遺言書を作成したあとに、事情が変わって内容を書き換えたり、作り直したい場合、どうすれば良いか解説します。
この記事を読んでわかること
・遺言書を作り直す(上書き)することができるのか
・遺言書が2つ以上ある場合の法律(権利関係)
・遺言書を作り直すときの注意点
・自筆証書遺言書保管制度を利用している場合
遺言書は作り直せるの?
遺言書は、作成する時点で遺言書を作成するご本人にある程度の判断能力があれば、自由に作り直すことができます。
遺言書を作成した後に寝たきりや認知症になり、明らかにご本人の意思表示をできない状態になってしまった場合は、遺言書を作成することはできません。
遺言書が2つ以上ある場合の法律(権利関係)
遺言書が2つ以上ある場合、法律関係はどうなるのでしょうか?
遺言書は自筆証書、公正証書など種類がありますが、公正証書遺言の方が自筆証書遺言より強い(優先)されるかといえば、そうではありません。
ポイントは、新しい遺言書の内容が、前に作成した遺言書の内容と抵触する(相容れないことが書かれている)かどうかです。
前に作成した遺言書と後から作成した遺言書が抵触しない→どちらも有効
前に作成した遺言書と後から作成した遺言書が抵触している→抵触する部分は後の遺言書が有効
例)①回目の遺言:預貯金をAさんに相続させる。の場合に
②回目の遺言:預貯金をBさんに相続させる。
→①回目の遺言と抵触しているので、①回目の遺言書は無効になる
②回目の遺言:不動産をBさんに相続させる。
→①回目の遺言書と抵触していないので、①回目の遺言書も②回目の遺言書も有効
遺言書を作り直すときに注意すべきこと
遺言書はなるべく公正証書で
遺言書を書き直すときに、新しい遺言書か両方の遺言書を自筆証書で作成しているときは注意が必要です。
自筆証書遺言書は紛失のおそれがあり、せっかく作り直しても発見されないことがあります。
発見されても内容が法律の要件を満たさず無効の場合もあり、内容によっては親族が有効性をめぐって対立してしまうこともあります。
いろんなことを想定して先に書く
何度も遺言書を作成しなおすのは、精神的な負担も少なくなく、本人も混乱しがちです。
公正証書で遺言書を作成しなおす場合はまた費用がかかるので、何度も書き直すことはできるだけ避けたいと思います。
遺言書を作成するときは、受け取る予定の人が遺言者より先に亡くなったときや、財産状況が大きく変わったときを想定して条件を定めて作成すると、あとから作り直す手間を省略することができます。
専門家に依頼して法的リスクを確認する
何度か作り直す方は、おそらく財産を受け取ってもらう人、金額、ご自身の財産状況などが変化したことが原因かと思います。
そのような場合、当初は理解していた法的リスクが変わったり、新しいリスクが生じている可能性があります。
ご自身の最期の意思表示となる遺言書が原因で争いになってしまうことがないよう、なるべく専門家に依頼して作成しましょう。
自筆証書遺言書保管制度を利用している場合
法務局での自筆証書遺言書保管制度を利用している場合に、遺言書の内容を変更したり、後から遺言書を作り直したいときは、保管を申し出た当時の遺言書を一度返却してもらう必要があります。
返却してもらう方法などは法務局のHPに記載がありますのでご確認ください。
http://www.moj.go.jp/content/001318460.pdf当事務所では法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言書の作成、公証役場での公正証書遺言書作成どちらにも対応しております。
遺言書のことでお悩みの方は、一度ご相談ください。
ご相談フォームはこちらこちらのフォームよりお気軽にご予約ください。