相続が発生したとき、亡くなられた方名義の財産が一定以上あると、相続税がかかります。
相続税が確実にかかる方や、かかる可能性のある方に対しては、税務署から書類が届くことがありますが、「税務署から書類が届かない=相続税がかからない」ではありません。
しかし、中には「税務署から書類もないし、ネットで調べたかぎりだと相続税がかからないだろう」と自己判断をした結果、相続税がかかることが後から判明し、重加算税という余計な税金を支払うことになったケースもあります。
当事務所で解決した「相続税がかからないと思い放置していたら余計な税金を支払うことになった」ケースをご紹介します。
ご依頼内容
ご依頼者は40代の男性。
お母様が5年前に他界し、相続人はお父様、ご依頼者とその兄の3名です。
お母様名義の株式や預貯金の解約はご自身でしたものの、不動産の相続登記だけそのままにしていました。
今回、相続登記が義務化されるので、登記をしてほしいとご相談に来られました。
問題点
相続税
相続税の基礎控除は3000万円+相続人×600万円です。
今回は相続人が3名のため、3000万円+3×600万円=4800万円です。
相続税の基礎控除以上の資産を有していた場合、相続税の申告が必要となります。
申告期限は、相続が発生した日(亡くなられた日)から10か月以内です。
お母様名義の解約済み預金や株式の内容をお聞きすると、相続税が発生するケースに該当することがわかりました。
しかも、お母様は5年前に他界しているため、申告期限はとっくに過ぎていました。
詳しくお聞きすると、「税務署から何も言われていないし、大丈夫だと思って何もしていなかった。税理士にも相談していない。」とのことでした。
当事務所の解決方法
早急な財産調査
相続が発生してから5年を経過し、当時の資料が曖昧になりつつあるため、まずは早急に財産調査を行いました。
具体的には、解約済み口座の入出金明細を亡くなる前7年分、当時の株式の保有証明書等の取得です。
税理士との連携
本来の申告期限から4年以上も経過していますが、なるべく早く申告するに越したことはありません。当事務所と密接に連携を取れる税理士事務所を紹介し、常に情報共有しながら速やかに申告できるように進めていきました。
不動産の相続登記
まずは財産調査、税理士による相続税申告を進めつつ、同時並行で相続登記への準備をすすめていきました。
相続登記に必要となる戸籍の取得、役所からの不動産評価証明書の取得、不動産の漏れがないかの調査、権利書の確認、法定相続情報の取得を行い、相続税の申告とほぼ同時に相続登記を申請しました。
最終的に、ご依頼者は百万円を超える追徴課税を受けてしまいました。
これは、税務署から相続税に関する通知がないから大丈夫だろうと放置せず、専門家に相談していれば支払わなくて済んだお金です。
相続手続は、単なる手続の話ではなく、法律上、税務上の観点から判断しなければならないことが沢山あります。
ご自身で安易に判断してしまうと、思わぬ税金や費用を支払うことになりかねません。
ぜひ相続の専門家にご相談ください。