えないからです。つまり、銀行に高い信託手数料を支払っても専門家報酬を別で用意することになります。

司法書士や弁護士であれば、これらの登記費用や専門的な相談も当然遺言執行に含まれています。

時間がかかる

大きな規模の銀行になればなるほど、手続きの時間が長くなります。1つの業務を決定、実行するだけでも、そこに何人もの人間が関わり、いくつものプロセスを踏むことになるためです。

資産をなるべく早く動かせるようにしたい、不動産を早く売却したい、相続手続きを早く終わらせたい方にとっては大きなデメリットです。

書類が多い

銀行は、1つの手続きをするために、似たような書類を何枚も書かせることがあります。
しかもそれらはすべて自署で、書き損じをしたら1から書き直しということも珍しくありません。

さらに、銀行員側のミスで漏れや抜けがあった場合、再度銀行の窓口に呼び出されて書類を修正することもあります。

法律相談や紛争に一切応じない

銀行は法律の専門家ではないため、遺言書の保管、相続の発生、遺言執行手続や相続人同士の紛争、法律相談に対して一切応じることができません。

そのため、問題が発生したときは遺言執行者である銀行に相談できず、事情を知らない専門家に1から説明して相談することになります。また、専門家に対する相談料を別途支払うことになります。

銀行と契約した遺言信託を解除する方法

遺言者が存命のとき

解約の申し込みをする

遺言者が存命のときは、遺言者自身が信託銀行に対して遺言信託の解約を申し出ることで解約することができます。

ただし、遺言信託の内容によっては解約ができない場合や、解約手数料などという名目で銀行に費用を支払わないといけない場合もあります。

遺言者が亡くなった後

遺言執行者就任辞退依頼をする

遺言執行者に就任することを辞退するように、相続人から銀行に対して依頼をします。

ただし、遺言執行者として銀行が就任を承諾してしまった後は、裁判所の許可がないかぎり遺言執行者を辞任することができません。また、遺言執行者を解任することもできますが、正当な事由がある場合に限られます。

遺言書のことなら司法書士に相談

銀行より圧倒的に費用が安い

銀行に遺言書の作成補助、保管、執行を任せるメリットは安心感ぐらいしかなく、直接専門家に依頼する場合と比較して費用がかなり高額です。

銀行が謳う「遺言信託サービス」は遺言書に関連する法的な手続であり、真の専門家は司法書士や弁護士です。直接専門家に依頼することで、代行してもらえる業務内容が銀行よりも多く、しかも費用が安くなります。

不動産の名義変更相続登記も行える

銀行の遺言信託サービスには不動産登記(相続登記)は含まれていないため、別途専門家報酬を支払うことになり、時間も費用も余計にかかります。

司法書士は不動産登記に関するプロです。司法書士に遺言書作成から執行まで依頼していただくことで、銀行よりも早く、安く、確実に手続きを行います。

法的な相談もできる

銀行は法律の専門家ではなく民間企業ですので法的な相談に応じられません。

司法書士であれば、相続に関する法令、判例、条文に精通しており、相続トラブル防止や二次相続対策といった高度な相談から遺言執行の基礎的な相談にも対応できます。

ご相談フォームはこちら相談無料。お気軽にご相談ください

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