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農地の相続登記手続方法は?農地の取得に際して許可、届出など注意点やポイントを解説

2023 10/09
農地の相続登記手続方法は?農地の取得に際して許可、届出など注意点やポイントを解説

農地を相続した際の相続登記手続方法や、農地ならではの注意点、取得や処分方法、許可届出を解説します。

目次

農地とは

農地とは、地目が畑、田になっている土地のことです。

登記簿上の地目が畑、田になっているかどうかを確認するには、法務局で取得する土地の登記事項証明書(登記簿や不動産謄本とも言います)を確認する必要があります。

農地の相続方法

日本では農業が非常に重要視されており、農業を営むための農地は管理されています。

そして、農地を売却したり農地以外の地目に変更するときは許可を要することになっていますが、相続に関しては特別な許可は不要です。

一般的な土地(宅地)や建物と同じような相続登記手続きをすることで、農地が亡くなられた方名義から相続人名義に変更することができます。

農地の相続に関する登録免許税

不動産を相続したときは相続登記という手続が必要となり、不動産の登記事項証明書に記載された名義人を故人から相続人に書き換える(所有権を移転する)必要があります。

そして、この相続登記(所有権移転登記)には登録免許税がかかります。

登録免許税は不動産の評価額×0.4%です。

Ex)不動産の評価額が200万円の場合

  200万円×0.4%=8000円

評価額は、役所から毎年送付される納税通知書に記載のある評価額または価額を基準とします。

農地を相続した際にもこの登録免許税がかかりますが、例外として、不動産の評価額が100万円以下の場合には、登録免許税が免除されます。

農地の相続登記手続きに必要な書類

農地の相続登記手続きに必要な書類については、別ページで相続登記手続として紹介しています。

農地を相続したときの注意点

届出が必要

前述のように相続登記については特別な許可は不要ですが、相続をしたあと相続人は農業委員会に対して届出をしなければなりません。

届出の期間

相続により農地を取得することを知ってから10か月

届出をしないとどうなる?

農地を相続したにもかかわらず届出をしない場合、10万円以下の過料が科されることがあります。

農業委員会の許可がいるケースは?

相続による農地の取得について農業委員会の許可は不要ですが、他の事例では許可が必要なケースもあります。

農地を別の地目(宅地や雑種地)に変更したいとき

農地を農地以外の地目に変更したいときは、農業委員会の許可(農地法第3条許可)が必要です。

農業委員会の許可がでれば、許可証を使って土地の登記上の地目を農地以外に変更登記します。この地目変更登記は土地家屋調査士が専門家です。

既に農地ではない場合

昔は農地だったけれど、長年にわたり整備をしておらず草木が生い茂り、現在は農地ではなくなっているような土地もあります。

この場合は農業委員会から非農地証明を取得し、農地から農地以外に地目を変更登記すれば、以降は農業委員会の許可が不要となります。

農地のまま誰かに売却・贈与したいとき

農地を上手に利用してくれる引き取り手が見つかったとき、農地のまま譲ることもあり得ます。

このように、農地を農地のまま誰かに売却、贈与で譲りたいときも農業委員会の許可(農地法第4条許可)が必要です。

農業委員会の許可が出れば、その許可証をもって所有権移転登記を申請します。

所有権移転登記は司法書士の専門分野です。

農地以外に転用して誰かに売却・贈与したいとき

上2例の複合的なケースですが、農地を宅地に変更してから第三者に売却や贈与したいケースも農業委員会の許可(農地法第5条許可)が必要です。

農地法第5条許可がでれば、まず許可証をもって土地家屋調査士に地目変更登記をしてもらい、その後司法書士に所有権移転登記を申請してもらうことになります。

農地を貸したいとき

農地を売ったり農地以外に変更する予定はないけれど、誰かにそのまま貸したいという場合も、農地法の許可(農地法第3条許可)が必要です。

農地を担保にお金を借りたい

農地を担保にお金を借りたい場合や、農地に抵当権を設定したい場合などの場合、農業委員会の許可は必要ありません。

抵当権は所有権と違い不動産を排他的に占有支配する権利ではなく、あくまで万が一のための保険として設定するものですので、農業委員会の許可は不要とされています。

農地を相続し農業を行う予定がある

農地を相続し、そのまま農地として相続人が農業を営む予定のとき、相続税法上税金が猶予される制度があります。

条件には、亡くなった人の条件、農地を相続する人の条件、農地そのものの条件があり、かなりハードルが高い制度です。

しかも、農地の相続税が猶予されるとありますが、一般的に農地はそもそも相続税上の評価(価値)が低い傾向にあるため、あまりメリットを感じられないかもしれません。

農地を相続したが、農業をする予定がない場合は?

農地を相続したが、農業を営む予定がない人は、先ほどの例のように農業委員会の許可を経て農地以外に変更したり、誰かに売却することを検討しましょう。

また、最近では相続土地国庫帰属法により相続人が利用しない土地を国庫に返還することが可能となりましたので、農地を利用せずかつ売却もできないという場合は、相続土地国庫帰属法の利用を選択肢に入れてもよいかもしれません。

農地を相続放棄できる?

農地をどうしても相続したくない場合、相続放棄を検討される方もいるかもしれません。

相続放棄をすれば相続人ではなくなるため、農地を相続することはなくなります。

しかし、2023年現在の法律では特定の土地だけを相続放棄することはできず、相続放棄をすると農地だけでなくすべての財産(預貯金、自宅、自宅内の貴金属や家財道具一式、株式など)を放棄することになってしまいます。

相続財産が農地だけであるなら相続放棄が選択肢になりえますが、他の財産が存在するときに農地のためだけに相続放棄するのはあまり得策ではありません。

農地処分のポイント

(1)知人友人の農家に相談

農地の処分先として有力なのは知人や友人の農家です。

農業を営む農家であれば、農地を引き取ってくれる可能性があり、かつ農業委員会の許可も比較的容易に取得できます。

(2)近隣の農家に相談

知人友人と同じく農地の有力な処分先が、近隣の農家です。

実際にすぐ近くで農業を営んでいるわけですから、農地拡大のために引き取ってくれる可能性があります。

(3)共有なら持分放棄

共有状態の農地は、持分放棄をすることで他の共有者に持分が帰属することになります。

持分放棄は農業委員会の許可は必要ありません。

ただし、持分放棄は意思表示をすることで効力が生じるものの、自動的に名義が変わるわけではありませんので、他の共有者と協力して所有権移転登記をする必要があります。

(4)農地以外に転用して買い手がつくか不動産業者に相談

農地を農地以外の宅地や雑種地に転用すれば買い手や貰い手が見つかる場合もあります。

ただし、買い手や貰い手が見つかっていない段階で農地を農地以外に転用してしまうと固定資産税が増加してしまうので、まずは地元の不動産事情に詳しい不動産業者に相談し、農地以外に転用した際に引き取り手があるのかを調べてもらう方法が有益です。

(5)国庫に返還

農地を譲り受けてくれる人が見つからない場合は、相続土地国庫帰属制度に基づいて国に土地を返還する方法があります。

ただし、これは相続により土地を取得したことが大前提であり、その他にも土地の形状、境界など様々な条件があります。

相続土地国庫帰属法の基本的な要件は別記事で紹介しています。

農地の相続登記手続は司法書士に相談

農地を所有する方がお亡くなりになったら、相続登記が必要です。

不動産の相続登記は司法書士が専門家ですので、農地の相続に関しては司法書士に相談しましょう。

相続後の売却や農業委員会の許可、農地の国庫返還についても司法書士であればスムーズにご相談いただくことができます。

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