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遺留分とは?法定相続分と遺留分の違い、計算方法、期間、兄弟姉妹や前夫・前妻に認められるか、遺留分の注意点など

2023 11/06
遺留分とは?法定相続分と遺留分の違い、計算方法、期間、兄弟姉妹や前夫・前妻に認められるか、遺留分の注意点など

相続手続や相続対策をするにあたり、「遺留分」は切っても切れない問題です。
相続手続きや遺言書の作成、相続対策では常に遺留分のことを考えなければなりません。

遺留分がどういった権利なのか、計算方法や注意点などをまとめて解説します。

目次

遺留分とは?

「相続人に認められた、最低限の金銭的利益を要求する権利」のことを遺留分と呼びます。

まったく相続するものがない相続人のために、多くの財産を受け取った相続人や受贈者に対して最低限の金銭を支払うように要求できる権利のことで、法定相続人同士で生じる不公平感をなるべく少なくするための制度です。

遺留分は誰に認められる?

兄弟姉妹を除く法定相続人に認められる権利で、亡くなった方の兄弟姉妹に遺留分はありません。

被相続人に子がおらず、両親が死亡しているときは兄弟姉妹が相続人になりますが、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

例えば、被相続人Xが死亡し、Xの配偶者Yと、Xの兄Aが法定相続人だとします。

このとき、XがYにすべての財産を相続させる遺言書を残していると、Yが全財産を相続しますが、Aは遺留分が認められないため、AからYに対して1円も請求することができなくなります。

前夫・前妻に遺留分はある?

前夫・前妻は離婚や死亡により相続人ではなくなっていますので、遺留分がありません。

遺留分の割合は?

自己の法定相続分に1/2を乗じた割合が、遺留分の割合です。

法定相続分とは?

法定相続分:「民法で規定された相続の基準となる割合」を法定相続分と呼びます。

法定相続分の割合は下表のとおり

 子あり親あり兄弟姉妹あり
配偶者あり配偶者1/2配偶者2/3配偶者3/4
 子1/2親1/3兄弟姉妹1/4
配偶者なし

配偶者がいるときは、配偶者は常に法定相続人になります。

子>親>兄弟姉妹の順に法定相続人の順位が決まります。

子・親・兄弟姉妹が複数人いるときは?

例)子Aと子Bがいるとき、上の法定相続分割合を子どもの頭数で割ることになります。

 →配偶者Y 1/2、 A 1/4、 B 1/4

子が死亡しており、孫がいるときは?

被相続人の孫が代襲相続人として相続人(亡くなった子)の立場を引き継ぎます。

相続人の廃除・欠格事由に該当するときは?

相続人の廃除、欠格事由に該当する相続人は、相続人ではなくなります。

例)配偶者Y、子A、子Bのうち配偶者Yが欠格事由に該当

 →法定相続人は子Aと子Bのみ。Yは法定相続人ではないため遺留分の主張ができません。

相続放棄しているときは?

相続放棄しているとき、放棄者は相続人ではなくなります。

例)配偶者Y、子A、子Bのうち配偶者Yが相続放棄

 →法定相続人は子Aと子Bのみ。Yは法定相続人ではないため遺留分の主張ができません。

具体的な遺留分率と遺留分割合の計算方法

法定相続分に、法律で規定される遺留分率を乗じた数字が遺留分割合です。

民法第1042条

1項 遺留分率:直系尊属のみが相続人のとき 1/3

     上記以外のとき 1/2

2項 遺留分権者が複数いる場合は、上の遺留分率に法定相続分を乗じた数

上記の遺留分率を法定相続分に乗じた遺留分割合は下表のとおり。

 子あり親あり兄弟姉妹あり
配偶者あり配偶者1/4配偶者2/6配偶者1/2
 子1/4親1/6兄弟姉妹 なし
配偶者なし1/21/3なし

配偶者と兄弟姉妹が相続人であり、被相続人が兄弟姉妹に遺言で全財産を相続させるとき、配偶者が兄弟姉妹に主張できる遺留分は1/2です。

法定相続分3/4×遺留分率1/2=3/8になりそうですが、兄弟姉妹は遺留分がそもそもないので、1042条2項の適用がなく、1項により1/2となります。

遺留分が請求できるのはどんなとき?

兄弟姉妹を除く法定相続人が遺留分を侵害されているとき、侵害された法定相続人(遺留分権利者)は、侵害した相手方に対して遺留分(金銭)を要求することができます。

遺留分の具体的な計算、算定方法は?

大まかには

実際に相続できる相続財産の価額<被相続人の「相続財産の価額」×遺留分割合

で侵害されているか推測することができます。

つまり、遺留分を侵害されているか知るためには、まず被相続人の「相続財産の価額」を算定する必要があります。

相続財産の価額

①被相続人の死亡時の財産+②贈与した財産の価額+③条件付または存続期間の不確定な権利-④債務の全額

①被相続人の死亡時の財産

被相続人が死亡時に有している被相続人名義のプラスの財産(積極財産)が遺留分に算定される財産です。

不動産、現金、預貯金、株式、投資信託、車、貴金属、家具家電、ゴルフ会員権、未払給料等の債権が含まれます。

②贈与した財産

法定相続人ではない第三者への贈与

相続発生、つまり被相続人の死亡する1年前までにした贈与が相続財産となり遺留分に算定されます。

ただし、贈与者(被相続人)と受贈者がともに遺留分を侵害することを認識しているときは、1年以上前のものも相続財産になります。

法定相続人への贈与

相続発生の10年前までにした贈与が相続財産となり遺留分に算定されます。

ただし、婚姻、養子縁組、生計の資本としての贈与に限られます。

贈与者(被相続人)と受贈者がともに遺留分を侵害することを認識しているときは、10年以上前のものも相続財産になります。

③条件付または存続期間の不確定な権利

条件付や存続期間の不確定な権利は算定が非常に難しいため、家庭裁判所の選任した鑑定人の評価に従って、価額を算定し遺留分に算定されます。(民法1043条)

④債務の全額

被相続人の債務も遺留分に算定されます。

債務とは、単なる個人間の借金、住宅ローンなどの借入だけでなく、未納の税金などの公法上の債務も含まれます。

遺留分が問題となる具体的なケース

被相続人X、配偶者Y、子どもAがいるケースで

例1)XがYに全財産を相続させる遺言書を作成していた

→AはYに対して遺留分を請求できる。

例2)XがYに生前贈与を繰り返し、Xの死亡時点でほとんど財産が残っていない

→AはYに対して遺留分を請求できる。

例3)XがNPO法人に全額寄附する内容の遺言書を作成していた

→YとAがNPO法人に対して遺留分を請求できる。

遺留分が問題となるほとんどのケースが

1特定の相続人や第三者に遺言で財産を渡している。(平等でない渡し方)

2生前贈与を繰り返し、被相続人の死亡時の財産がほとんど残っていない。

3被相続人の財産が不動産しかなく、かつ相続人の1名が不動産を相続する。

1~3のいずれかに該当する相続です。

遺留分の請求期間は?

遺留分は、次のいずれかの期間が経過するまでに行使します。

1.自己が法定相続人であることを知り、かつ遺留分侵害となる贈与または遺贈があることを知ってから1年以内

自分が相続人であることを知るだけでなく、遺留分を侵害するような遺贈(遺言)、生前贈与の存在を知ってから1年の期間が開始します。

2.相続開始時から10年間

相続開始=被相続人が死亡してから10年間です。この期間は除斥期間(延長や停止しない)とされています。

遺言があっても遺留分を主張できる?

遺言があっても遺留分を主張することができます。

特定の相続人が全財産を相続する遺言があっても、その他の相続人は全財産を相続する相続人に対して遺留分相当の金銭を要求できます。

遺留分を侵害している遺言は無効?

遺言の内容が遺留分を侵害していたとしても、遺言の形式要件で有効であれば無効にはなりません。

この場合は、遺留分を侵害している部分について金銭を請求する権利が発生することになりますが、それは侵害部分が無効になったという訳ではありません。

遺留分の注意点

遺留分権者が受け取った財産や特別受益は控除される

遺留分権利者たる相続人自身が受けた生前贈与、遺贈、特別受益がある場合は控除されます。

遺留分を侵害する贈与や遺贈が複数ある場合の優劣

遺贈がまず優先的に遺留分侵害請求の対象になり、次に死亡年月日に近い順に贈与が対象になります。

同時された遺贈や贈与は、その目的の価額の割合に応じて侵害額を負担します。

遺留分を請求した相手方が無資力の場合

遺留分侵害額請求をした相手方受遺者や受贈者が無資力であった場合、遺留分権利者の負担に帰するとされているため、その方に対する請求額全額の弁済を受けられなかったとしても、不足額を他の受遺者等に請求することはできません。

遺留分に算定されない財産がある

一身専属権と祭祀財産

一身専属権や祭祀財産は、そもそも相続による承継財産とは別の財産と考えられているため、含まれません。

死亡保険

死亡保険は相続財産ではなく受取人固有の権利であり、原則特別受益に該当しないため、遺留分算定の相続財産からは除外されます。

ただし、保険の受取人である相続人とそれ以外の相続人の間に生じる不公平が、民法の規定に照らして到底是認できないほど著しいものであるときは、特別受益に準じた扱いとして、遺留分の算定対象財産になります。

例)被相続人の死亡時の財産は0円。子A、子BのうちAが死亡保険金で1億円もらっている→Aが受け取った1億円を特別受益財産に準じて扱い、BはAに対して遺留分を請求できる可能性が高くなります。

限られた時間で遺留分侵害か判断しなければならない

遺留分は相続が発生し、かつ遺留分を侵害する贈与や遺贈があったときから1年以内に行使しなければなりません。

遺言により全額を他の相続人や第三者が受け取ることを知れば、遺留分を侵害されている可能性が高いので、早急に相手方に請求していくことになります。

遺留分の請求を放置して支払わないとどうなる?

遺留分侵害額請求の訴訟があります。

遺留分や相続の問題を専門家に相談するメリット

1.法定相続分や遺留分の算定をしてもらえる

遺留分や法定相続分は紛らわしく、法律に詳しい方以外が算定することは困難です。

専門家であれば正しい法定相続分や遺留分率をお伝えします。

2.遺留分侵害額の根拠となる相続財産調査をしてもらえる

遺留分の問題は、相続財産調査から始まります。

遺留分侵害の有無、侵害額を算定するために、専門家が速やかに相続財産の調査を行います。

3.遺留分の請求や相続手続の流れ、リスクや費用を説明してもらえる。

遺留分侵害額請求をしたあとの流れ、相続人間の協議、法的リスクや費用など、専門家が詳細をアドバイスしながら進めていくことができます。

4.精神的、身体的負担が少ない。

専門家がサポートするため精神的負担が少なく安心です。

また、専門家が法務局や金融機関、役所での必要書類収集、調査、請求などを行うため、身体的な負担が減ります。

ご相談フォームはこちらこちらのフォームよりお気軽にご予約ください。

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