MENU

電話・メールでご相談
メール24時間受付中

お電話はこちらから WEBからのご相談はこちら

遺言書は作成したあと作り直せる?権利関係はどうなる?

2024 4/02
遺言書は作成したあと作り直せる?権利関係はどうなる?

遺言書は一度作成すれば完成ではなく、気持ちの変化、環境の変化、経済的な事情の変化などをきっかけに作成し直すこともあります。

一度遺言書を作成したあとに事情が変わって内容を書き換えたり、作り直したい場合、どうすれば良いか、前の遺言書と後の遺言書の権利関係がどうなるのかを解説します。

目次

遺言書は作り直せるの?

遺言書は、作成する時点で遺言書を作成するご本人に判断能力があれば、自由に作り直すことができます。

反対に、寝たきりや認知症になり、明らかに意思表示をできない状態になってしまった場合は、遺言書を作成し直すことはできません。

遺言書は作成時点で遺言能力(遺言書を作成する結果、どのような法的効果が生じるかをある程度理解する能力)が求められます。
認知症になっている方でも、認知症の程度や遺言書の内容によっては遺言書を作成することができると考えられていますが、後に判断能力や遺言書の有効性を巡って相続人同士で争いが生じる可能性があります。

判断能力に疑義がある方が遺言書を作成し直したい場合は、医師の診断書、複数人の立会、ビデオの撮影など、客観的な資料や証拠をもとに慎重に作成し直す必要があります。

遺言書を作成した後に認知症になったら遺言書が無効になる?

一度作成した遺言書は、撤回されない限り有効です。

撤回とは、「遺言書を撤回する」旨の書面による意思表示を指します。

遺言書を作成した方が認知症になってしまい、遺言書の存在そのものを忘れてしまったり、「そんなもの書いた覚えがない。私は作成していない。」と言っても、遺言書が手元にあり正式に撤回されない限りは有効ですので、無効にはなりません。

認知症になった今の本人が忘れていても、遺言書を作成した当時の本人が法的に有効な要件を具備しているのであれば、遺言書は有効のままです。

自筆証書遺言書と公正証書遺言書はどちらが優先される?

遺言書には大きく分けて自筆証書遺言書と公正証書遺言書の2種類があります。

どちらも様式が決まっており、法的な要件さえ満たしていれば有効です。

自筆証書遺言書と公正証書遺言書は、公正証書遺言書だから優先、自筆証書遺言書だから優先というものではなく、抵触する2つの遺言書がある場合は新しい遺言書が優先される関係にあります。

ただし、公正証書遺言書の方が要件が厳しいため、本人の真正な意思に基づいて作成されたと考えられやすい傾向にあります。(無効になる可能性が公正証書遺言書の方が低くなります)

遺言書が2つある場合の法律(権利関係)

遺言書が2つ以上ある場合、法律関係や優先順位はどうなるのでしょうか?

ポイントは、新しい遺言書の内容が、前に作成した遺言書の内容と抵触する(相容れないことが書かれている)かどうかです。

前に作成した遺言書と後から作成した遺言書が抵触しない→どちらも有効

前に作成した遺言書と後から作成した遺言書が抵触→抵触する部分は後の新しい遺言書が有効

例)①回目の遺言書の内容が「預貯金をAさんに相続させる。」の場合に、

②回目の遺言を「預貯金をBさんに相続させる。」として作成し直したときは、②回目の遺言書が①回目の遺言と抵触しているので、①回目の遺言書は撤回したとみなされ、②回目の遺言書が有効になります。

仮に、②回目の遺言を「不動産をBさんに相続させる。」と作成したときは、②回目の遺言書は①回目の遺言書と内容が抵触していませんので、①回目の遺言書も②回目の遺言書も有効と判断されます。

遺言書を作り直すときに注意すべきこと

前の遺言書の内容の扱い

遺言書を作成しなおす場合は、前の遺言書の取り扱いに注意する必要があります。

新旧の遺言書で内容が抵触していなくても、単純に遺言書が2つに分かれていることはあまり多くありませんので、相続人が片方だけの遺言書しか認識せずに手続を行ってしまうことがあります。

一般的に、遺言書を作成し直す場合は、「〇〇年〇月〇日付作成の遺言書を全部撤回し、改めて遺言書を作成する」や、「本遺言書以前に作成した遺言書を全部撤回し、新たに次のとおり遺言する。」旨を付記するなど、現在どの遺言書が有効なのかが簡単にわかるようにしておく工夫が必要です。

遺言書はなるべく公正証書で

遺言書を書き直すときに、新しい遺言書か両方の遺言書を自筆証書で作成しているときは注意が必要です。

自筆証書遺言書は紛失のおそれがあり、せっかく作り直しても相続人に発見されないことがあります。
発見されても内容が法律の要件を満たさず無効の場合もあり、内容によっては親族が有効性をめぐって対立してしまうこともあります。

片方を自筆証書遺言、もう片方を公正証書遺言で作成していると、遺言書の有効性を巡って相続人同士の対立が生じやすいため、なるべく遺言書は公正証書で作成するようにしましょう。
公正証書遺言書であれば、公証人や証人2名が立ち合いのもとで作成するため、無効になる可能性が低くなります。

二次相続、紛争などを想定して先に遺言書に書く

何度も遺言書を作成しなおすのは、費用面だけでなく精神的な負担が大きく、本人もどの遺言書が最終的に有効になっているのか混乱しがちです。

公正証書で遺言書を作成しなおす場合は、再度公正証書遺言書作成の費用がかかるので、何度も書き直すことはできるだけ避けたいと思うでしょう。

遺言書を作成するときは、財産を受け取る予定の人(相続人)が遺言者より先に亡くなったケースや、財産状況が大きく変わったことを想定し作成すると、あとから作り直す手間を省略することができます。

例えば、「甲不動産をAに相続させる。Aが遺言者より先に死亡したときは、甲不動産をBに相続させる。」といったように、自分より先に相続人が死亡する可能性を考慮した記載方法にしたり、「金100万円をAに相続させる。ただし、相続発生時の相続財産が〇〇円以下であるときは、金50万円をAに相続させる。」のように相続開始時の資産状況に応じた遺言書にすると、何度も書き直すリスクが減ります。

専門家に依頼して法的リスクを確認する

遺言書を作成する際は、将来の相続人や相続関係、紛争の可能性、遺留分の可能性や額など、法的リスクを検討することが大切です。
特に、生前に多額の経済的援助を受けている相続人がいる場合は特別受益に該当する可能性があり、遺留分や法定相続分の問題にも影響してきます。

一度作成した遺言書を作成し直すケースでは、無効になった遺言書に記載された相続人と、後から作成された遺言書に記載された相続人とが、互いに遺言書の有効性を巡って対立してしまうことが多々あります。

遺言書を作成し直す場合は、当初は理解していた法的リスクが後から変わったり、新しいリスクが生じている可能性があります。

ご自身の最期の意思表示となる遺言書が原因で争いになってしまうことがないよう、なるべく専門家に依頼して作成しましょう。

自筆証書遺言書保管制度を利用している場合

法務局での自筆証書遺言書保管制度を利用している場合に、遺言書の内容を変更したり、後から遺言書を作り直したいときは、保管を申し出た当時の遺言書を一度返却してもらう必要があります。

返却してもらう方法などは法務局のHPに記載がありますのでご確認ください。

http://www.moj.go.jp/content/001318460.pdf ご相談フォームはこちら初回相談料無料。お気軽にご予約ください。

遺言書を司法書士に相談するメリット

法的に有効な遺言書ができる

相続に特化した司法書士であれば、法的に有効な遺言書を作成することができます。
また、公正証書で遺言書を作成しますので、改ざん紛失などのリスクがありません。

二次相続や財産変化に対応した遺言書ができる

遺言書を作成する際は、寄付の相手方に不慮の事故や想定外の事由が起きた場合や、財産を受け取る団体が先に消滅している場合、寄付を断られた場合を想定して作成することが重要です。

また、遺言書を作成したあとに、不動産を購入する、不動産を処分する、預貯金を解約する、親の不動産を取得するといった財産状況の変化が起こることがありますので、財産状況の変化まで想定して作成すれば、作成し直すことがなくなります。

相続専門の司法書士に相談いただくことで、二次相続や財産状況の変化を考慮した遺言書が作成できます。

遺留分に配慮した遺言書を作成できる

兄弟姉妹を除く法定相続人には遺留分があるため、遺言書の寄付の内容によっては遺留分の請求をされることを前提とした相続対策が求められます。

相続に強い司法書士であれば、遺留分を考慮した遺言書の作成や、相続対策を相談することができます。

死亡後の寄付を確実に素早く行える

遺言書は作成して終わりではなく、実際に遺言者が死亡して初めて効力が発生し、手続きを進めていくことになります。遺言書に基づいて相続手続きを行う人を遺言執行者と呼びます。

寄付や寄付の前提としての換価処分(相続)手続きは戸籍の取得、金融機関、証券会社、法務局での相続手続きなど、平日に様々な手続きが求められます。

相続に特化した司法書士にご相談いただくことで、遺言書作成段階から遺言執行者も任せることができ、相続が起きた後のスムーズな相続手続きが可能です。

また、不動産の相続登記手続や不動産の売却による登記は司法書士が専門家ですので、司法書士を遺言執行者にすることで、弁護士や行政書士を遺言執行者にする場合に比べ、登記手続きを別途依頼する必要がなくなり、その分費用が安くなります。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

目次
閉じる